人種と言語の分化
現生人類が各地に広がり、それぞれの地域の自然環境に適応して生きていく過程で、各地の人類の間にそれぞれ身体上の特徴が生まれ、人種の別が生じていった。人体の皮膚や眼球は遺物として残存しないので、人種の形成過程を知るのは非常に困難であるが、新人の中でもイタリアで見つかるコンプ・カペル型とフランスなどのクロマニョン型の間には背の高さなどに相違が見出される。
人種と言語の分化
現生人類が各地に広がり、それぞれの地域の自然環境に適応して生きていく過程で、各地の人類の間にそれぞれ身体上の特徴が生まれ、人種の別が生じていった。人体の皮膚や眼球は遺物として残存しないので、人種の形成過程を知るのは非常に困難であるが、新人の中でもイタリアで見つかるコンプ・カペル型とフランスなどのクロマニョン型の間には背の高さなどに相違が見出される。しかしアフリカでは明瞭に黒人の型を示す骨格は、1万年前より古いものは見つかっていない。それに対し、周口店上洞人の骨格は現代の中国人やメラネシア人とよく似ているという。これとともに多数の言語や民族も、人類の多様な生活と文化の変化・発展・伝播によって成立していった。
人種とは、身長・頭の形・皮膚の色・毛髪・眼球の色・血液型などの生物学上の特徴で人類の集団を分類する概念である。現存する人種は大別すると白色人種(コーカソイド)・黄色人種(モンゴロイド)・黒色人種(ネグロイド)に分けられる。
語族とは本来言語を分類する概念であるが、同じ言語を話す人間集団を歴史学の上では語族とも称している。
民族とは言語を最も主要な基盤とし、宗教や社会的慣習など、文化的伝統を同じくする集団をさして用いる概念である。人類社会の進展に伴い多くの人種・民族が接触することになり、一方による他方の支配や混血、複数の人種・民族がひとつの国家に支配されることも生じ、そこからさまざまな問題が現れることになる。
語族
インド=ヨーロッパ語族 | ヨーロッパのゲルマン語派・イタリック語派・スラヴ語派・ケルト語派・ヘレニック系語派・アジアのインド=イラン語派などを包摂する一大語群 |
インド=ヨーロッパ語系 | 広くインドからヨーロッパに分布するインド=ヨーロッパ語族に属する言語を話す人々。ヒッタイト人やイラン人が代表。18世紀にサンスクリット語とヨーロッパ系言語が類似することがわかり研究が始まった。 |
ウラル語族 | ウラル山脈の西側を現住地とする言語集団。ハンガリー語・フィンランド語・エストニア語など |
アルタイ語族 | ユーラシア大陸のアジア地域に広がるトルコ語・モンゴル語・ウイグル語・ツングース語など。日本語と朝鮮語を含める説もあるが、異論もある。 |
シナ=チベット語族 | 中国大陸を中心に、東アジアと東南アジア地域に分布する語族。東方の漢語・タイ語や、西方のチベット語・ビルマ(ミャンマー)語がある。 |
オーストロネシア語族 | マレーシア(ムラユ)語・インドネシア語・タガログ語など |
オーストロアジア語族 | ベトナム語・クメール(カンボジア)語・モン語など |
ドラヴィダ語族 | タミル語など、現在、南インドでもちいられる言語集団。 |
アフロ=アジア語族 | 西アジアから北アフリカ地域で使われている語群の総称。セム語派とエジプト語派、チャド語派など |
セム語派 | アッカド語・バビロニア語・アッシリア語・アラム語・フェニキア語・ヘブライ語・アラビア語など |
エジプト語派 | 古代エジプト語およびその系統を直接引いたコプト語が該当する |
アフリカ諸語 | 少なくとも総数800から1000を数えるアフリカの諸語。フルフルデ(フラニ)語・スワヒリ語・ハウサ語・バントゥー諸語・コイサン諸語など |
アメリカ諸語 | イヌイット語・アサヴァスカ諸語(ナヴォホ語など)・マヤ諸語・ケチュア語など |