トマス=ペイン Thomas Paine(
A.D.1737〜A.D.1809)
イギリス生れの思想家、著述家。1774年アメリカに渡り、ジャーナリストとして活躍。独立を促したパンフレット『コモン・センス』を発表。アメリカ国民の士気を高めた。87年イギリスに戻り、E.バークに対してフランス革命と共和政体を擁護し反逆罪に問われフランスに脱出。ルイ16世の処刑をめぐりロベスピエールと対立した。
トマス=ペイン
イギリス生れの思想家、著述家。1774年フランクリンのすすめでアメリカに渡り、ジャーナリストとして活躍。独立を促したパンフレット『コモン・センス』CommonSense(1776)を発表して一躍有名になった。その後もアメリカ政府の要職につくかたわら、一連のパンフレット『危機』Crisis(76~83)を出して、アメリカ国民の士気を高めた。87年イギリスに戻り、『人権論』RightsofMan(2部、91、92)を発表、E.バークに対してフランス革命と共和政体を擁護した。しかし反逆罪に問われてフランスに脱出、国民議会の議員に選出されたが、ルイ16世(フランス王)の処刑をめぐってロベスピエールと対立、嫌疑を受けて投獄され(93~94)、ロベスピエールの失脚によって危うく死を免れた。1802年再びアメリカに渡ったが、貧窮と誤解のなかで不幸な晩年をおくった。
参考 ブリタニカ国際大百科事典
欧米における近代社会の成長
アメリカ独立革命
独立戦争の開始と独立宣言
最初の段階では、独立を支持する愛国派(パトリオット)は自営農民・中小商工業者・一部の大農場主ら植民地人口の3分の1程度にすぎず、なお本国に忠誠であろうとする忠誠派(ロイヤリスト)と、和解に期待を抱き迷いつつある中立派を合わせると、独立に踏み切れないものが多数を占めていた。しかし、戦争が進むにつれ、和解の希望はうすれ、独立への意識が強まってきた。1776年1月にトマス・ペイン(1737〜1809)が出版したパンフレット『コモン・センス(常識)』は、君主制の弊害を指摘し、共和政の採用と独立を単純明快な論旨で主張し、3ヶ月で12万部売れ、世論を和解から独立へかたむけた。
コモン・センス
私は、はっきりと積極的に、そして良心的に次のことを確信している。それはイギリスから分離独立することがこの大陸の真の利益であって、それ以外の全てのことは一時的なつぎはぎ細工に過ぎず、決して永続的な幸福をもたらさないということである。
参考:新訳世界史史料・名言集