美術と文学 教会建築は、中世初期はバシリカ様式、ビザンツ帝国はビザンツ様式、西ヨーロッパは11世紀〜ロマネスク様式、12世紀末〜ゴシック様式。 文学は、ラテン文学は『フランス史』『カール大帝伝』、国語文学は『ベオウルフ』、フランスの武勲詩『ローランの歌』『アーサー王物語』、ドイツ人の民族叙事詩『ニーベルンゲンの歌』
美術と文学

建築
中世のキリスト教美術を代表するのは教会建築である。中世初期の段階では、長方形プランの大広間を持つローマ以来のバシリカ様式が一般的であったが、ビザンツ帝国ではバシリカにドーム(円蓋)を組み合わせたビザンツ様式が発展した(サン・マルコ大聖堂)。これに対し西ヨーロッパでは、11世紀頃から従来の木造建築にかわり、石造りの建築様式が流行するようになった。ロマネスク様式は、ラテン十字形の平面とローマ風の半円形アーチを用いた天井や厚い壁面をもち、どっしりとした重量感を感じさせるのが特徴である。代表的なものに、イタリアのピサ聖堂、ドイツのヴォルムス大聖堂、シュパイアー大聖堂(世界遺産)、マインツ大聖堂、フランスのクリュニー修道院、サント=マドレーヌ大聖堂(ヴェズレー)、サン=セルナン(トゥールーズ)などがある。 一方、12世紀末ころから北フランスを中心におこったゴシック様式は、高い尖塔とリブ(肋骨)を利用した丸天井をもち、薄い壁とステンドグラスの広い窓によって、軽快さと垂直・上昇への志向を感じさせるのが特徴である。この様式は、13〜14世紀にかけて全ヨーロッパに波及するが、その背景には市民階級の成長にともなう都市の勃興があった。代表的な建築に、フランスのノートルダム大聖堂(アミアン)、ノートルダム大聖堂(ランス)、シャルトル大聖堂、ノートルダム大聖堂(パリ)、ドイツのケルン大聖堂、ストラスブール大聖堂、フライブルク大聖堂、イギリスのカンタベリー大聖堂、ウェストミンスター寺院、イタリアのシエナ大聖堂、ミラノのドゥオーモなどの聖堂がある。文学
中世の文学は、ラテン文学とフランス・ドイツ・イギリスなどの国語文学に分かれる。ラテン文学は、古代ローマ以来の伝統の上にうえにたって多彩を極めたが、とくに歴史や書簡集に見るべきものが多い。『フランス史』を著したトゥールのグレゴリウス、百科全書『語源誌』20巻を著したセビリャのイシドールス、『カール大帝伝』のアインハルト、『ランゴバルド史』のパウルス・ディアコヌスらは有名である。国語文学の先駆的なものとしては、古英語の作品の英雄叙事詩『ベオウルフ』(8世紀)や『アングロ・サクソン年代記』(9世紀)などが名高い。
トルバドゥール、ミンネジンガーは、いずれも吟遊詩人の訳。トルバドゥール(創作する)からでた言葉で、詩人兼作曲家、現代風にいえばシンガー・ソングライターをさす。