国学の発達
元禄期に始まった『万葉集』などの古典研究は、18世紀後半になると、『古事記』や『日本書紀』などの歴史書の研究へと進み、それらの古典のなかに日本古来の精神、古道を明らかにしようとする国学に発展した。
国学の発達
化政文化 国学
荷田春満 (1669-1736) | 古典・国史を研究。国学の学校建設を将軍吉宗に建言。『創学校啓』 |
賀茂真淵 (1697-1769) | 『万葉集』『古事記』を研究し、古道を説く。 『国意考』(儒仏の影響をうけない純粋な日本固有の道で、復古思想を主張) 『万葉考』(『万葉集』の注釈書) |
本居宣長 (1730-1801) | 「もののあわれ」を提唱。国学の基礎を固める。 『古事記伝』(日本古来の「真心」の精神に返ることを主張) 『玉勝間』(宣長の随想集)』 |
塙保己一 (1746-1821) | 和漢の学に通じ、和学講談所を創立。 『群書類従』(古代から江戸初期までの国書の叢書) |
平田篤胤 (1776-1843) | 復古神道を説く。農村有力者にも信奉され、尊王攘夷論に影響。 『古史成文』『古史徴』『古史伝』 |
元禄期に始まった『万葉集』などの古典研究は、18世紀後半になると、『古事記』や『日本書紀』などの歴史書の研究へと進み、それらの古典のなかに日本古来の精神、古道を明らかにしようとする国学に発展した。契沖に学んだ荷田春満(1669-1736)は、『創学校啓』を書いて国学の学校建設を説き、その門人賀茂真淵(1697-1769)は、儒教・仏教などの外来思想の影響を受けない日本古代の思想、古道を追究し、『国意考』『万葉考』を著した。この国学を学問的・思想的に大成したのが伊勢松坂の本居宣長(1730-1801)である。宣長は『源氏物語』を研究して「もののあわれ」を主張し、『古事記』の精密な研究により古道を説き、外来思想を排除して日本古来の精神に返ることを主張した。宣長の影響を受けた平田篤胤(1776-1843)は激しく儒教・仏教を排斥して日本古来の純粋な信仰を尊ぶ復古神道を大成し、農村の有力者に広く受け入れられて、幕末の尊王攘夷運動に影響を与えた。
国学は、日本の古典の研究に道を開き、盲目の学者塙保己一(1746-1821)は、幕府の援助を受けて和学講談所を創立し、古典を収集・分類した『群書類従』を刊行して、歴史学・国文学研究に大きく貢献した。また、伴信友(1773-1846)も古典の考証に寄与した。