アッシニア
アッシニア ルイ16世の肖像の額面500リーヴル(1790年9月/WIKIMEDIA COMMONS)©Public Domain

アッシニア


アッシニア Assignat( A.D.1789〜A.D.1791)

フランス革命期に国家財政の危機を救うため、国民議会が1789年から1791年にかけて、国有化した国有財産を担保に発行した公債。封建諸税の徴収権というかたちで残っていた領主の封建的土地所有権を、1793年の封建的諸特権の無償廃止により一掃し、教会や亡命貴族の不動産は没収されて国有財産となり、アッシニア紙幣と引き換えに売却された。濫発のためインフレをひきおこした。

アッシニア

欧米における近代社会の成長

フランス革命とナポレオン

革命の進展

国民議会は1789年から1791年にかけて、教会財産の国有化、これを担保にした公債アッシニア Assignat の発行、聖職者を公務員として政府の監督下におく聖職者民事基本法、ギルドの廃止と営業の自由、度量衡の統一などを可決し改革を進めた。議会では立憲君主派が多数を占めていたが、左翼は民衆の支持を集めていた。

「神聖かつ不可侵」の所有権

人権宣言では、所有権は自由や安全とならぶ「人間の自然で時効により消滅することのない権利」であり、「所有権は神聖かつ不可侵である」とされている。土地所有権についていえば、大革命は個々の土地所有者を擁護するため、重層的で前近代的な所有権を近代的所有権に一元化しようとした。封建諸税の徴収権というかたちで残っていた領主の封建的土地所有権は、1793年の封建的諸特権の無償廃止により一掃された。教会や亡命貴族の不動産は没収されて国有財産となり、アッシニア紙幣と引き換えに売却された。これら不動産の私的所有権を保証することは、紙幣の信用を支えるためにも必要であった。土地所有者は自分の畑を囲い込む権利が与えられた。共有地を分割して、くじ引きで分配することも決められた。しかし、それは、貧しい農民の共同体的諸権利を抑圧することにもなった。老人・寡婦・子ども・病人・障害者たちが、収穫後落ち穂を拾ったり、二番草を刈り取ったり、家畜用の藁を集めたり、積み残したブドウを集めたり、休耕地に家畜を放牧するなど、それまで貧しい人々に認められていた共同的諸慣習が制限されることになったのである。

アッシニア:革命中、紙幣として用いられたが、濫発のためインフレをひきおこした。
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