トンイ
賤民(民衆より下位に置かれた身分。朝鮮では、僧侶、胥吏、女官、妓生、医女、男寺党、奴婢、白丁などが賤民とされた。)の身分から李氏朝鮮第19代王・粛宗(スクチョン)の側室となり、後の第21代王・英祖(ヨンジョ)の生母となったトンイ(モデル: 淑嬪崔氏)の一代記。
李氏朝鮮(朝鮮王朝)の最も派閥党争の激しかった時代を背景に、粛宗(朝鮮)を巡るロマンス、女性同士の権力争い、そして英祖の成長過程を交えながらドラマチックに描いていく。
トンイは、ある日を堺に父と兄が濡れ衣を着せられて亡くなるという過酷な環境に追い込まれた。トンイは、父と兄の無罪を証明しようと、二人が巻き込まれた事件の真相を確かめるために、宮廷で下働きをはじめるが…。
トンイ
時代背景
在位中、南人と西人の党派対立が激しく、換局(ファングク)を繰り返す。
- 1680年(粛宗6年) 庚申換局
- 南人を大量に追放した庚申換局を契機に南人政権は崩壊し、西人が政権を掌握するが、西人は老論と少論に分裂し対立するようになる。
- 1689年(粛宗15年) 己巳換局
- 粛宗は西人が提起した元子問題を口実に西人を失脚させる一方、南人を再び重用する。
- 1694年(粛宗20年) 甲戌換局
- 粛宗は張氏を禧嬪に冊封し(禧嬪張氏(ヒビン チャンシ))、後に王后の座に上げたが、張氏の挙動が非常に野放図だったので、粛宗はこれに対抗して仁顕王后を復位させ、南人を退出させ、西人が再び政権を執ることになる。
- 1727年(英祖3年)
- 英祖は党派心が非常に強い者らを排除するために蕩平策(党派間の政治勢力の均衡をはかった政策)を推進する。これを契機に、西人から分派した少論は失脚するが、また別の西人である老論はそのまま政権を執る。
登場人物
同伊
11〜49歳。後の淑嬪崔氏。明朗活発で聡明。
父と兄が濡れ衣を着せられて、惨殺されて孤児なる。
捕盗庁(ポドチョン)(李氏朝鮮の 成宗代から 中宗代にかけて創設された、漢城府及び京畿道の警察業務を担当する部署。現在の日本の警視庁に相当する。略して「捕庁」とも呼ぶ。)の従事官のソ・ヨンギの執拗な追跡を逃れ、平壌の芸妓のソリの助けで、奴婢(トビ)(朝鮮の奴婢制度は箕子朝鮮からはじまり、他人の家に盗みに入ったものはその家の奴隷となり、男は奴、女は婢と定められた。)として掌楽院(チャンアグォン)(宮廷楽団を担当する部署)に入る。
前向きで持ち前の機知で、宮廷女官へと抜擢され、やがて粛宗の寵愛を受ける身となる。
延礽君(ヨニングン)(後の英祖)に対する帝王教育や恩人との出会い、延礽君の篤い考道によって、彼女の人生は大きく動いていく。
粛宗
第19代王。在位1674年〜1720。
粛宗(朝鮮)は、諱は焞(スン)、字は明普(ミョンボ)。
朝鮮最高の絶対君主として、王権の確立に成功する。
14歳で即位し、卓越した指導力と該博な知識を以って、老獪な臣下を押さえる。
巧妙に朋党(政治的な思想や利害を共通する官僚同士が結んだ党派集団)政治を利用する豪胆な君主として、臣下の上に君臨する。
また、多情多感で多くの宮中の女性を愛する。
王室行事の席で、才智に長けたトンイを見初め、深く愛する。
禧嬪張氏
24歳〜
粛宗(朝鮮)に寵愛されるが、一時、大妃により宮廷から追放される。
しかし南人のバックアップで返り咲き、王子を出産して、嬪を賜る。
仁顕王妃が廃位されるや王妃の座につくが、結局は毒薬を賜り、生涯を閉じる。
トンイとは常に対立関係にある。
車天壽
20歳〜55歳。
漢陽剣契の新指導者。
賤民として、昼は補盗庁で検屍の業務に携わるが、夜には官僚の悪事を暴く、地下組織のコムゲの要員として活躍する。
学問に関心が深く、武術に秀でる。
トンイの父からは深く信頼され、トンイの兄とは竹馬の友。
一生涯、ひたすらにトンイを想い、守り抜く。
徐龍基
30歳〜60歳補盗庁従事官。
公明正大な正確で、万事に卒がない。
トンイの父の能力を評価し、情を掛ける。
しかし、父親がコムゲの要員に殺害されてからは、コムゲの掃討に奔走する。
トンイには好意的で、力になる。
仁顕王后
16歳〜。粛宗(朝鮮)の継妃。
温厚な正確だが、粛宗からは疎まれ、廃位される。
甲戌換局で復位するものの、病により薨去する。
年下のトンイを慈しみ労る。
画像/内容: KNTVより引用
登場人物相関図
画像出典: TV TOKYO
画像出典: KNTV『トンイ』スペシャルサイト!!!韓流の原点♪KNTV♪韓国ドラマ
李氏朝鮮 歴代王一覧
右にスクロールします
李氏朝鮮国王一覧
姓・諱 | 廟号 | 日本読み | 朝鮮読み | 在位開始 | 在位終了 | 作品 | 党派 | 乱 | 父 | 母 | 封号 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
李氏朝鮮 | 第1 | 李成桂 | 太祖 | たいそ | 1393 | 1398 | 勲旧派 | 李子春 | 永興崔氏 | 権知高麗国事 | |||||||||
第2 | 李芳果 | 定宗 | ていそう | チョンジョン | 1398 | 1400 | 太祖 | 神懿王后 | 次男 | ||||||||||
第3 | 李芳遠 | 太宗 | たいそう | テジョン | 1400 | 1401 | 太祖 | 神懿王后 | 五男 | ||||||||||
1401 | 1418 | 朝鮮国王 | |||||||||||||||||
第4 | 李裪 | 世宗 | せいそう | セジョン | 1418 | 1450 | 太宗 | 元敬王后・閔氏 | 三男 | ||||||||||
第5 | 李珦 | 文宗 | ぶんそう | ムンジョン | 1450 | 1452 | 王女の男 | 世宗 | 昭憲王后・沈氏 | 長男 | |||||||||
第6 | 李弘暐 | 端宗 | たんそう | タンジョン | 1452 | 1455 | 癸酉靖難 | 文宗 | 顕徳王后・權氏 | ||||||||||
第7 | 李瑈 | 世祖 | せいそ | セジョ | 1455 | 1468 | 李施愛の乱 | 世宗 | 昭憲王后・沈氏 | 次男 | |||||||||
第8 | 李晄 | 睿宗 | えいそう | イェジョン | 1468 | 1469 | 世祖 | 貞熹王后・尹氏 | 次男 | ||||||||||
第9 | 李娎 | 成宗 | せいそう | ソンジョン | 1469 | 1494 | 士林派 | 世祖の長男・懿敬世子 | 仁粋大妃 | 次男 | |||||||||
第10 | 李㦕 | 燕山君 | えんざんくん | ヨンサングン | 1494 | 1506 | 戊午士禍 甲子士禍 中宗反正 | 成宗 | 廃妃・尹氏 | 長男 | |||||||||
第11 | 李懌 | 中宗 | ちゅうそう | チュンジュン | 1506 | 1544 | 己卯士禍 | 成宗の次男 | 貞顕王后・尹氏 | ||||||||||
第12 | 李峼 | 仁宗 | じんそう | インジョン | 1544 | 1545 | 中宗 | 章敬王后・尹氏 | 長男 | ||||||||||
第13 | 李峘 | 明宗 | めいそう | ミョンジョン | 1545 | 1567 | 乙巳士禍 | 中宗 | 文定王后 | 次男 | |||||||||
第14 | 李昖 | 宣祖 | せんそ | ソンジョ | 1567 | 1608 | 西人 | 東人 | 文禄・慶長の役 | 中宗の三男・徳興大院君 | 河東府大夫人鄭氏 | 長男 | |||||||
第15 | 李琿 | 光海君 | こうかいくん | クァンヘグン | 1608 | 1623 | 南人 | 北人 | 宣祖 | 恭嬪金氏 | 次男 | ||||||||
第16 | 李倧 | 仁祖 | じんそ | インジョ | 1623 | 1649 | 小北 | 大北 | 宣祖の五男・定遠君(庶子) | 仁献王后 | 長男 | ||||||||
第17 | 李淏 | 孝宗 | こうそう | ヒョジュン | 1649 | 1659 | 仁祖 | ||||||||||||
第18 | 李棩 | 顕宗 | けんそう | ヒョンジョン | 1659 | 1673 | 西人粛清 | 孝宗 | 仁宣王后 | 長男 | |||||||||
第19 | 李焞 | 粛宗 | しゅくそう | スクチョン | 1674 | 1720 | トンイ | 老論 | 少論 | 甲寅礼訴 庚申換局 | 顕宗 | 明聖王后 | 長男 | ||||||
第20 | 李昀 | 景宗 | けいそう | キョンジョン | 1720 | 1724 | 辛壬士禍 | 粛宗 | 禧嬪張氏 | 長男(庶子) | |||||||||
第21 | 李昑 | 英祖 | えいそ | ヨンジョ | 1724 | 1776 | イ・サン | 僻派 | 時派 | 壬午士禍 | 粛宗 | 淑嬪崔氏 | 次男(庶子) | ||||||
第22 | 李祘 | 正祖 | せいそ | チョンジョ | 1776 | 1800 | 功西 | 信西 | 辛酉教獄 | 英祖の次男・荘献世子 | 恵慶宮洪氏 | 次男 | |||||||
第23 | 李玜 | 純祖 | じゅんそ | スンジョ | 1800 | 1834 | 僻派 | 勢道政治 (安東金氏) | 正祖 | 綏嬪朴氏 | 次男 | ||||||||
第24 | 李奐 | 憲宗 | けんそう | ホンジョン | 1834 | 1849 | 純祖の長男・孝明世子 | 神貞王后 | 長男 | ||||||||||
第25 | 李昪 | 哲宗 | てっそう | チョルジュン | 1849 | 1863 | 正祖の弟・恩彦君の子・恩彦君 | 龍城府大夫人廉氏 | 三男 | ||||||||||
第26 | 李熙 | 高宗 | こうそう | コジュン | 1863 | 1897 | 明成皇后 | 江華島事件 壬午事変 甲申政変 東学党の乱 乙未事変 | 英祖の次男・荘献世子の三男・恩信君 の養子・南延君の四男・興宣大院君 | 驪興府大夫人閔氏 | 次男 | ||||||||
大韓帝国 | 高宗 | 1897 | 1907 | 第1代皇帝 | |||||||||||||||
第27 | 李坧 | 純宗 | じゅんそう | スンジュン | 1907 | 1910 | 高宗 | 明成皇后閔氏 | 長男 | 第2代皇帝 |
トンイ/イ・サン 李氏朝鮮国王相関図
DVD
あらすじ
第1話-第10話
第1話
粛宗(スクチョン)7年(1681年)。朝鮮王朝時代の党派の一つ、南人(ナミン)の高官が殺される事件が3件起こる。従事官(チョンサグァン)ソ・ヨンギは、剣契(コムゲ)の仕業と推測する。剣契(コムゲ)とは奴婢の逃亡を助ける秘密組織だった。しかし黒幕は同じ南人(ナミン)のオ・テソクで、彼が証拠品を仕込み剣契(コムゲ)に罪を着せたのだった。賤民の娘トンイは、殺された高官の一人大司憲(テサホン)の断末魔を目撃し、オ・テソクたちから追われることになる。自分の父親が剣契の頭であることを、トンイは知る由もなかった。
第2話
高官殺しの濡れ衣を着せられた剣契(コムゲ)。行方が分からなかったトンイは問安婢(ムナンビ)として立派な屋敷に連れていかれていた。剣契(コムゲ)の仕業ではないと気づき始めたソ・ヨンギはトンイの父チェ・ヒョウォンから黒幕が南人(ナミン)である可能性を知らされる。チェ・ヒョウォンはトンイを都から逃がそうとしていたが、トンイは問安婢(ムナンビ)をやりたくて逃げだす。そして問安婢(ムナンビ)に行った先はオ・テソクの屋敷であった。罠にはまったチェ・ヒョウォンたちは捕らわれの身となる。
第3話
チョンスは自分もトンイの父も兄も剣契だった事実を知らされる。チョンスはそこで生き延びたトンジェらと合流し捕らえられた同志を助け出す作戦を練る。そのために必要な火薬を調達に一緒に行ったトンイはそこで、イクホンが最後に見せた同じ合図をする宮女に出会う。それは粛宗(朝鮮)の側室になる予定の張玉貞だった。彼女が落とした蝶の鍵牌を拾ったトンイだが、合図のことは聞けずに分かれてしまう。生き延び剣契を再起しろという首長の命令を破り助けに向かったチョンス。トンイは都を離れようとしていたが、父が処刑されると知り、走り出した。チョンスたちによって逃走を図ったがトンジュとヒョウォンは死んでしまう。父と兄、そしてチョンスまでも死んでしまいトンイは1人になってしまった。
第4話
夢で生き延びろという父の呼びかけに、生きると決意したトンイは1人何とか生き延びていた。その頃、都では剣契とその家族を捕らえていた。イクホンの最期に会ったトンイをテソクは探し出し処理しようとしていた。ケドゥラと共に何とか生き延びていたトンイだったが、腹痛のケドォラを医員につれて行ったことで見つかってしまう。逃げ回るトンイを見つけたソ・ヨンギ。トンイはヨンギに助けを請い、父が無実だと訴える。その姿に打たれたヨンギはトンイを見逃すのだった。チョンスからトンイを逃すよう頼まれていた妓生のソリは養子縁組をしてケドォラとトンイを都から避難させようとしていた。だがトンイは父の無罪を晴らすため都に残り、一番安全な宮廷に行かせてくれと頼むのだった。
第5話
ソリの計らいで宮廷の掌楽院の奴婢として暮らし、6年の月日が経っていた。ある日トンイは、夜中にこっそりヘグムを弾いていると、その音色を粛宗王が気に入り、演奏して者を捜せと内官に命令する。だが奴婢であるトンイが弾いていたことが知れると主簿もトンイも罪に罰せられると思い、チュボのジュシクはトンイを宮廷の外にある楽器を作る鋳鐘所の手伝いとして行かせる。トンイはそこで自分が探してしる宮女の鍵牌の絵柄を同じものが描かれたメモを見つけ、それを作った頭木匠を追いかけ持ち主を聞こうとするが間に合わなかった。そのころオクチョンは再入宮を控えていた。だがそれを反対する大妃が、オクチョンの入宮に合わせてオクチョンを貶める策略を企てていた。それは国の音を乱す音変を細工したのだった。オクチョンが捜している宮女ではないかと感じたトンイは、確かめるためにオクチョンの宿所へ行くが、そこで何者かに捕われてします。トンイが縛られ閉じ込められた小屋で、編磬匠が殺されていた。
第6話
閉じ込められたトンイ、そして殺された編磬匠。何とかそこから逃げ出したトンイは、警守所に行き編磬匠が殺されたと通報するが、小屋に戻ってみると、編磬匠の死体は消えていた。仕方なく宮廷に戻ったトンイは、音変の原因は編磬かもしれないと思い、ヨンダルの協力してもらい編磬匠の家に行く。そこで怪しい者が何かを持ち出しているのを発見する。そして編磬匠の死体があった小屋で証拠を探そうとしていたところに、暗行に出ていた粛宗と出会うのだが、怪しい者に終われ2人はそこから何とか逃げ出した。そして粛胸はトンイが編磬匠の死体の発見者だと知り、2人は怪しい者が編磬匠の家から運んだ場所を 探りに行くのだった。王と名乗れない粛宗は、判官だとうそをつくのだった。音変の証拠品を奪ったトンイと粛宗だったが、見つかってしまい命の危機にさらされるのだった。
第7話
命の危機にさらされた粛宗とトンイ。粛宗は自分が王であるとなのり危機を脱せようとするが、信じるはずがない。その時、報告を受けた捕庁の兵が現れ、助かったトンイと粛宗だった。トンイの手柄により音変は岩塩を使い編磬に細工をしたためだと明かすことができた。そして判官を装っていた粛宗はトンイに褒美を与えるのだった。トンイの存在を知らされたオクチョンもまたトンイに興味を持っていた。そこころ掌楽院にオ・テソクの弟であるオ・テプンとその息子のホヤンが新しい副提調と僉正として赴任してきた。昼夜問わず妓生遊びに明け暮れる2人だったが、ホヤンがトンイにまで手を出そうとしていた。それを拒んだトンイは罰せられることになったが、その時、オクチョンがトンイを呼んだことで何とかまぬがれた。そしてオクチョンと会うことができたトンイ。6年間捜している宮女がオクチョンなのかを確かめるために、トンイは鍵牌を見せてくれと申し出るのだった。
第8話
トンイの申し出を聞き入れ、鍵牌を見せてくれたオクチョン。だがその鍵牌はトンイが見たものではなかった。そして翌日オクチョンの母の使いでオクチョンに薬を届けることになったトンイ。だが門限を過ぎてしまい困っていたが、通りかかった粛宗のおかげで無事宮廷に戻ることができた。そのころ死んだと思っていたチョンスがキム・ファンに助けられ生き延びトンイを捜していた。一方宮廷では編磬匠の死体を発見した奴婢がトンイという名だと知ったソ・ヨンギは、その子がヒョウォンの娘のトンイではないかと疑い調べるのだった。そして父と兄も命日。トンイは父たちが殺された絶壁で供養していた。同じごろチョンスもそこに向かっていた。トンイが落としていったハチマキをみつけたチョンス。トンイがこの都で生きていることを知る。
第9話
父と兄の命日の供養からの帰り道、チョンスにもらったハチマキを落とした事に気づいたトンイが、引き返そうとした時、トンイは兵に捕われてします。実は昨日オクチョンの薬をもらいにいった薬房の医員が殺害され、薬房に出入りしたトンイも尋問を受けるために連行されたのだった。オクチョンに届ける薬とは言えないトンイは楽師たちの使いで言ったとうそをつく。その時、トンイを捜していたヨンギが現れた。ヨンギが父と自分を追っていたあの時の従事官だと気づいたトンイは、ヨンギが捜しているトンイは自分ではないと答える。そのころ、中殿の湯薬から毒が見つかり大騒ぎになっていたが、それはオクチョンが仕組んだことだという策略が企てられていた。そこで薬を運んだと思われるトンイは監察府に連行されるのだった。だがオクチョンに届ける薬だとは最後まで自白せずにいたが、トンイを助けるためにオクチョンが自ら監察府に出頭するのだった。
第10話
オクチョンが名乗り出たことで解放されたトンイだが、中殿殺害の容疑でオクチョンが濡れ衣を着せられたと知り、無実だと証明できる証拠を探そうとする。そこで判官と言った粛宗に協力してもらおうと、漢城府を訪ねるが自分を知らないと追い返されてしまう。死んだ医員の死体から証拠を探そうと思いついたトンイは、1人で捕庁に忍び込むのだった。何とか検死室で委員の死体を見つけ、毒薬である半夏を医員が触っていない証拠をみつけた。だが捕庁から出ようとした時、ヨンギに見つかり事実を話すのだった。同じころ、トンイが都にいると知ったチョンスはトンイを捜す手がかりを得ようと、検屍官として捕庁に忍び込んでいた。証拠を見つけ、あとはヨンギに任せて帰ろうとした時、何者かに襲われたトンイ。その時、捕庁に向かう途中の粛宗が現れトンイを助けるのだった。
第11話-第20話
第11話
何とか粛宗に助けられたトンイは、協力を得ようと訪ねたことを話す。判官を装っていた粛胸はその場をなんとかしのぎ、捕庁に向かい、トンイが明らかにしたオクチョンの証拠を直接目にする。またトンイの手柄によって助けられたオクチョンは、トンイを宮女として使おうと考えていた。翌日、街にお使いに来ていたトンイは、粛宗と偶然出会う。王の代わりに自分が褒美を与えるという粛宗。そこにヨンダルとジュシクが現れ、4人は一緒にお酒を飲むことになった。トンイと出会って、平凡な男として過す夢が叶った粛宗は、トンイも別人として生きたくはないかと訊ねる。そこでトンイが奴婢ではなく、もっと立派な人になりたいと願っていることを察した粛宗は、オクチョンが言っていたようにトンイの才能を開花させるため、宮女にしようと決めるのだった。そして翌日、トンイの下に、監察宮女に命じるという教旨が届くのだった。
第12話
監察宮女となったトンイだったが、監察府の内部では賤婢だったトンイを受け入れようとはせず、チャン尚宮の推薦とあって大妃も反発していた。しかし内命婦の長である中殿がトンイを監察宮女とすることを承諾した以上、覆すことはできなかった。そこで監察府のユ尚宮は定期試験の規律によってトンイを追い出そうと企むのだった。監察府ではこの試験によって成績が悪い者は内人の資格を失う規律だったのだ。何も知らないトンイは言われるがままその試験を受けるが、試験の課題は、トンイが読んだこともない書から提出された。そのころ粛宗はトンイが宮人になることで自分が王であることを知ってしまい以前のように気軽な間柄でなくなることを寂しく思っていた。
第13話
ユ尚宮の思惑どおり試験に合格できなかったトンイは監察府の規律によって追い出されることになった。だが納得できないトンイは、習っていないものを試験の課題にするのは規律違反だと再試験を申し出る。トンイの切実な思いを知ったチョン尚宮は最高尚宮に再試験を受け入れるよう申し出るが受け入れてもらえない。それを知った中殿によって再試験の機会を得たトンイは猛勉強を始める。そんなトンイを労うために粛宗は勉強を手伝ってやるのだった。の手助けもあり無事合格したトンイ。そのころ検屍官として捕庁に忍び込んでいたチョンスは、偶然ヨンダルの家を間借りすることになったが、チョンスの動きが怪しいと感じたヨンダルはトンイに相談する。だがその怪しい者がチョンスかもしれないと思ったトンイは、捕庁に向かって走り出す。
第14話
捕庁にチョンスを捜しにいったトンイだったが、そこにチョンスはいなかった。トンイがチョンスに会いに来たと知ったヒジェはトンイをチョンスに近づけないためにトンイを始末しようと企むが、そこに現れたチョンスによってトンイは助けられた。死んだと思っていたチョンスとの再会を喜ぶトンイ。チョンスもまたこれからは離れずにずっと側でトンイを守ろうと誓うのだった。そのころ清国からの使臣団が朝鮮に到着した。その一行の中に密輸の疑いがある朝鮮人キム・ユンダルを捕らえるため潜伏調査をすることになったトンイたちは、そこで暗号を見つけるのだった。しかしヒジェの提案で政治資金を得るためユンダルと組む事を決めたオ・テソクによって潜伏調査は失敗する。暗号の紙切れを手に入れるために潜入したトンイは、見つかってしまい逃げていると粛宗に偶然会い助けを求めるが、そこで粛宗が王だと知るのだった。
第15話
判官だと思っていた粛宗が王だと知ったトンイとヨンダルたちは、自分たちが行った無礼な態度を思い出しどうしていいか悩んでいた。トンイに自分が王だと知られた粛宗はトンイを大殿に呼び、今までと変わらず気軽に接してくれと頼む。そのころトンイが独断で慕華館に忍び込んだことで、キム・ヨンダルが自決した。そのことで清国との外交の危機を招くのを恐れた官僚たちは、清国の太監の要求どおりトンイを差し出せと申し出る。だがトンイを差し出すことを拒否し続ける粛宗。そんな粛宗の行動に不安を覚えるオクチョン。トンイの身の危険を感じたチョンスはトンイを都から連れ出そうとするが、宮女である以上、逃げられないと言ったトンイは、自ら清国の太監のもとを訪ねるのだった。
第16話
自ら清国の太監の前に現れたトンイは、ヨンダルは生きていて密輸の罪から逃れるための陰謀があったと告げる。トンンイは自決したヨンダルの死体をソ従事官と共に確認し、死体が別人のものだと気づいていたのだった。
トンイの言葉を信じた太監は、3日以内にヨンダルが生きていて、すべてが陰謀である証拠を持ってこいと言う。
そのころチョンスはヒジェの頼みである男を出国させる手助けをしていたが、その男がヨンダルと知り、捕庁の兵たちが潜んでいるのを隠し、ヨンダルを逮捕へと追いやった。
そしてトンイはチョン尚宮とジョンイム、そしてソ従事官の助けを借り、ヨンダルを捕らえることに成功し、トンイは無事解放された。そのことを誰よりも喜んだのは粛宗だった。
だがトンイへの気持ちを疑うオクチョンのために、ずっと延ばしてきた後后牒紙を下すのだった。
第17話
オクチョンを側室にするという命を下した粛宗だったが、母である大妃の反対にあっていた。だが粛宗の子を身ごもったオクチョンを側室にすることは、確かな名分であり大妃も受け入れるしかなかった。オクチョンが側室となって1年が過ぎオクチョンは禧嬪の称号をもらった。だが今度はオクチョンが産んだ王子の元子問題で大妃殿と就善堂の争いが起きていた。そのころ中殿のもとに大妃の湯薬が怪しいという不審な投書が送られてきた。そこでチョン尚宮に密かに調べるよう頼んだ中殿。チョン尚宮はジョンイムとトンイと共に調査するのだが、投薬への疑いは見られなかった。そこでトンイはチョンスに協力してもらうのだが、そこで何者かが大妃の湯薬と一緒に飲めば毒となる湯薬を大妃に飲ませたのかもしれないと気づく。そして調査を続けたところ、オクチョンの宮女であるヨンソンの怪しい動きを見つけるのだった。
第18話
オクチョンの内人が大妃の湯薬を細工したことを知ったトンイ。ヨンソンの報告で大妃を殺そうとしたのが、兄のヒジェだと知ったオクチョンは、兄の陰謀に目をつむりそれを機会に変えるしかないと決めた。そこで事実を知ってしまったトンイを呼び、王子ための湯薬を自分が頼んだだけなので、今日みたことは忘れろと言う。だがトンイはこのまま伏せるわけにはいかないとオクチョンに刃向かうのだった。そして真実を暴くためにソ従事官とチョンスと共に動くのだった。そして中殿に投書を送った医女をつきとめるのだが、その医女が逃走し自決を図る。なんとか命を取りとめた医女の供述によって、ホ医官が大妃の湯薬に害をもたらす薬剤を混入したことをつきとめる。そしてホ医官は捕らえられたが、直接尋問するという粛宗の前で、自分に害のある湯薬を混入しろと指図したのは中殿だと自白するのだった。
第19話
ホ医官のウソの自白によって疑われてしまった中殿。中殿の仕業とも、オクチョンの仕業とも、信じられない粛宗は、ソ従事官に真実を暴くよう命じる。誰にも会いたくない粛宗だったが、なぜだかトンイを思い出す。トンイの前では王であることを忘れられる粛宗は、トンイに宮廷で唯一信じられる友人としてずっとそばにいてほしいと告げるのだった。そんな2人の様子を偶然見てしまったオクチョンは、悲しみとトンイへの憎しみを抱くのだった。トンイは中殿の無実を晴らすためにチョンスと共にヒジェとオクチョンの陰謀だという証拠を探していたが、捕らえられたホ医官が中殿の実家と関係があることを知る。それはトンイたちにわざと捕らえられた医官と中殿の実家との関係を示す証拠を見つけさせようと企んだヒジェの陰謀だった。そのことを察したトンイはチョンスと共に証拠の換金証を発行した商団の書記を追っていたが、何者かに捕われてしまうのだった。
第20話
トンイを捕らえ殺そうとしたのはトンイが邪魔だったヒジェの仕業だった。離れ離れになってしまったチョンスはトンイを探すためにヒジェの部下を脅し居場所をつきとめ、間一髪でトンイを救うことができた。だが唯一の手がかりだった、偽の換金証を発行した商団の書記が殺されてしまった。手がかりを失ったトンイたちだったが、死んだ書記が言い残した偽の換金証を発行した対価にもらった本当の換金証を探しだしたのだった。一方そのころ朝廷では、中殿を廃位させろと南人の重臣たちが騒いでいたが粛宗は決断を下せないでいた。だが大妃が亡くなり、粛宗は中殿を廃位することを決意するのだった。その時、中殿の無実を晴らせる証拠を手に宮廷に戻ったトンイ。だが時すでに遅く、大妃は他界し中殿の廃位の命が下された後であった。
第21話-第40話
第21話
大妃が他界し中殿の廃位を決断するしかなかった粛宗。一方トンイは中殿の無実を証明する証拠を殿下に届けようとするが、今はまだ動く時ではないと、ソ従事官に止められてしまう。ソ従事官はその時のためにチョンスを軍官にし、チャン・ヒジェの動向を監視させるのだった。中殿を廃位するしかなかった粛宗は落ち込んでいたが、トンイによって慰められ、トンイの存在の大きさに気づくのだった。その頃、監察府では各部署に宮女を派遣し監察業務をすることになったが、禧嬪の側についたユ尚宮の策略によってトンイは内需司に派遣されるのだった。監察府の勝手にはさせない慣行がはびこっていた内需司だが、トンイは自分の仕事を真っ当しようと内需司の官員に刃向かい監察しようとするが、そうはいかなかった。
第22話
自分の仕事である監察をさせてもらえないトンイだったが、めげずに何度でも内需司に向かうのだった。そして不正がないか調べるために業務日誌を書庫から持ち出すが見つかってしまい、体罰を受ける。そんなトンイの姿によって目覚めたチャン尚宮たちは内需司に立ち向かうが、それを知った殿下は、今回は観察府が引き下がれと命じるのだった。そんな殿下の決断を信じられない禧嬪とトンイ。実は銅と錫の買占め売り惜しみによって通貨の生産に乱れが生じていたことを対処するための殿下の計略だったのだ。それを知らされたトンイは殿下が墓参りに行く隙に内需司に忍び込み大妃殺害をたくらんだ禧嬪の罪を立証する証拠を探そうとするのだった。一方禧嬪も殿下が不在の間にトンイと内需司に残っている証拠を消そうと企んでいた。内需司の書庫に忍び込み証拠を見つけたトンイだったが、内需司が放火されてしまう。逃げるトンイを刺客たちが追いかける。
第23話
ヒジェが用意した刺客に追われたトンイは証拠を持ち、ソ従事官の友人である司憲府知事を頼る。知事は証拠を殿下に届けてトンイを避難させようとするが、刺客によって命を落としてしまう。手に入れた証拠を殿下に届けようと逃げ出したトンイだったが、刺客が投げた剣が胸に命中してしまう。その頃、狩りをしていた粛宗は内需司が火事になったことを聞かされ宮廷に向かっていた。負傷しながらも殿下の下へ向かっていたトンイ。目の前に殿下の駕籠が見えたが、力つき倒れてしまうのだった。宮廷ではトンイが生きてはいないと思っていたヒジェが内需司の放火をトンイの仕業にして、禧嬪を疑い捜査を進めていたソ・ヨンギも追い出そうと企んでいた。殿下はヨンギを免職し予定どおり禧嬪を中殿に命じる任命式を挙げるのだった。
第24話
中殿になった禧嬪。そして捕盗大将にのし上がったヒジェ。すべてが禧嬪の思うままに進んでいたが、トンイの夢を見た禧嬪は不安だった。粛宗はトンイに会い、すべてを聞き本当の決断を下そうと考えていた。そして失踪したトンイを捜させるためにヨンギを免職にしたのだった。王命のとおりチョンスと共にトンイを捜すヨンギ。その頃、一命を助けられたトンイは救ってくれた義州にあるピョン商団に身を寄せていた。行首のピョンはトンイの聡明さを利用するためチョンスに送るよう頼まれた手紙を送らずにいた。そしてピョンの商団に流配された両班のシム・ユテクがやってきた。自分が頼んだ手紙が送られずにいたことを知ったトンイは、商団から逃げようとするが、その時、チャン・ヒジェが現れたのだ。一方チョンスとヨンギは、行商の情報によってトンイが義州にいることを知り、義州に向かうのだった。
第25話
逃げようとしたトンイだったが、チャン・ヒジェが現れたことで、逃げ出せなくなってしまった。それを知ったシム・ウンテクはトンイの正体を知る。そして一緒にヒジェが義州にきた目的を暴こうとするのだった。ヒジェが妓楼で清国の官吏と密会することをつきとめたトンイとウンテク。密会の場でアル妓楼はトンイを掌楽院に入れてくれたソリの店だった。再会を喜ぶトンイとソリ。一方、通訳官を装いヒジェと清国の官吏の密会の席に忍び込んだウンテクだったが、世子の誥命を早めてもらう代わりにヒジェが差し出す物が何なのかをつきとめられなかった。だがウンテクを助けようと部屋に入ったソリが謄録類抄という言葉を聞いていた。ヒジェが世子の誥命と交換に軍事機密である謄録類抄を差し出すとわかったウンテクは平壌へ向かい、阻止しようとする。トンイはこの事実を殿下に伝えるために逃げ出そうとするのだが、ピョン行首に見つかってしまう。その時、トンイの目の前にヒジェが現れた。
第26話
逃げようとしたトンイだったが、ヒジェに見つかり捕われてしまう。その時、ウンテクが現れ謄録類抄と交換にトンイを解放するよう申し出る。ウンテクは自分を犠牲にしてトンイを逃がすのだった。仕方なくトンイを解放したヒジェだったが、ウンテクが言った場所で謄録類抄が見つかり、ヒジェはそれを清国の官吏に渡し、禧嬪に呼ばれ都に帰ってしまう。何とか逃げ出したトンイとウンテクはソリと共に都へ向かおうとするのだが、ウンテクは流刑の身なので、義州に残るというのだった。実はヒジェに渡した謄録類抄は表紙だけをすり替えた偽物だったのだ。本物の謄録類抄をトンイに渡し、それを持って必ずヒジェの悪行を明らかにして、自分を助けにきてくれと言い残し、トンイとソリを見送るウンテク。トンイは必ずそうしてみせると決心するのだった。その頃、戻ってきたヒジェからトンイが生きていたと知らされた禧嬪は、殿下の心と中殿の座を守るためにある決心をする。
第27話
トンイが生きていたことを知った禧嬪は、その昔、導師から言われた自分と同じようなもう1人の貴い女は、前中殿ではなくトンイだと悟った。そしてトンイを怖れた禧嬪は、親蚕禮の宴席で毒入りの茶を自ら飲み、殿下の心と中殿の座を守ろうとした。それは殿下の信頼を得るために自分の命を狙ったのは、廃妃だと思わせるための計略だったのだ。その頃、ソ・ヨンギとチョンスはトンイが義州を抜け出したとしり、都まで経路をたどりトンイの痕跡を捜していた。一方ソリと共に都に着いたトンイは、宮廷に入る方法を考えていた。そして宮廷の外から人手を集める水賜伊となり宮廷に入るのだった。そして仕事場を離れ殿下のいる大殿を目指すのだが、軍官によって遮られてしまう。遠くに見える殿下の姿。何とか通してもらおうともがくトンイだが、通してもらえない。その様子を遠くから見ていた粛宗だったが、トンイには気づいていない。
第28話
結局、大殿の入り口から追い払われてしまい殿下に会えなかったトンイ。翌日、また水賜伊として宮廷に入ったトンイは、監察府による部屋の調査があると知り、チョン尚宮に自分が宮廷にいると言う暗号を残すのだが、ユン尚宮によってその機会を逃してしまった。だがジョンイムがその暗号を見つけ、トンイはチョン尚宮とジョンイムに会うことができた。トンイから聞いた話を殿下に伝えようとするチョン尚宮だったが、ジョンイムと共に禧嬪の殺害を謀った容疑で捕われてしまう。宮廷でトンイを見かけたホヤンは、その事実をオ・ユンに報告するのだが、ヒジェに聞かれてしまった。トンイが宮廷にいると知ったヒジェは兵を動員しトンイを捜すが、トンイは間一髪で宮廷を抜け出すことに成功する。その夜、ヘグムを弾くことで寂しさを癒していたトンイ。その時、暗行に出ていた粛宗がその音色を聴き現れるのだった。
第29話
トンイと再会した粛宗はトンイの身を守るために宮廷外の私家にトンイをかくまる。そこで今まで秘めていたトンイへの思いが溢れ出してしまう。そんな粛宗の気持ちに気づいたチョンスの胸のうちは複雑だった。自分に対する粛宗の態度の異変に気づいた禧嬪は、粛宗がトンイをかくまっていると確信するのだった。そしてヒジェにトンイが持っている証拠を取り替えそうとするのだが、それは粛宗とソ・ヨンギがヒジェたちに自ら罪を立証させるよう仕向けた罠だったのだ。その頃トンイは殿下に再会できたことで緊張を解れてしまい、体調崩し倒れてしまう。御医の治療の甲斐もなく一向に回復しないトンイ。粛宗はそんなトンイを救うため、自分の薬剤をトンイのために差し出す。そんな淑宗の思いが通じたのか、トンイは意識を取り戻すのだった。
第30話
粛宗たちの罠に引っかかったヒジェは内禁衛に捕われ、尋問を受けるがなかなか自白しようとしない。ヒジェが捕われたと知った禧嬪は粛宗を訪ね、兄のヒジェは無実だと訴えるがトンイの証言だけを信じていた粛宗は、今からでも罪を認めるのなら禧嬪を許すと言うのだった。しかし禧嬪は最後まで自分とヒジェは無実だと言い張るのだった。粛宗の心が完全に自分を離れトンイにあることを悟った禧嬪は、自分を殺害しようとした容疑で捕らえていた、監察府のチョン尚宮たちを解放する。その理由を察せなかった粛宗。そして禧嬪を支持する重臣たちが集まり、粛宗にトンイの証言は信用性がないので調査が必要だと、トンイを差し出すよう申し出る。チョン尚宮たちを急に解放したのは、トンイを調査するための名分を作るためだったのだ。そのことを知り宮廷に行かせてくれと願い出るトンイを守るために粛宗はトンイを承恩尚宮にする命を下すのだった。
第31話-第40話
第31話
トンイを自分が寵愛し特別に尚宮の地位を与えると重臣たちに宣言した。その地位によって重臣たちがむやみにトンイに手出しできなくするためだった。何も知らずに殿下が用意した礼服を着て入宮したトンイ。みなが自分に礼を尽くすのを見てトンイは尚膳が誤解していると殿下に告げる。だが粛宗はトンイに対する気持ちは本心だと用意していた指輪を渡し、自分の気持ちを受け入れてくれるか考えてくれと宗の内をトンイに告げた。トンイも同じように粛宗に心を寄せていたが、剣契の首長の娘で追われる身だということを隠したまま粛宗の気持ちを受け入れそばにいられないと悩んでいた。そして父と兄の命日に宮廷を抜け出し、2人が死んだ絶壁に向かうのだった。トンイが粛宗を心から思っていることを知っているチョンスは、粛宗にトンイへの気持ちを尋ねるのだった。粛宗のトンイに対する思いを知ったチョンスは、粛宗にトンイの居場所を教えるのだった。粛宗に対する気持ちを隠しきれないトンイは粛宗のそばにいようと決心するのだった。
第32話
宮廷では重臣たちが、トンイを尚宮にすることに反対していた。そこで禧嬪は粛宗に内命府の長である自分がトンイを尚宮と認め重臣たちを収める代わりに兄であるヒジェを解放しろと取り引きを申し出る。取り引きを交わす仲になってしまったことに心を痛める粛宗だったが、トンイのためにその取り引きを受け入れるのだった。その頃、トンイに仕える内人たちの間で原因不明の疫病が発症する。そのことで悩んでいるトンイを気遣った粛宗はファン主簿とヨンダルを誘い、宮廷の外で酒を飲み、トンイに息抜きをさせてやるのだった。その時、急に激しい雨が降り出し宮廷に戻れなくなった、トンイと粛宗は宿で一夜を共に過ごすのだった。宮女たちの間で蔓延していた疫病が世子の殿閣で仕える内人たちにも感染してしまう。それは禧嬪の母がトンイを懲らしめるために企んだ罠だったのだ。そうとは気づいていないトンイはこの件を収拾するために、禧嬪を訪ね自分が原因をつきとめるので時間をくれと申し出る。
第33話
禧嬪はトンイの要求に対して世子の命を脅かした事件を収拾するために、何をかけるかと言い寄るが、トンイは自分の命をかけると断言するのだった。そうして3日の猶予をもらったトンイは監察府のイムジョンたちと共に疫病の原因を探るのだった。そうして宮女たちが使う化粧品に原因があるとつきとめるのだった。そして禧嬪はトンイに対する粛宗の信頼を奪うために、原因追及の手柄を自分のものにし、トンイを助けたかのようにみせるのだった。その頃、謄録類抄の原本を守ってくれたシム・ウンテクを助けるために義州に向かっていたソ・ヨンギとチョンス。ヒジェの部下がシムを消そうとしていたところへ危機一髪でチョンスが助けることができた。しかし清国の使臣団が都を向かっていたのだ。それは世子の誥命を運んできたのかもしれなかった。もしそうなら謄録類抄を元にヒジェたちの悪行を暴くことができないどころか、彼らに確固たる権力を与えることになるのだった。
第34話
清国の使臣団は、禧嬪や殿下までもが望んでいた世子の誥命を届けに来たのだった。だがヒジェから渡された謄録類抄が偽物だと知っていたチン大人は本物を渡さなければ謄録類抄と引き換えに世子の誥命を早めようとした事実を殿下に告げるとチャン・ヒジェを脅すのだった。都へ戻ってきたシム・ウンテクによって血眼になって本物の謄録類抄をヒジェたちが探していることを知るトンイたちは、禧嬪たちの罪を決定的に立証できる時を待つことにした。そのころ禧嬪は、トンイを追いやるために側室に任命し、その手続きで必要なトンイの素性を調べ、弱みを探そうと考えていた。自分の過去が明らかになるのを怖れたトンイ。自分の罪ではないことでトンイが傷つくことに心を痛めたチャンスは、トンイが剣契の首長の父であることを隠すために動く。同時にトンイの素性について疑っていたソ・ヨンギは、トンイが自分の友で、長い間追っていた剣契の主張チェ・ヒョウォンの娘だと気づくのだった。
第35話
トンイが捜していたチェ・トンイだと知ったソ・ヨンギは、その事実を自分の口から殿下に伝えトンイとチョンスを国法によって裁くとトンイに告げる。トンイの偽の戸籍証明をソリの協力によって手に入れたチョンス。だが都に戻ってみるとソ・ヨンギにトンイの正体を知られていた。事実を殿下に告げようと思っていたソ・ヨンギだがヒョウォンが自分を救うために罪を被ったとチョンスに知らされ事実を告げるべきか迷っていた。その時、トンイの素性について知ったシム・ウンテクから、トンイが自ら殿下に事実を話すため大殿に向かったことを聞かされたソ・ヨンギは、殿下にうそをつきトンイの素性を伏せるのだった。一方、本物の謄録類抄はトンイが持っていると感づいた禧嬪は使臣団のための宴会を開き、その隙にトンイたちの部屋に侵入し謄録類抄を探し出そうと企むのだった。チョンスやソ・ヨンギまで宴会場に集められたことに疑いを感じたトンイが、部屋に戻ろうとするのだが、禧嬪によって止められてしまう。
第36話
禧嬪によって宴会場に足止めにされたトンイたち。そして怪しい動きを見せる義禁府の兵たち。その異変に気づいたソ・ヨンギは内禁衛の兵を宴会場に集結させる。そして禧嬪の手下たちは宴会場にトンイたちが気を取られている隙に、トンイやチョンスの家に潜入し謄録類抄を探していた。異変を感じていたトンイは、宴会が終わるとすぐに部屋へ戻るが、謄録類抄は奪われたあとだった。その頃、トンイの部屋から謄録類抄を探し出したヒジェは、それを渡すためにチン大人に会いにいく。そして捕われていたシム・ウンテクはユンに殺められようとした瞬間、内禁衛の兵と共にチョンスがその場に現れ救った。トンイたちは禧嬪たちの計画を事前に感づいていて、罠にはまったふりをして、現場を押さえる準備をしていたのだった。そしてヒジェたちを捕らえ謄録類抄も取り戻したソ・ヨンギはその事実を殿下に告げる。そしてこの事に禧嬪が関与していたことを立証するために監察府のユ尚宮を捕らえ、トンイが禧嬪に会いにいくのだった。
第37話
謄録類抄の一件に禧嬪が関与していることを立証するために、禧嬪に会いに行ったトンイ。トンイには自分を中殿の座から引きずり下ろせないとかいかぶっていた禧嬪。だが以前、トンイが陰謀にはめられた禧嬪を救った方法で、今回は禧嬪の罪を立証できるのだった。ことの運びを読んでいたトンイたちは、謄録類抄とそれを隠していたトンイの部屋に、奪った者の痕跡が残るよう、ショウガ汁と塗り仕掛けをしていた。ショウガ汁が塗られた手や衣服に高濃度の酢を塗れば、変色し証拠が残るのだった。禧嬪の関与のすべてを知った粛宗は禧嬪に失望し弁解も受け入れない。だが世子の母親である禧嬪の処分に悩んでいた。その頃 捕われた主犯のヒジェに協力したすべての南人は処罰され、西人が朝廷の重臣の座から追いやられていた。そして禧嬪の処罰を決めた粛宗は禧嬪に廃位を命じるのだった。
第38話
禧嬪が廃位され前中殿のイニョンの復位が決まった。しかし世子の母である禧嬪を宮廷から追い出すことはできなかった粛宗は心を痛めていた。そんな粛宗の気持ちを察したトンイは、正しい決断だったと慰めるのだった。そしてまた中殿として宮廷に戻ったイニョンは、自分の復位のために動いてくれたトンイを今度は自分が守ってやろうと決意する。そんなある日、粛宗はトンイが食べたいと言う、食糧配給場所のお粥を求めて、トンイと活人署に行くのだが、そこで何日も飢えをしのいでいる民の実態を見る。そして自分が成すべきことを再確認するのだった。そしてトンイを側室として迎える任命式が行われることになった。その式の当日、トンイが粛宗の子を身ごもったことがわかった。王子を授かり、側室の淑媛になったトンイ。粛宗と共にトンイを慕うすべての者は喜びの絶頂であった。
第39話
トンイに王子ができたことで政務に励み誰よりも王子をかわいがっていた自粛。そしてトンイの子の百日の祝いが近づいていたが、トンイは祝宴の代わりに新たに粥所を設け、貧しい民に粥を配りたいと申し出た。トンイの意をくみ新たに粥所を設けることになった当日、活人署の提調が殺される事件が起こった。その事件の犯人らしき者が剣契の印の入ったハチマキを落としたのを目撃したトンイは、昔にあった両班殺しの事件のように剣契を利用した謀略だと思うのだった。その頃、勅使から戻ったチャン・ムヨルが、この事件を担当することになった。彼は昔、両班殺害事件で殺された大司憲の息子であった。そして今回の事件も昔、父と剣契を陥れた者の仕業かもしれないと思ったトンイは、避接を装い宮廷を出て、死んだ大司憲が残した手信号について調べようとするのだった。
第40話
漢城府の庶尹として戻ったチャン・ムヨルは、公平な男を思われていたが、実は内に野望を抱いていた。そんな彼を見抜いた禧嬪は、彼の父親を殺したのは剣契ではなくオ・テソクだと打ち明ける。驚いたムヨルだったが、それを利用しオ・テソクを自分に仕える犬にしようと企むのだった。こうして禧嬪の協力者となったムヨルは、トンイと周辺の者の動きを探っていた。その頃、両班の殺害事件に剣契が関与しているのか調べていたチョンス。そして昔、剣契の砦だった場所に再集結している剣契を見てします。そのことをソ・ヨンギに隠したまま、剣契の首長に会いにいったチョンス。そこで今の剣契の首長が、トンイの幼なじみであるケドゥラだとわかるのだった。そして剣契がトンイの命を狙っていると知るのだった。自分たちが狙っている王の側室がトンイだと知らされたケドゥラ。しかしすでに側室のトンイ殺害が決行される時間になっていた。
第41話-第50話
第41話
剣契が宮外の私家にいたトンイの命を狙い忍び込んできた。殺されそうになったトンイは自分が剣契の元首長の娘だと打ち明け、命を取りとめたトンイは、騒ぎをかぎつけてきた漢城府の官軍から剣契員を逃してやる。殺された父と剣契の仇を討つために両班を殺害していたケドォラを説得するため、ソリの妓楼でケドォラと再会するトンイ。だがトンイの説得にも応じず両班殺しをやめないというケドォラ。その暴走を止めるために辛酉年の剣契事件で死んだ大司憲が残した手信号をシム・ウンテクと共に解明しようとするトンイ。トンイの動向があやしいと察した禧嬪とチャン・ムヨルは、トンイと周辺の者の動きを監視していた。そして南人が経典にしている六経から、あの手信号を解明したトンイは、ソヨンギの元へ行き。手信号は南人の長の座を狙ったオ・テソクを表していると告げるのだった。
第42話
大司憲が残した手信号がオ・テソクを示していて、その陰謀に禧嬪も関与している事を確かめるために、トンイは禧嬪を訪ねる。そして幼い頃に見た同じ手信号をしていた宮女が禧嬪ということを鍵牌で確かめるのだった。そして罠を張り、その物証を握るのだった。だがその頃、トンイと剣契の関係を疑っていたチャン・ムヨルは、トンイが剣契の元首長の娘だと感づいていた。そして禧嬪の指示によってオ・テソクを殺し、それを剣契の仕業に見せようと企む。その計画にまんまとだまされたケドォラたち。その現場から何とか逃げ出したケドォラはソリの店に逃げ込んだ。そのことをトンイに知らせたソリ。そしてケドォラを救うためソ・ヨンギとチョンスを捜すが連絡が取れなかったトンイは、自ら宮廷を出てソリの店へ向かい、負傷したケドォラを王室の舟で逃がそうとする。だがそこに粛宗が現れたのだった。
第43話
チャン・ムヨルにトンイと剣契の関係を知らされ、ソリの店に現れた粛宗。そこでケドォラを必死で逃がそうとするトンイの姿を見てしまった。チャン・ムヨルによって連行されたトンイは、まず粛宗にすべてを話し、それから調査に応じるという。そしてソ・ヨンギに王子を守ってくれと頼み覚悟を決め、粛宗に自分の過去とケドォラを自らの意志で逃がそうとしたことを告げるのだった。驚きと怒りを隠せない粛宗だったが、トンイを手放せないでいた。そしてトンイにうその供述をしろと言うのだった。しかし王である粛宗の立場や将来を考えたトンイはそれを拒むのだった。粛宗がトンイを裁かず守ろうとしていることを知った禧嬪は、トンイに仕える者を捕らえるようチャン・ムヨルに指示する。自分のせいでほかの者を傷つけられないトンイがきっと自ら自白すると思っていたからだった。禧嬪が思ったように粛宗には内緒で漢城府に向かったトンイ。それを知らされた粛宗もあとを追うのだが…
第44話
粛宗が駆けつけた時には、トンイはすでに自分の罪を自白した後だった。罰を甘んじて受ける覚悟のトンイだったが、トンイを放せない粛宗は、トンイを罪に問えと訴える重臣や儒生の声にも耳をかさない。そしてある夜、王子を見に行ったトンイは、王子の様子がおかしいのに気づく。王子は麻疹に侵されていたのだった。治療を施しても好転しない王子は、命を落としてしまうのだった。王子を失い苦しむトンイは、もう自分を手放してくれと粛宗に頼む。トンイなしで生きて行けない粛宗だったが、自分が苦しむ姿を見たくないというトンイのために、トンイを宮廷から追い出す処決を下すのだった。そうして宮廷を去り、私家での暮らしも数か月したころ、トンイは粛宗の子を授かっていたことがわかった。元気な王子を生んだトンイ。粛宗にクムと名づけられたその子は、トンイが願ったように正義に溢れ元気にたくましく育っていた。
第45話
クムが生まれ7年が経とうとしていた。そんなクムは7才に満たないのにすでに”大学”や”中庸”を独学で習得するほど秀でた才能を持っていたのだった。それを知ったトンイはクムに危険が及ぶのを案じて、そのことを隠そうと決める。そして雲鶴という優れた学者にクムの教育を頼むのだが、朝廷に関連する者には教えないという雲鶴は応じない。だがあきらめるトンイではなかった。寺小屋からの帰り道、賤人の子から宮廷での会食に行けると聞いたクムは、賤人の子を装い宮廷に入り、父親に会おうとする。だが見つかってしまい追い出されてしまった。その夜、宮廷の近くで父親に会えず泣いているクムをお忍びに出ていた粛宗が見つける。その子がわが子だと知った粛宗は心を痛めるのだった。次の日の寺小屋の前でクムに会いたくてまちぶせしていた粛宗。いたずらを仕掛けたクムの同級生たちをクムと粛宗が一緒に懲らしめた。
第46話
粛宗は漢城府の判官を装い、クムに近づいた。寺小屋に戻ったがすでに授業が始まっており 中に入れなかったクムと粛宗は一日を共に過した。書を買ってやり大道芸を見物して渓谷で水遊びもした2人。そして父親を恨んでいないというクムの言葉に、父である殿下もクムを1日も忘れたことはないと告げる。そしてその日のことをクムから聞かされたトンイは、就善堂がクムに近づいたのではないかと心配する。一方、クムと1日を過した粛宗は秘めていた真意をソ・ヨンギに告げ、実行に移すのだった。そんな時、殿下がトンイとクムに会いに行ったと知った禧嬪の母が、トンイの家に放火し、2人を殺そうとするのだった。粛宗がずっと見守らせていた軍官によって助けられたトンイとクム。トンイの家が火事だと聞いて駆けつけた粛宗はトンイとクムに再会する。そして宮廷に戻ってこいと言うのだった。迷っていたトンイだが父親に会えると喜ぶクムのために宮廷に戻ることを決意するのだった。
第47話
粛宗はクムに大族としても教育をさせる名目でクムとトンイを呼び戻したのだった。そして私家に送ったその日からこの日を待ち続けていたのだった。一方、煙たいトンイが戻ってきた禧嬪は気が気でなかった。なぜなら禧嬪の子である世子が世継ぎを授かれないかもしれない病に犯され、それを知られれば、トンイの子が世子の座を脅かすことになるからだった。クムが宗学に通う前にトンイは、知っていることも知らないふりをしろと約束させる。そしてみながクムは愚鈍だと思っていた。禧嬪はそれを利用しクムが世子の代わりにはなれないことを殿下に知らしめようと世子の冊礼とクムの書道を同じ席で行わせた。だがその場で母を冒とくされ、父親に失望されたくないと思ったクムはトンイとの約束をやぶり、学者でも難しい”大学”を習得している能力を公然で見せてしまうのだった。それに喜ぶ粛宗。そして病が悪化した中殿が、命が尽きる前にある計画を進めようとしていた。
第48話
ヨニン君の秀でた才能に見合った教育をするために世子が通う侍講院にヨニン君も通わせろという中殿の助言で、粛宗はヨニン君を侍講院に通わせる命を下そうとする。だがトンイに反対されてしまう。これは世子の座を揺るがすことで禧嬪たちの反感を買い、ヨニン君は危険にさらされるからだった。その代わり雲鶴を説得してヨニン君の師に迎えることを許可してくれと頼むトンイ。ヨニン君の才能と心に触れた雲鶴はすでにヨニン君の師になろうと決めていたこうして侍講院へ通わせる問題は収まったが、世子の病をしっている中殿は、その事実の物証を手にして、明らかにすることで国本を正そうとしていた。そしてトンイにヨニン君を王にする覚悟を決めろと継げる。世子に世継ぎが授からない病を患っていると中殿に告げた内委女をヒジェが追っていたことで、証拠を握った中殿は禧嬪を訪ね、世子の病を自ら殿下に告げ、殿下の判断に従えと申し出た。中殿が禧嬪を訪ねたことを知ったトンイが中殿に会いに来てみると、中殿は部屋で倒れていた。
第49話
持病の悪化により倒れてしまった中殿は、危篤状態になってしまった。その頃、証人の内委女を中殿に奪われたヒジェは、母親が占ってもらった巫女に、中殿を殺せば助かる方法があると言われ、呪いによって中殿を殺めようとする。だが偶然呪いの道具をヨニン君が見つけるのだった。そしてヒジェが中殿を呪い殺そうとしたことを知ったトンイ。そして証人である内医女が危ないと察したトンイは、内医女の居場所を知る、内人のチョングムを保護するようチョンスに頼むが、誰かが先にチョングムをさらわれてしまった。意識を取り戻した中殿によって内医女の居所を聞いたチョンスたちは内医女の所へ向かうが、ひと足違いで連れされていた。ヒジェたちの仕業だと思っていたが実は違っていた。その頃、宮廷では中殿が息絶えようとしていた。粛宗に最後の願いを残し、中殿はあの世へ旅立つのだった。
第50話
中殿は自分が死んだ後、トンイを中殿にすることで世子もヨニン君も救われると最後に言い残した。中殿が亡くなったことで、世子の母である禧嬪がまた中殿の座に上るのは当然だったが、中殿の残した言葉を思い迷っていた粛宗だった。ヨニン君を敵対する禧嬪の思いとは裏腹に心を通わせていく世子とヨニン君。トンイはそんな2人の思いを大事にしてやりたかった。世子はみんなに隠す自分の病が気になり、ヨニン君の協力で自分が飲んでいる湯薬を盗み、自分の病について調べるのだった。そして自分には世継ぎが授からないと知るのだった。トンイたちは禧嬪たちが中殿を呪い殺そうとした事実を立証するため動いていたが、その調査をすべて止めさせるトンイ。トンイは世子とヨニン君が兄弟として過せるよう、すべての事実を伏せると禧嬪に申し出るのだった。
第51話-第60話
第51話
世子の病気を伏せることで禧嬪と和解しようとしたトンイだったが、トンイの言葉を信じず断わる禧嬪。その頃、チャン・ヒジェがヨニン君の書袋に世子の帝王学の書を忍ばせたことで、ヨニン君が書を盗み世子の座を狙っていると攻められることになった。これはトンイたちが内医女に証言させ世子の病を公にできないようにするのが狙いだった。だがヨニン君が自分との約束を守るために、書を盗んだと疑われていることを知った世子が、なくなった書は自分がヨニン君にあげたと証言したことによって、一件落着する。だが粛宗はトンイを嬪に任命することで、トンイも中殿になる資格があると重臣たちの前で公言してしまうのだった。日々、心を通わせるヨニン君と世子。そして大道芸を見物するために一緒に宮廷を抜け出す。だがスリに間違えられ捕庁に捕われてしまった世子。宮廷に戻らない世子が失踪したと都中が大騒ぎになるのだった。
第52話
世子とヨニン君が一緒に宮廷を抜け出したことが公になれば、ヨニン君に災いが生じると感じたトンイたちは、禧嬪たちより先にヨニン君たちを捜そうとする。その頃、ヨニン君は助けを求めヨンダルの家を訪ねる。そして叔父になりすまして捕庁に世子を迎えに行くのだが、世子はすでに家を案内するとうそを言って官員と捕庁を出てしまっていた。捕庁でヨンダルと会ったチョンスが逃げていた世子を助け、ヨニン君も無事宮廷に戻るのだった。だが宮廷では世子を連れ出したのはヨニン君で、それは世子の座を狙った行為だと重臣たちが騒いでいた。禧嬪がヨニン君を陥れようとするのは、自分の病のせいだと思った世子は、粛宗に自分は大病があり世子の座を守る資格がないと申し出るのだった。
第53話
世子が子を授からないかもしれない大病を患っていると聞かされた粛宗は驚き、またその事実を隠していた禧嬪に対して怒りを覚える。粛宗に世子の病を知られたことを知った禧嬪は、世子だけは今の座を守れるよう粛宗に懇願するが受け入れてもらえない。その上、少論の重臣たちも禧嬪に背を向けてしまう。窮地に追いやられた禧嬪たちが、何をしでかすがわからないと感じたチョンスはトンイとヨニン君を安全な別の殿閣に避難させようとする。だがその時、世子がいる東宮殿が火事になってしまう。それは禧嬪がトンイとヨニン君を殺すために、宮廷内で火事騒動を起こし、その隙に刺客を送り込む策略だった。火事は広まり宮内の人員だけでは消火できず、近隣の民を消火活動に動員するため城門が開けられた。その隙に忍びこんだ刺客がヨニン君を斬ろうとした瞬間、ヨニン君を助けようとしたトンイが斬られてしまった。
第54話
旱蓮草を履いた怪しい者に気づいたチョンスが駆けつけたが、ヨニン君の代わりにトンイが刺客によって斬られ重症を負ったあとだった。御医の治療により命は助かったトンイ。トンイとヨニン君を狙った刺客はヒジェの部下だった。禧嬪を逃がそうとするヒジェだったが、禧嬪はヒジェに自分の代わりに世子を頼むという。だが時はすでに遅く、トンイの私家に放火しトンイの命を狙った禧嬪の母ユン氏と兄のヒジェは捕われてしまった。すべては自分がしたことで、禧嬪は何も知らないと言いはるヒジェ。だがすべては自分の差し金だと禧嬪が自白してしまう。すべての事件が禧嬪の仕業だと知った粛宗はショックを隠せない。だが世子のためにも母である禧嬪の命だけは助けてやりたかった粛宗だったが、自分の罪が明らかになった以上、死ぬより生き残るほうが苦痛に思う禧嬪のために毒殺を命じるのだった。
第55話
葛藤の末、禧嬪の毒殺を命じた粛宗。そんな粛宗に自分の死に際を見てくれと最後に願い出る禧嬪。そして禧嬪は最後に世子を守ってくれとトンイに頼み、この世を去った。母の処刑に悲しみ苦しむ世子は自暴自棄になり食事すら口にしない。そして禧嬪がいなくなった以上、粛宗はトンイを中殿に座に就け、ヨニン君を世子にするつもりだと思った世子は、かわいがっていたヨニン君を遠ざける。粛宗はトンイを中殿にと考えていたが、少論たちの反発にあう。それに何よりもトンイが中殿になることを望んでいなかった。そして新しい中殿イヌォンを宮廷に迎えることになる。だがこのイヌォンは、粛宗に寵愛されているトンイがヨニン君を世子にさせようと企んでいるという噂を信じ警戒していた。そしてヨニン君を宮廷から追い出すために、ヨニン君の婚礼を持ちかけるのだった。
第56話
中殿の企みを知ったトンイは、ヨニン君は命令どおり婚礼させるが、相手は自分に決めさせてくれと申しでる。誰もがトンイは力のある名門家を姻戚に選ぶと思っていたが、みそめた相手は出仕もしていない進士の娘だった。ヨニン君の相手に選んだ娘が住む家は歴代の王たちと縁があり王気が流れる家だという迷信があった。その迷信によって民心が揺らぐのを怖れた中殿たちも婚礼後、ヨニン君を私家に送り出すことを躊躇していた。だがチョンスがチャン・ムヨルの不正を握り、婚礼後もヨニン君を宮廷に残すよう便殿で申し出ろと脅すのだった。チャン・ムヨルの発言によって、粛宗の望みどおりヨニン君は婚礼後も宮廷で暮らすことになった。そして粛宗はヨニン君を王位に上げようと思っているかと訊ねた。その問いにトンイは王になることだけがヨニン君を救える唯一の道なら、世子とヨニン君どちらにも王位を継がせると答えるのだった。
第57話
世子とヨニン君、どちらにも王位を継がせることがヨニン君を救う唯一の道でありトンイの望みだと知った粛宗は、国事のいっさいを取り消し考えに更けるのだった。そして下した決断は、世子に王位を継がせ、トンイを宮廷の外に追い出すことだった。トンイの望みが反逆だと誤解されたと思ったチョンスは粛宗に言い寄る。トンイは、粛宗がどんな決断を下そうと従う覚悟は決めていたが、思っているよりとてつもないことだと察するのだった。そして世子に禅位し、世子もヨニン君も救おうとしていることを粛宗から聞かされ驚くのだった。内禁衛将やシム執義の反対を押し切り、行宮へ行き禅位の準備を進める粛宗。粛宗の行動を怪しんでいたチャン・ムヨルは、粛宗が禅位を考えていることを突き止める。そして粛宗不在の宮廷で全兵力を掌握するのだった。
第58話
チャン・ムヨルに宮内の兵力を掌握されたチャンスたちは危険を感じる。チャン・ムヨルは中殿を利用しトンイの出宮を早めトンイたちを圧迫する。命令どおり粛宗が不在の間に出宮することになったトンイの命を狙われるのではないかと思ったチョンスたちは、私兵を集め護衛することにする。だが宮廷を出てきたのはトンイを乗せた行列ではなく宴席に向かう世子の行列だった。チャン・ムヨルは、世子の行列を襲撃し、その罪をトンイたちにかぶせようとしていたのだった。それに気づいたトンイがチョンスに伝えようとしたが、すでに遅く世子を襲撃した罪人としてチョンスが捕われてしまう。そして中殿の権利を使い、トンイと側近たちを逮捕しようとしていたチャン・ムヨルだったが、反対に自分が捕われてしまうのだった。
第59話
トンイが自分の狙いを察していたとは知らず、捕われてしまったチャン・ムヨル。実はチャン・ムヨルが兵力を掌握した時からその動きを疑っていたトンイは、その事実を粛宗に伝えていた。そしてチャン・ムヨルの狙いと粛宗が禅位しようとしていることを中殿に伝え、自分を信じてくれと嘆願する。あとは中殿の決断にかかっていたが、トンイの真意に触れ心を動かされた中殿は、トンイの言葉を信じ、チャン・ムヨルを捕らえろとの教旨を下したのだった。その頃、トンイからの手紙を受け取った粛宗はチャン・ムヨルの悪行の証拠を握るために、行宮にいる兵を使い捜査していたのだった。チャン・ムヨルたちの悪行を暴きはしたが、粛宗は禅位の意志を曲げない。そこで中殿はヨニン君を自分の養子にして、世子に継ぎ王位に就けるよう、その座を確固たるものにするようトンイに申し出る。トンイはヨニン君のためにその申し入れを喜んで受け入れ、自分は宮廷を去ると粛宗に願い出るのだった。
第60話 最終回
すべての者のために子供までも差し出すトンイを止められなかった粛宗。そしてトンイは宮廷を去りイヒョン宮で暮らしながら、無力の賤人たちのために動き出すのだった。それから1年後、無罪で捕われた父を救ってくれとヨリという娘がトンイを頼ってきた。そしてトンイはヨリの父の濡れ衣を晴らすために、ソ・ヨンギやチョンスたちと一緒に捜査を始める。捜査を進めていくうち、この殺人事件の裏には、宮内の両班と官僚の裏金工作が隠されていることを突き止める。最後は粛宗の計らいによって官僚たちの悪行を暴き、ヨリの父も釈放されるのだった。トンイが宮廷を出て賤人たちのために尽くす姿を見たヨニン君は立派な王になると誓うのだった。そして時は過ぎ、ヨニン君が英祖となり王位を継ぐときが来た。今はもうこの世にいないトンイだったが、トンイの教えは英祖にしっかり受け継がれていたのだった。