24.西ヨーロッパの中世文化
- 1. スコラ学の発達
- 2. 大学の誕生
- 3. 中世文学と教会建築
- 4. 教会建築
24.西ヨーロッパの中世文化
1. スコラ学の発達
西ヨーロッパの中世は
キリスト教の時代であり、神の栄光を示すために学問があると考えられ、
神学が最高の学問とされた。神学は、教父とくにアウグスティヌスの思想を基礎に、カール大帝に仕えた
アルクインらによって始められ、
アリストテレスの哲学の影響を受けて体系化され、
スコラ学とよばれるようになった。スコラ学においては、実在論の立場をとる
アンセルムスらと唯名論の立場をとる
ピエール・アベラールらとが対立して、長い間、論争をくりかえした。これを
普遍論争とよぶ。13世紀に『
神学大全』を書いた
トマス・アクィナスによってスコラ学は集大成されるにいたった。「哲学は神学の
婢」といわれるように、哲学は神学の補助学問とみなされ、哲学や自然科学はあまり発達しなかった。しかし、12世紀前後から流入してきたイスラームの自然科学・哲学の影響を受けて、新しい動きがみられるようになった。
2. 大学の誕生
中世の教育機関は、長い間、教会や修道院の付属施設としての学校に限られていた。しかし、11〜12世紀頃から各地に大学が生まれはじめた。医学で知られる
サレルノ大学は12〜13世紀に最盛期を、法学中心の
ボローニャ大学11世紀末に創立され、神学で有名な
パリ大学とオクスフォード大学はそれぞれ12世紀半ば以降に生まれた。これらの大学は教師や学生の共同体として始まったものだが、教皇や国王の保護を受け、自治権を獲得し、その制度をととのえていった。大学では、7自由学科とよばれる下級3学(文法・修法学・医学・(哲学)などの学部をもつようになった。
3. 中世文学と教会建築
中世初期、年代記や聖人伝、詩や物語などは、聖職者により共通語であった
ラテン語で書かれていたが、11世紀頃から口語(俗語)で書かれた英雄叙事詩や騎士道物語が現れてくる。これらは語り継がれ、文字に書き記されていった。北フランスではカール大帝のイベリア半島でのイスラーム勢力との戦いを舞台に騎士の勇敢さと友情・愛をうたった『
ローランの歌』が、イギリスではケルトの英雄を題材とした『
アーサー王物語』が12世紀にそれぞれ成立した。ドイツではブルグンド人の英雄を扱った叙事詩『
ニーベルンゲンの歌』が13世紀に完成した。また12世紀の南フランスでは、トゥルバドゥールとよばれる吟遊詩人たちによって、貴婦人への愛をうたった叙事詩がつくられた。
中世都市は信仰心の高まりとその経済力を背景に、きそって石造の教会を建てた。
教会建築は中世ヨーロッパの美術を代表するものである。11世紀にはあつい石壁に小さな窓をもつ重厚な
ロマネスク様式が生み出されたが、12世紀には尖頭アーチと空高くそびえる塔を特徴とする
ゴシック様式が現れ、窓は美しい
ステンドグラスでかざられた。
4. 教会建築
参考 流れ図で攻略詳説世界史B―New