メソポタミアの文化
多神教, 楔形文字, 粘土板, 天文・暦法, 閏年, 六十進法
7日をもって1週間とすることなどは、今日まで引き継がれているメソポタミア文明の遺産である。
シュメールで発達したすぐれた宗教文学(神話や叙事詩)は、セム語系諸民族の間にも伝わって大きな影響を与えた。
メソポタミアの文化
メソポタミアでは、各地・各都市の守護神や自然をまつる多神教がおこなわれたが、優勢な民族の交替が頻繁であったため、その時々によって崇拝される最高神もかわった(古バビロニア王国では、バビロン市の守護神マルドゥクが国家神としてまつられた)。またシュメールで発達したすぐれた宗教文学(神話や叙事詩)は、セム語系諸民族の間にも伝わって大きな影響を与えた。
メソポタミアでは、のちの文明のもとになる各種の技術や文化も生み出された。文字はシュメール人が創始した楔形文字が、言語系統のことなるセム語系やインド=ヨーロッパ語系の民族の間でも使用され、アケメネス朝にいたるまで人々はこの文字を粘土板に記した。また占星術を行なったり農作業の時期を正しく知る必要から、天文・暦法が発達した。六十進法にもとづく時間の観念や方位の観念、7日をもって1週間とすることなどは、今日まで引き継がれているメソポタミア文明の遺産である。このほか、ハンムラビ法典にみられるような法の体系化がなされたことも重要である。メソポタミア文明の一般的特徴としては、実用的な分野での文化が発達した反面、実用性をこえて真の科学を生み出す、原理的・理論的な面での発達があまりみられなかったことがあげられる。
ギルガメシュ叙事詩と洪水伝説
ウルクの王ギルガメシュを主人公とする叙事詩は、元来はシュメール起源であったが、後世のいくつかのオリエントの言語で書かれたテキストが伝存する。主題は永遠の生命を求めてさまよう英雄の物語である。その一部に『旧約聖書』のノアの洪水伝説の原型と思われる話が出てくる。ティグリス・ユーフラテスの河口付近に居住していたシュメール人は、両河の洪水に悩まされ、そこから洪水伝説も生まれたのであろう。