リグ=ヴェーダ
神々への讃歌1028を集めたインド最古の文献。紀元前1500年頃、インド=ヨーロッパ語系の牧畜民であるアーリヤ人が、先住民を征服してパンジャーブ地方に定住し、前1000年頃までに成立した、火や雷など自然神を崇拝した賛歌集。バラモン教の聖典のひとつとなる。『リグ=ヴェーダ』に歌われた時代は前期ヴェーダ時代(紀元前1500年頃〜紀元前1000年頃)と呼ばれる。
リグ=ヴェーダ
アジア・アメリカの古代文明
インドの古代文明
アーリヤ人の来往
インド=ヨーロッパ語系の言語(印欧語)を話すアーリヤ人は、はじめ中央アジア方面で遊牧生活を営んでいたが、紀元前2000年ころから移住を開始し、その一分派は数次にわたりパンジャーブ地方に移住した。アーリヤ人は自然現象を神格化した多数の神々を信仰しており、祭壇を設けて聖火をたき、犠牲獣・乳製品・穀物などを供えてこれらの神を祀った。やがて、祭式を専門に執り行う司祭階級も現れ、祭式の形式がしだいに整えられた。インド最古の文献『リグ・ヴェーダ』は神々への讃歌1028を集めたものであり、紀元前1000年ころまでに成立した。
讃歌の中では、理想的な戦士とされる雷神インドラと、火神アグニに捧げられたものがもっとも多い。『リグ・ヴェーダ』に歌われた時代は前期ヴェーダ時代(紀元前1500年頃〜紀元前1000年頃)と呼ばれる。その結果、かれらの農耕生活への傾斜が強められた。
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バラモン教とヴァルナ制度
後期ヴェーダ時代(紀元前1000年頃〜紀元前600年頃)には『リグ・ヴェーダ』に続き、歌詠の方法をまとめた『サーマ・ヴェーダ』、祭詠を集めた『ヤジュル・ヴェーダ』、呪語を集めた『アタルヴァ・ヴェーダ』がつぎつぎに成立し、バラモン教の根本聖典とされた。バラモン司祭者のもとでヴェーダの神々を崇拝する宗教をバラモン教と呼ぶ。