高野山聖衆来迎図 (国宝 絹本著色阿弥陀聖衆来迎図)
極楽浄土への往生を願う念仏者の一大幻想を、阿弥陀如来が諸聖衆をしたがえて、今まさに眼前に来迎した情景として描き出した絵画。数ある来迎図の中でも最高傑作とされる高野山聖衆来迎図は抒情性にあふれ、卓越した群像表現をみせる。当初一幅の画面で仏堂にかけられ、高位の人をも交えた念仏者の迎講(むかえこう)の本尊として用いられたものであろう。来迎の諸尊が見る者と直接向かい合う本図には、観想念仏の伝統が残っており、鎌倉時代以後の説明的な来迎図とは性格を異にする。
参考 世界大百科事典
高野山聖衆来迎図
解説
来迎とは、臨終の時に阿弥陀仏が極楽浄土に往生させるために迎えにくることである。聖衆来迎図は阿弥陀如来が多くの菩薩をともなって、極楽浄土から雲に乗って臨終の者のところに現れるようすを描いたもの。まさに命の終わろうとする時に、心の不安と動揺を絶ち、安らかに死を迎えさせるためのものである。高野山聖衆来迎図には阿弥陀如来と諸尊32体が白雲に乗って来迎する様子が描かれている。
国宝・重要文化財データ
- 名称: 絹本著色阿弥陀聖衆来迎図
- 員数: 3幅
- 種別: 絵画
- 国: 日本
- 時代: 平安
- 国宝・重文区分: 国宝
- 国宝指定年月日: 1951.06.09(昭和26.06.09)
- 所在都道府県: 和歌山県
- 所有者名: 有志八幡講
- 管理団体・管理責任者名: (財)高野山文化財保存会
- 解説文: 平安時代の作品。