マガダ国
B.C.413〜B.C.395
古代インドにおける十六大国のひとつ。ナンダ朝のもとでガンジス川流域の諸王国を平定し、マウリヤ朝のもとでインド初の統一帝国を築いた。王都はパータリプトラ(現パトナ)。首都:ラージャグリハ(王舎城)。
マガダ国
アジア・アフリカの古代文明
インドの古代文明
新思想の成立
紀元前6世紀ころになると、アーリヤ系民族の政治活動と経済活動の中心はさらに東方のガンジス川中・下流域へと移った。当時の北インドに存在した主要な国家は16大国と総称される。やがてそのなかのマガダ国がビンビサーラ(紀元前546頃〜紀元前494頃)とアジャータシャトル(紀元前494頃〜紀元前462頃)の時代に強力となり、同じ王政をとる強国コーサラを破って紀元前5世紀初めにガンジス川中・下流域に覇を唱えた。
肥沃な平原と豊富な鉄資源がマガダ国の発展を支えたのである。こうした政治的進展とともに経済的な発展もみられた。諸国の首都には商人が集まり住み、彼らは国境を超えた交易活動にも従事した。貨幣の使用が始まったのもこの頃である。当時ガンジス川中・下流域の新興都市で活躍していたクシャトリヤやヴァイシャのなかには、ヴェーダ聖典やバラモンの権威を認めず、ヴァルナ制度にとらわれず行動するものも多かった。そして彼らは、自分たちの行動を支えてくれる新しい宗教を待ち望んでいた。このような空気を持った諸都市に新しい思想をいただくものたちが集まり、その思想を説いてまわった。彼らの多くはバラモンの権威と祭式主義と否定し、また聖典語ではなく口語のみを用いた。中国の諸子百家に相当する六十二見(多数の思想家)が現れたが、そうした思想家のうちヴァルダマーナ(マハーヴィーラ)とガウタマ・シッダールタ(釈迦)が特に名高い。