共和党の時代
第一次世界大戦後、ハーディング・クーリッジ・フーヴァーと3代にわたって共和党出身の大統領が続き、1920年代の合衆国の政治は共和党の時代となった。大戦中に増加した企業の税負担を軽減、投資意欲を高める政策をとり、「永遠の繁栄」「黄金の20年代」と呼ばれた一大好況期を迎えた。
共和党の時代



1920年の大統領選挙では共和党のハーディング Harding (1865〜1923)が「平常(正常)への復帰」を掲げて圧勝し、同年の上下両院の選挙でも共和党は勝利して、多数を占めた。以後、クーリッジ Coolidge (1872〜1933)・フーヴァー Hoover (1874〜1964)と3代にわたって共和党出身の大統領が続き、1920年代の合衆国の政治は共和党の時代となった。
共和党大統領は大戦中に増加した企業の税負担を軽減して、投資意欲を高める政策をとったため、「永遠の繁栄」「黄金の20年代」と呼ばれた一大好況期を迎えた。しかし、この時期には合衆国の伝統的白人社会 ❷ の価値観をアメリカニズムとして強調し、それをまもり、それと異質な集団や思想を排除しようとする傾向も強まり、大戦直後の「赤の恐怖」による「赤狩り」の登場、黒人差別組織クー=クラックス=クラン(KKK)( 南部の再建)の活動の再活性化などがあらわれた。さらに21年には時限立法として移民制限法が成立し、これは24年には恒久法となり、国別に移民数が割り当てられ、アジアからの移民は合衆国市民になり得ない集団として全面的に禁止された。これは日本などからの強い反発を呼ぶことになった。
1920年代のアメリカ合衆国
ウィルソン 民主党 (任1913〜21) | ||
1919 | 10 | 禁酒法制定 |
1920 | 3 | 上院、ヴェルサイユ条約批准拒否 |
5 | サッコ・ヴァンゼッティ事件 | |
8 | 女性参政権付与 | |
11 | ラジオ商業放送開始 KKK(1915年復活)の活動が盛んになる アメリカ的生産様式確立 |
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ハーディング 共和党(任1921〜23) | ||
1921 | 11 | ワシントン会議(〜1922.2) ・四カ国条約(21.11) ・九カ国条約(22.2) ・海軍軍備制限条約(22.2) 農業不況が始まる |
クーリッジ 共和党(任1923〜29) | ||
1923 | 12 | 大統領演説、初のラジオ放送 |
1924 | 2 | 「ラプソディー=イン=ブルー」初演 |
3 | 農産物価格安定法否決 | |
8 | ドーズ案 | |
5 | 排日移民法 | |
1925 | 1 | ワイオミング州で初の女性知事 |
5 | スコープス事件(進化論教育排斥) | |
1926 | フォード工場、週5日8時間労働制導入 | |
1927 | 5 | リンドバーグ、大西洋横断単独無着陸飛行 |
8 | サッコとヴァンゼッティの処刑 | |
10 | 最初のトーキー映画 | |
1928 | 8 | 不戦条約(ブリアン・ケロッグ条約) |
11 | 「蒸気船ウィリー」でミッキーマウス登場 | |
フーヴァー 共和党(任1929〜33) | ||
1929 | 10 | ニューヨーク株式市場で株価大暴落(「暗黒の木曜日」)→ 世界恐慌 |
参考 山川 詳説世界史図録
