サモトラケのニケ
サモトラケのニケ(ルーヴル美術館蔵)©Public Domain

サモトラケのニケ


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サモトラケのニケ

伝統の跡が残るヘレニズム時代の作品

サモトラケのニケは、ヘレニズム時代の彫刻の代表的な作品である。彫像は、両脚の間の衣服のはためきにより強調された左脚の後退と翼により模られた斜めの動きにより、対立した方向に開かれる構成による螺旋状の動きのなかで立っている。女性の裸体は布の下で露出し、前5世紀末のクラシック時代の作品のように、濡れた襞の透明性により浮き上がっている。胸の下にある紐の着用は前6世紀より存在する着こなしを示唆する。彫刻家は、体の襞の刻み、風による膨らみなどのチュニカの加工に、特別な妙技が見える装飾効果を駆使した。この装飾の豊かさそしてボリュームの感覚、動きの激しさは、前180年から160年頃のペルガモン派のバロック的制作の前兆である、ロードスの様式の特徴である。

参考 ルーヴル美術館

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