ケンジントン宮殿
イギリスの首都ロンドンに存在する宮殿。ウェストミンスターの西方ケンジントン・ガーデンズ内にある。
現在はイギリス王室の構成員であるケンブリッジ公爵家(ケンブリッジ公爵と夫人のキャサリン妃、ジョージ王子とシャーロット王女)、グロスター公爵リチャード、マイケル王子夫妻などが居住している。
ケンジントン宮殿
歴史
近代
- 17世紀にノッティンガム伯のためケンジントンにノッティンガム・ハウスとして建設される。
- 1689年にウィリアム3世(イングランド王)によってノッティンガム伯ダニエル・フィンチから買い取られた。ウィリアム3世は気管支喘息を患っており、スモッグが覆うロンドン中心部を嫌ったためであるとされる。
- 当時のケンジントンはロンドンの街から離れた村落であったが、テムズ川の水運を用いなければならなかったハンプトン・コート宮殿よりも移動距離が短かった。宮殿からハイド・パーク・コーナーまでには私的な道が設けられたが、これは数台の馬車が並行して走れるほどの幅を有していた。その内の一部は現在ロットン・ロウとして残されている。その後、クリストファー・レンによって宮殿は拡張され、建物の正面を西方として南北には新たに棟を建設し、前庭(cour d’honneur)が整備された。公にはあくまでケンジントン・ハウスであり、パレスではなかった。
- 数世紀の間、イギリス王室の面々はこの宮殿を愛用してきたが、正式な宮殿はセント・ジェームズ宮殿のままであった。
- メアリー2世(イングランド女王)は1694年に天然痘によりケンジントンで死去している。
- 1702年にはメアリーの夫ウィリアム3世(イングランド王)がハンプトン・コート宮殿で落馬し、ケンジントンへと運ばれ、ここで死去した。ウィリアム3世の死後はアン(イギリス女王)が居住した。
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ジョージ1世(イギリス王)が枢密院会議所、キューポラルームと撤退ルームと知られている3つの新しい部屋を作成し、1722年にキューポラルームの天井をウィリアム・ケントが精巧に描いた。
- ジョージ2世(イングランド王)の統治の間にチャールズ・ブリッジマンによるケンジントン・ガーデンを再設計しサーペンタイン・レイクを完成させた。
- ジョージ3世(イギリス王)の6番目の息子オーガスタス・フレデリック (サセックス公)のために巨大なライブラリを増築。
- ジョージ4世(イギリス王)から援助を受けてケンジントン宮殿に住むことを許されていた弟のエドワード・オーガスタス (ケント公)の娘のヴィクトリア(イギリス女王)が生まれると、クーポラルームで洗礼を行なった。
現代
- 1981年には第8、9アパートメントが合体され、新婚のプリンス・オブ・ウェールズ夫妻、チャールズとダイアナの居室とされた。
離婚後もダイアナの公の居住地はこの場所にあった。ウィリアム王子は宮殿からケンジントン付近の保育所、そしてノッティング・ヒルの幼稚園へと通っていた。 - 2011年に結婚したウィリアム王子と夫人のキャサリン妃はケンジントン宮殿に居住し、ジョージ王子とシャーロット王女も宮殿の住人である。
- 今日では一般に開放されているのは、マーガレット王女が住んでいたアパートメント1Aの庭部分のみである。玉璽室はHistoric Royal Palaces Agency (HRPA) により、その他のプライベート部分は現在も王室の予算を用いて整備されている。