ストーンヘンジ 1. 人類の出現と文明への歩み 先史の世界 最古の人類 初期農村から都市国家へ
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1. 人類の出現と文明への歩み

序章 先史の世界


1. 人類の出現と文明への歩み

  • 1. 人類の出現と進化
  • 2. 洞穴遺跡
  • 3. 農耕・牧畜の開始と文明の成立
  • 4. 人類と言語の分化

1. 人類の出現と文明への歩み

1. 人類の出現と進化

人類の歴史は、おもに文字による記憶によってわかる歴史時代と、それ以前の先史時代とに大別でき、後者の時代の研究には、人類学・言語学・民族学・地質学・考古学などの学問が重視される。
直立二足歩行を特徴とする人類は、長い進化の過程で道具を作り、言語や火を使用するようになった。最古の人類が誕生したのは、今から約700万年前のアフリカにおいてであると考えられている。

  • 最初の人類を猿人といい、南アフリカで発見されたアウストラロピテクスなどがこれに属する。そのなかに簡単な打製石器を使用するものもいた。
  • 原人は約240万年前の更新世中期に出現したと推定され、ホモ・ハビリスジャワ原人北京原人がその仲間であった。彼らはハンドアックス(握り斧)など改良された打製石器を製作し、火の使用があったと考えられる。
  • 旧人は、約60万年前の更新世の後期はじめ頃に出現したと推定され、ネアンデルタール人が代表である。彼らの脳容積は現代の人類とかわらず、死者の埋葬などの精神文化を発達させた。
  • 新人(現生人類)は、約20万年前の更新世の末期に出現し、急速に各地に拡大していった。その代表例はヨーロッパのクロマニョン人や中国の周口店上洞人しゅうこうてんじょうどうじん、イタリアのグリマルディ人がこれにあたる。新人は剥片石器技術を進歩させ、骨角器を作り、生活をより豊かにした。また、多産や狩猟の成功を願うすぐれた洞穴絵画を、スペインのアルタミラ洞窟、フランスのラスコー洞窟をはじめ各地に残した。人類が、打製石器を用いて狩猟・採集生活を営んでいた時代を旧石器時代とよぶ。

先史時代年表

実年代
(年前)
地質
年代
史的
年代
考古
年代
人類経済・社会・文化
500万年








初源期の人類の出現
400万年アウストラロピテクス・アファレンシス猿人獲得経済(狩猟・採集)
礫石器の使用
言語の形成
道具の製作
火の使用









250万年ホモ・ハビリス
130万年ジャワ原人原人
50万年北京原人
12万年





ネアンデルタール人旧人埋葬開始(宗教の起源)
剥片石器の使用
骨角器の製作・漁労
弓矢の発明
洞窟絵画
4万年前





フマーネ洞窟の壁画
6万年クロマニョン人
周口店上洞人
新人
3万6000年前ショーヴェ洞穴の壁画
2万年前







ラスコー洞窟の壁画
1万年





農耕・牧畜開始, 生産経済に入る
磨製石器・土器・織物・煉瓦・村落定住
4000年



シュメール
セム語系・エジプト語系民族の登場
インド・ヨーロッパ語系民族の登場
灌漑農業・犂耕・手工業・交易開始
青銅器・文字・神殿の出現
都市・階級の成立
奴隷の発生
3000年





分業の発達
鉄器の普及
国家の成立
※上記の実年代算定は、人類学・考古学・地質学により、また研究者によって相当の差がある。

2. 洞穴遺跡

先史の世界 ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群 新人の登場
ラスコー洞窟の壁画 ©Prof saxx(丸井金猊 – Kingei MARUI – 金猊馬考 ⅠI – 四つの評価軸

ラスコー洞窟

アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術
アルタミラ洞窟壁画(複製) ©MatthiasKabel

アルタミラ洞窟

3. 農耕・牧畜の開始と文明の成立

今から1万年ほど前、地質年代の完新世に入ると気候が温暖化し、人類は自然環境の変化に対応しながら生活様式を変化させていった。人類が狩猟・採集の獲得経済から農耕・牧畜の生産経済に移ったことは、生活の革命的な変化であった。不安定な生活から解放された人類は定住生活を始め、織物や土器を作り、また石斧・石臼などの磨製石器の製作を始めた。農耕・牧畜が始まって以後の石器時代を、考古学では新石器時代とよんでいる。

農耕・牧畜は今から約9000年前、西アジアから東地中海域を中心に始まった。初期農耕遺跡の代表的なものとしてジャルモやイェリコの遺跡がある。当時の農法は雨水にたよる乾地農法で、肥料を施さない略奪農法であった。

しかしメソポタミア灌漑農業が始まると、農業生産は飛躍的に高まり、人口も増加した。これは農業技術上の大革新であった。余剰食糧の増加は、貧富の差や、農業に直接従事しない神官や職人を生んだ。こうした分業の進展は神官や戦士などに特別の権威を与え、そこに支配による従属関係が形成され、王を頂点とした階級社会が成立した。初期農村は神殿を中心に都市へ発展していったが、神殿の祭祀や政治・商業の記録の必要から文字が発明された。こうして、最古の文明は紀元前3000年頃にメソポタミアとエジプトで誕生し、続いてインダス川流域、黄河・長江流域にも生まれた。これを総称して四大文明という。

4. 人類と言語の分化

地球上に広がった人類はそれぞれの環境に適応していくなかで、言語・習慣・宗教などを異にする多様な集団をつくっていいった。人類をこのような文化的特徴で分類する場合を民族とよび、共通の言語から生まれた言語グループを語族とよんでいる。また、皮膚の色や毛髪などの外観的特徴で区別する人種という考え方もあるが、このように人類を区別することは、歴史の中でしばしば支配や差別の合理化に利用された。

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