写実主義絵画
19世紀半ばのフランスでうまれた、美術における写実主義様式。古典主義の理想化やロマン主義の誇張を捨ててありのままの都市下層民のたくましい生活のようすを描いた。ドーミエ、クルーべなど。
写実主義絵画
19世紀半ばのフランスでうまれた、美術における写実主義様式。
欧米における近代国民国家の発展
19世紀欧米の文化
美術と音楽
写実主義絵画
19世紀の中ごろになると、古典主義の理想化やロマン主義の誇張を捨ててありのままの農村や自然の風景、さらには都市市民の生活を描こうとする自然主義・写実主義絵画が現れた。
ドーミエ Daumier (1808〜79 オノレ=ドーミエ)は30年代痛烈な風刺漫画を描き、七月王政政府から禁固刑に処せられたが、その生き方を変えず油彩画や水彩画にも力を入れ、同時代のミレーが貧しい農民の哀感を誠実に描いたのに対して、彼は都市下層民のたくましい生活のようすを描きだした。クールベ Courbet (1819〜77 ギュスターヴ=クールベ)も写実主義画家として「石割り(絵画)」「波」などを描き、二月革命をきっかけにおこった民衆のための芸術思想や同郷の友人プルードンの影響もうけ、重厚な写実絵画を描いた。彼は71年のパリ=コミューンに参加したが、運動が挫折したあと禁固刑をうけ、晩年はスイスに移住した。