社会の変動
春秋・戦国時代中期以降、鉄器が使用されるようになると農業は飛躍的に進歩し、商工業もさかんになった。青銅の貨幣を用い、手工業者や商人の数が増大した。周代の古い制度は崩れ、大土地所有者も現れ、実力万能の時代となった。
社会の変動
社会の変動
春秋・戦国時代は農業技術が発達し、新しい思想も現れており、のちの統一帝国の基礎が形成された重要な時代であった。春秋の終わりから戦国の初めに鉄器が広範に普及した。しかし、中国で初めて使用されたものは鋳鉄であり、それから2〜3世紀遅れて、鍛鉄が出現した。鋳鉄は鉄を溶かして鋳型に入れて作るものであり、もろい欠点をもっていた。そのため青銅器が武器や祭器に使用されたのに対し、土木器具や農具として使用された。それまでの中国の農具はすべて石器か木器であったから、春秋時代中期以降、鉄器が使用されるようになると、農業は飛躍的に進歩した。
また、ほぼ同じ時期に、牛に鉄製の犂を引かせることがおこなわれるようになった。このいわゆる牛耕と鉄製農具の使用で、農業生産がしだいに高まり、小家族でも自立した農業経営が可能となったため、氏族の統制はゆるんでいった。
また、抗争を続けた諸国はそれぞれ富国策をとったので、商工業がさかんになった。中でも、東方の斉は桓公のとき、名臣管仲が製塩業などをさかんにして、巨大な利益を得た経済政策のおかげで、春秋時代、第一の覇者となった。戦国時代には、官営工業の他に民営の手工業者も数多く現れ、その主なものは製鉄と製塩であった。
戦国末期には、各国で環銭が用いられた。秦が天下を統一したあと、秦の始皇帝は通貨を円形方孔の半両銭に統一し、その形は後代の銭の基本形となった。
商工業の発達にともない、商人のなかには王侯とならぶほどの富を持つものも現れた。また、都市の規模も大きくなり、そのなかに手工業者や商人の数が増大した。彼らの経済力は、都市生活を豊かにした。都市には商店が並び、各種の商品を売っていた。とりわけ斉の国都臨淄の繁栄は名高い。
このような情勢のうちに、周代の古い制度は崩れ、それまで公有であったといわれる土地は私有となった。土地が私有に移ったことは、同時に大土地所有の出発でもあった。とくに治水灌漑事業が大規模に進められた結果、共同体的な農業は大きな影響をうけ、家族による土地私有が始まり、戦国時代には大土地所有者も現れた。また「封建」体制下の世襲的身分や氏族制的な統制もゆるみ、実力万能の時代となった。
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