ヴェルサイユ体制下の欧米諸国
ヴェルサイユ体制下の欧米諸国流れ図 ©世界の歴史まっぷ

66.ヴェルサイユ体制下の欧米諸国

  1. 西欧諸国(イギリス・ドイツ・イタリア)の停滞
  2. ソ連の社会主義建設
  3. アメリカ合衆国の繁栄

66.ヴェルサイユ体制下の欧米諸国

ヴェルサイユ体制下の欧米諸国
ヴェルサイユ体制下の欧米諸国流れ図 ©世界の歴史まっぷ

1. 西欧諸国(イギリス・ドイツ・イタリア)の停滞

イギリス

イギリスとフランスは戦後、海外領土を増やしたが、大戦で受けた経済的打撃から回復せず、不況に苦しんだ。イギリスでは、1918年の第4回選挙法改正で21歳以上の男性と30歳以上の女性に選挙権が拡大され、1928年の第5回選挙法改正で、21歳以上の男女に選挙権が認められた。そのような状況のなかで、1924年には労働党の第1次マクドナルド内閣が自由党の協力を得て成立した。1929年の選挙では労働党が初めて第一党になり、マクドナルドが再び首相となった。大戦後、世界中いたるところで盛り上がった民族運動は大英帝国の基盤を揺るがした。1926年の大英帝国会議は、自治領を本国と平等の国家として、諸国家からなる連邦とすることを決議し、1931年のウェストミンスター憲章で法制化された。アイルランドは、1922年に北部のアルスターを除いてアイルランド自由国として自治領となり、1937年には独立を宣言してエールとなった。

フランス

国土が戦場となったフランスでは、戦後もドイツの強国化をおそれた。そのためフランスは、ドイツに課されたヴェルサイユ条約の義務、とくに賠償金支払いを厳しく要求し、ポワンカレ右派内閣の時には、賠償金支払い不履行を理由に対独強硬策をとり、1923年ルール占領したが失敗し、かえって財政悪化をまねいた。左派連合内閣では、外相ブリアンが協調外交をうちだし、1925年、ルール撤兵を行い、ロカルノ条約を締結し、さらに1928年には米国務長官ケロッグと協力して不戦条約(ブリアン・ケロッグ条約)を成立させた。

ドイツ

ドイツでは、1918年のドイツ革命によって成立した臨時政府は軍部など保守派と結んで、スパルタクス団の武装蜂起(スパルタクス団の蜂起)を鎮圧し、その指導者たちを虐殺した。1919年、ヴァイマル共和国が発足し社会民主党のエーベルトが大統領に選ばれた。しかし1923年のフランスのルール占領に対して、ドイツは不服従運動で抵抗したため生産が低下し、破局的なインフレーションが進行した。この年、首相に就任したシュトレーゼマンは新紙幣レンテンマルクを発行し、奇跡的にインフレーションを克服した。1924年、アメリカの仲介でドーズ案が成立し、その結果アメリカ資本が導入されて経済が再建され、共和国はようやく安定期を迎えた。シュトレーゼマンはその後外相となって協調外交を展開し、1925年にロカルノ条約を結び、翌26年に国際連盟への加入が認められた。

イタリア

イタリアでは戦後の混乱のなかで労働運動が激化し、革命前夜を思わせた。そうしたなかでムッソリーニに率いられたファシスト党は、地主・資本家の支持を得て、急速に勢力を伸ばし、1922年にはローマ進軍を行い、政権を獲得した。ムッソリーニは、ファシズム大評議会に権力を集中させて一党独裁体制を確立し、対外的には1926年にアルバニアを保護国化し、また1929年にラテラノ条約を結んでローマ教皇庁と和解し、ヴァチカン市国の独立を認めた。

2. ソ連の社会主義建設

レーニンは混乱した経済を再建するため1921年に新経済政策ネップを採用し、資本主義的な要素を一部復活させたため、まもなく生産はほぼ戦前の水準に回復した。1924年にレーニンが死ぬと、指導者の間に争いがおこった。共和党書記長のスターリンは一国社会主義論を掲げ、世界革命を主張するトロツキーらを追放して実権を握った。スターリンは新経済政策(ネップ)にかわって1928年から第1次五カ年計画(ソ連)に着手し、重工業の建設と農業の集団化・機械化を進めた。政府は集団化に抵抗する多数の農民を逮捕・投獄し、生産物の強制供出を実行した。そのため1932〜33年には農民に多くの餓死者が出たが、集団化はほぼ完了した。

3. アメリカ合衆国の繁栄

大戦中、アメリカは連合国 に物資・借款(戦債)を提供して、大きな利益をあげ、戦後は債務国から債権国に転じて国際金融市場の中心の一つになった。国内では大戦中に多くの女性が軍需生産などに協力し、1920年に女性参政権が認められ、民主主義の基礎が拡大された。1921年からはハーディング・クーリッジ・フーヴァーの3代12年にわたり共和党の大統領が続き、自由放任政策のもと大企業の利益が重視された。自動車の大衆化、家庭電化製品の普及によって、大量生産・大量消費の社会が形成され、1920年のアメリカ経済は「永遠の繁栄」とよばれる一大好況期を迎えた。この時期に大都市を中心に現代大衆文化が成立した。対外的には国際連盟への加入を拒否する孤立政策をとりながら軍縮会議などを提唱し、国際政治のうえで指導的役割を果たした。

参考

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