ヘレニズム文化

ギリシア語:この時代のギリシア語は口語的・庶民的なものになり、コイネーと呼ばれる。ユダヤ教徒も聖書(旧約)をコイネーのギリシア語に訳した。のちの『新約聖書』もコイネーの代表的な書物である。
ポリスの衰退によって建築や美術には君主や富者の保護による文化の生活が強まった。
ペルガモンのゼウス祭壇、大図書館などは王や富豪の建設による。
美術は華麗で繊細なものになったが、技巧に走る傾向があった。ロードスでつくられた「ラオコーン像」や「ミロのヴィーナス像」、ペルガモン出土の「瀕死のガリア人」はその中でも特に優れた作品である。

ヘレニズム時代の思想
ゼノン(キブロス島出身) | エピクロス(サモス島出身) |
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禁欲主義(ストア派) | 快楽主義 |
アパティア 禁欲による理性的境地 | アタラクシア 心の平安・精神的快楽が人生の目的 |
世界市民主義に発展 ポリス的価値観をこえ、普遍的人間性を追求する態度 | 世間から離れ、心の平静を追求する隠遁的傾向 |
宇宙は2つの原理からなる →アリストテレスの影響 | 宇宙は原理からなる →デモクリトスの影響 |
ムセイオン(Museion):この言葉がミュージアム(museum)、博物館の語源である
キュレネのエラトステネスは地球の周りの長さをほぼ正確に測定し、サモスのアリスタルコスは太陽中心説を唱えた。またシラクサのアルキメデスなど、物理・数学のさまざまな原理を発見し、アレクサンドリアのエウクレイデスは平面幾何学を大成させた。
医学は解剖学を中心に発達した。またマッサリア(現マルセイユ)のピュテアスは大西洋を航海し、北海にまで達した。
これらヘレニズムの自然学はのちのイスラームの自然科学の発達を促し、ギリシア美術はこの時代に東方に伝えられ、インドから中国・日本にまでその様式が影響をおよぼした。