トリボニアヌス
トリボニアヌス ©Public Domain

トリボニアヌス


トリボニアヌス (生年不詳〜545)

東ローマ帝国ユスティニアヌス朝の法学者。東ローマ帝国前期の絶頂期を現出したユスティニアヌス1世が行なった、ローマ帝国再興のための壮大な事業のうちの一つである『ローマ法大全』編纂で、法務長官トリボニアヌスが中心となり法学者10人で法典を完成させた。『ローマ法大全』は、中世以降ヨーロッパ諸国の法体系に大きな影響を与えた。

トリボニアヌス

ローマ帝国再興に精魂を傾けた法学者

法学者。西ローマ帝国滅亡後、東ローマ帝国皇帝となったユスティニアヌス1世は、ローマ帝国再興を夢みて、壮大な事業を行なった。その一つが『ローマ法大全』(ユスティニアヌス法典)編纂で、法務長官トリボニアヌスが中心となり法学者10人で法典を完成させた。

参考 ビジュアル 世界史1000人(上巻)

オリエントと地中海世界

ローマ世界

ローマ文化
法学

ローマ人の実際的な能力は法や政治の技術に現れ、中でもローマ法は長く後世の模範となり、近代法にまで影響を及ぼしている。紀元前5世紀に慣習法を成文化した十二表法が生まれたのを起点に、民会立法、政務官や元老院の告示が出され、帝政期には皇帝の勅令なども法源となった。
歴史上初めて法学が生み出され、学者たちによる法や判例の研究と法令の集成が進められた。元来ローマの法は市民のみが対象であったが、市民権が拡大し、ヘレニズムのコスモポリタン思想の影響も加わって、帝国内のあらゆる民族に適用されるべき万民法が意識されるようになった。
4世紀からはキリスト教保護の法が新たに出されるが、立法よりも法令の編纂と集大成が皇帝によって推進され、5世紀になって『テオドシウス法』が成立し、6世紀には東ローマ帝国ユスティニアヌス王朝のユスティニアヌス1世がトリボニアヌスらの法学者に命じて大規模な『ローマ法大全』を編纂させた。

ヨーロッパ世界の形成と発展

東ヨーロッパ世界の成立

初期ビザンツ帝国

初期の絶頂期を現出したのが、ユスティニアヌス1世(ユスティニアヌス朝)である。

内政面でも、往時のローマの勢威を回復すべく、首都のハギア・ソフィア聖堂の再建をはじめ多くの教会堂を建立、また法学者トリボニアヌスらに命じて共和政以来のローマ法を集大成させた(『ローマ法大全』)。

東ローマ帝国 初期ビザンツ帝国
550年頃のビザンツ帝国 ユスティニアヌス朝 @Wikipedia
ローマ法大全:法概論・法学説・勅法集の3部よりなり、中世以降ヨーロッパ諸国の法体系に大きな影響を与えた。

また、経済的には国家統制による農業・商工業の振興に勤め、開墾や植民を奨励し、養蚕業を導入した。首都コンスタンティノープルは東西の物産の集散地として栄え、人口100万を数えた。

参考

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