中世文化の特質
ケルン大聖堂 ステンドグラス Source Wikipedia
Previous Post

Next Post

中世文化の特質

西ヨーロッパ中世文化の第一の特質は、キリスト教を基調に成立し、展開したキリスト教文化であるという点である。教会の権威は絶大で、信仰をとおして生活や文化のあらゆる面を支配した。学問ではキリスト教神学が、芸術では教会用の建築・装飾・音楽が、そして文学でも宗教詩や宗教劇などキリスト教に題材をとるものが主流を占めた。

中世文化の特質

ヨーロッパ世界の形成と発展
ヨーロッパ世界の形成と発展 ©世界の歴史まっぷ

西ヨーロッパ中世文化の第一の特質は、キリスト教を基調に成立し、展開したキリスト教文化であるという点である。教会の権威は絶大で、信仰をとおして生活や文化のあらゆる面を支配した。学問ではキリスト教神学が、芸術では教会用の建築・装飾・音楽が、そして文学でも宗教詩や宗教劇などキリスト教に題材をとるものが主流を占めた。これらの文化・技術をになったのが聖職者や修道士である。とくに、「祈り、働け」を戒律とした修道院は、技術革新と大開墾時代をリードした。11世紀末に中部フランスのシトーに創設されたシトー派修道会、13世紀初頭フランチェスコによりアッシジに開かれたフランチェスコ会、ドミニコにより開かれたドミニコ会はその代表である。

従来の修道院が俗世から離れた場での修行を重視したのに対し、フランチェスコ会やドミニコ会は都市の中で信者の施しによって信仰と清貧に生きる道を選んだため、托鉢修道会たくはつしゅうどうかいとも呼ばれる。

また、中世には古代ローマ人の日常語であったラテン語から、フランス語・スペイン語・イタリア語などが発展するとともに、ゲルマン語系のドイツ語やオランダ語・英語などの各国語が形成されたため、ラテン語は次第に死語と化した。だが、聖書がラテン語で書かれていたため、聖職者(特に修道士)たちにとってラテン語の読み書きは不可欠であり、その意味でラテン語は中世の西ヨーロッパの学者・知識人の共通語であったと言える。そして、ラテン語を通して、中世の文化は民族性を超えた統一性・普遍性を持つことになった。中世末期になると、各国語による文学作品も生まれるが、学問の分野では近代にいたるまでラテン語が使用された。

その他、イベリア半島のトレドやシチリア島のパレルモなどを通して、イスラーム文化が翻訳(ラテン語訳)により流入したことも、中世後期の文化形成に大きく影響した。ヨーロッパの自然科学の発達は、アラビア科学の知識・思想の流入があってはじめて可能であった。また、イスラーム文化を介して間接的に古代ギリシアの学問が紹介されたことの意義も大きい。エウクレイデスの幾何学・アルキメデスの数学・物理学も大きな役割を果たしたが、特にアリストテレスの哲学・思想は、中世における学問の体系化に決定的な役割を果たした。

このように12世紀前後の西ヨーロッパでは、イスラームやビザンツを介してギリシアの古典文化が流入し、その刺激を受けて学問や芸術が花開き、各地に大学が設立された。これを12世紀ルネサンスという。

12世紀ルネサンスは、アメリカの歴史家チャールズ・ホーマー・ハスキンズの同名の書で注目されるようになった。イタリア・ルネサンスをもって中世と近代の画期とするそれまでの見方を批判し、中世の再評価を促した。