エンパイアステートビルディング(New York City Serenade | Midtown Manhattan as seen from New … | Flickr)©Creative Commons Attribution 2.0

現代消費社会・現代文化の成立

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現代消費社会・現代文化の成立

合衆国の1920年代は禁酒時代となった。これは第一次世界大戦前から倫理的浄化を求める流れの延長上にあったが、一方で20年代は、ラジオ・ジャズ・映画・洗濯機・冷蔵庫など新しい現代生活・現代文化の原型が形づくられた時期でもあった。

現代消費社会・現代文化の成立

大戦中の1917年初め、議会で採択された全国禁酒法は20年から実施され、20年代は禁酒時代となった。これは大戦前から倫理的浄化を求める流れの延長上にあったが、一方で20年代は新しい現代生活・現代文化の原型が形づくられた時期でもあった。

禁酒法
酔っ払いの進行:禁酒運動を支援するナサニエル・カリアーよるリトグラフ(1846/WIKIMEDIA COMMONS)©Public Domain

酔っぱらいの進行。最初のグラスから墓まで。
Step1.友達とグラス。
Step2.寒さを防ぐためのグラス。
Step3.グラスが多すぎる。
Step4.酔って暴動。
Step5.頂上に達しました。陽気な仲間。確認された酔っぱらい。
Step6.貧困と病気。
Step7.友達に見捨てられた。
Step8.絶望と犯罪。
Step9.自殺による死。

1920年に営業が始められたラジオ放送は急速に普及し、20年代後半には全国ネットへと発展して、ラジオによる中継で野球やフットボールなどの大衆スポーツも人気を高め、ジャズもこの時代にラジオ・レコードによって大衆音楽の主役となった。戦前から人気のあった映画は、20年代末には全米で2万を越えるといわれた映画館の数が物語るように、大衆娯楽の主柱のひとつへと成長した。一般家庭への洗濯機・冷蔵庫などの家庭電化製品の普及による家事労働の軽減、自動車を利用した行楽、都市郊外の宅地開発による持ち家の拡大などによって、現代的な生活スタイルの原型が生まれ、女性の就労率も増加した。ニューヨークなどの大都市では、摩天楼と形容された近代的高層建築群で特徴づけられるようになった。その象徴となったエンパイアステートビルディングは竣工こそ31年になったが、企画・設計は20年代になされたものであった。

第一次世界大戦後の好況のなかで、アメリカ合衆国は空前の繁栄の時代を迎えた。ニューヨークでは高層ビルの建設があいつぎ、夜にはそれらに煌々と電燈が灯った。自家用車も普及し、交通渋滞も各地で見られた。その一方で狭いアパートで暮らす移民労働者も数多くいた。(山川 詳説世界史図録
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