文化の特色 (17世紀末から18世紀初め)
- 鎖国状態が確立したことで外国の影響が少なくなり、日本独自の文化が成熟。
- 政治的な「平和」と安定のなかで学問が重視され、儒学だけでなく、天文・医・本草学などの科学的な分野でも進展
- 多様な文学を享受する広範な人々の存在と、 これを媒介する紙の生産や出版業の発展が、元禄文学の飛躍的な成長を促した
文化の特色
元禄文化の特色
時代 | 元禄時代(1688〜1704)を中心に17世紀半ば〜18世紀初め |
中心地 | 上方(京都・大坂) |
担い手 | 大名、上方の豪商、町人 |
特色 | 浮き世(現世)を表現、実証主義的傾向(儒学や化学・古典の研究) |
17世紀末から18世紀初めの元禄時代には,東アジアにおける清(王朝)の樹立がもたらす「平和」と、これに伴う幕政の安定と経済の目ざましい発展のもとで、社会は成熟した。この結果、元禄文化はそれまでとは異なり、武士や有力町人のみならず、下層町人や地方の百姓にいたる庶民にまで多彩な文化が受容されることになった。
元禄文化の特色は、一つには鎖国状態が確立したことで外国の影響が少なくなり、日本独自の文化が成熟したことである。とはいえこの時期には、一部に明(王朝)滅亡の影響もみられ、明からの亡命者を通して学問・仏教・庭園や近松門左衛門の戯曲にその影響を見出すことができる。特色の二つには、政治的な「平和」と安定のなかで、儒学のみならず学問が重視されたことがあげられる。しかも、天文・医・本草学などの科学的な分野でも進展がみられたことは特筆される。三つには多様な文学を享受する広範な人々の存在と、 これを媒介する紙の生産や出版業の発展が、元禄文学の飛躍的な成長を促した。このことは、元禄の美術についても共通しており、美術や工芸が大名・公家や上層町人にとどまらず、菱川師宣の美人画などのように、木版刷りを通して広範な層に受けとめられた。