ヨーロッパ諸地域のルネサンス文化
バベルの塔 (ピーテル・ブリューゲル画/美術史美術館蔵) ©Public Domain

ヨーロッパ諸地域のルネサンス文化

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ヨーロッパ諸地域のルネサンス文化

絵画
フランドル派:ファン・エイク兄弟、ヒエロニムス・ボス、ピーテル・ブリューゲル
ドイツ:ルーカス・クラナッハ、アルブレヒト・デューラー、ハンス・ホルバイン
ヒューマニズム
ネーデルラント:デジデリウス・エラスムス
イギリス:ジェフリー・チョーサー、トマス・モア、ウィリアム・シェイクスピア
スペイン:ミゲル・デ・セルバンテス
フランス:フランソワ・ラブレー、ミシェル・ド・モンテーニュ

ヨーロッパ諸地域のルネサンス文化

絵画

フランドル派

イタリアと並んで北ヨーロッパにもルネサンス美術が生まれた。ネーデルラントの フランドル地方は毛織物工業と貿易で栄え、中世末から市民階級が台頭し、豊かな経済力を背景にすぐれた文化を生みだした。フランドルではゴシック的要素を残しているが、祭壇画や肖像画に新しい技法をとりいれた ファン・エイク兄弟、(兄:フーベルト・ファン・エイク(1385年頃〜1426年)、弟:ヤン・ファン・エイク(1395年頃〜1441年))、奔放な幻想性をもって地獄や怪物を描いた得意な画家として知られる ヒエロニムス・ボス(1450年頃〜1516年)、農民の風俗をいきいきと描いたピーテル・ブリューゲル(1525年頃〜1569)などフランドル派の画家が活躍した。

ルネサンス
アルノルフィーニ夫妻像 (ヤン・ファン・エイク画/ナショナル・ギャラリー蔵) ©Public Domain
ルネサンス
ヘントの祭壇画 (フーベルトが制作を開始しその死後に弟ヤンが完成させた/St Bavo’s Cathedral, Ghent蔵) ©Public Domain

奔放な幻想性をもって地獄や怪物を描いた得意な画家として知られる ヒエロニムス・ボス(1450年頃〜1516年)

ルネサンス
快楽の園 (ヒエロニムス・ボス画/プラド美術館蔵) ©Public Domain

農民の風俗をいきいきと描いたピーテル・ブリューゲル(1525年頃〜1569)

ルネサンス
バベルの塔 (ピーテル・ブリューゲル画/美術史美術館蔵) ©Public Domain

ドイツ

ドイツでは、独特の官能性を女神の裸体画などで表現したルーカス・クラナッハ(1472年〜1553年)、すぐれた写実性と力強い個性を持ち、銅版画などに多くの傑作を残したアルブレヒト・デューラー(1471年〜1528年)がルネサンスの美術かを代表する。

独特の官能性を女神の裸体画などで表現したルーカス・ クラナッハ(1472年〜1553年)

ルネサンス
三美神 (ルーカス・クラナッハ画/ルーブル美術館蔵) ©Public Domain

すぐれた写実性と力強い個性を持ち、銅版画などに多くの傑作を残したアルブレヒト・ デューラー(1471年〜1528年)

ルネサンス
書斎の聖ヒエロニムス (アルブレヒト・デューラー作/Kupferstich-Kabinett, Dresden蔵) ©Public Domain

また、南ドイツのアウクスブルクの ハンス・ホルバイン(1497年頃〜1543年)は、イタリアを旅行したあと、イギリスに渡り宮廷画家としてヘンリー8世(イングランド王)の肖像画を残した。堂々たる人物、豪華な衣装や持ち物などを精緻せいちに描画している。

ヘンリー8世(イングランド王) ルネサンス
ヘンリー8世の肖像 (ハンス・ホルパイン作/ウォーカー・アート・ギャラリー蔵)
©Public Domain
ヘンリー8世(イングランド王) ルネサンス
ヘンリー8世の肖像 (ハンス・ホルバイン作/ティッセン=ポルネミッサ美術館蔵) ©Public Domain

ヒューマニズム

ネーデルラント

ヒューマニズムはイタリアを超えヨーロッパ各地に広まった。古典を研究し、新しい目で人間を見つめようとする態度である。ネーデルラントのロッテルダム出身のデジデリウス・エラスムス(1466年〜1536年)は、古典やギリシア語の新約聖書を研究し、ヨーロッパで著名なヒューマニストであったが、その著書『 愚神礼賛』では、聖職者の道徳的堕落を風刺するとともに、賢さの限界、愚かさの持つ人間性などを愚神の口をかりて語っている。

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イギリス

イギリスではカンタベリ大聖堂参拝の貴賎老若さまざまな人々の個性描写をおこなった『 カンタベリー物語』を書き、イギリス国民文学の開拓者と言われたジェフリー・チョーサー( 1343年頃〜1400年)が14世紀に出た。

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またデジデリウス・エラスムスの友人のイギリスの トマス・モア(1478年〜1535年)は、宗教政策に反対し刑死したが、その著『 ユートピア』で、どこにもないあるべき理想社会を描くことによって、現実の政治や社会のもつ不合理を明らかにした。

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エリザベス1世(イングランド女王)の時代に活躍したウィリアム・シェイクスピア(1564年〜1616年)は、人間性を深く洞察し、『 ハムレット』『 リア王』など多くの戯曲を書き、イギリス文学を代表する人物となった。

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スペイン

スペインでは、時代遅れの騎士道を夢見て諸国を旅する郷士の物語『 ドン・キホーテ』を書いたミゲル・デ・セルバンテス(1547年〜1616年)が有名である。彼はドン・キホーテをつうじて時代を風刺するとともに、人間の本質を鋭く捉えようとしている。

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フランス

フランスの著名なヒューマニストであるフランソワ・ラブレー(1483年〜1553年)は、その著『 ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』で、博学、多彩な知識を駆使して、ガルガンチュワとパンタグリュエルという架空の巨大父子のでたらめな話を作り上げ、あらゆる権威を笑い飛ばし、高らかに人間開放をうたいあげた。

フランスの宗教内乱の渦中に生きたミシェル・ド・モンテーニュ(1533年〜1592年)は、蓄積された古典の教養を基礎に身近の観察や考察を『 随想録』として書き綴り、暖かくも鋭い人間観察を行い、モラリストの名で呼ばれるフランスの知識人の祖となった。

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