ドイツ観念論
18世紀後半〜19世紀初めにドイツで主流となった哲学。精神的なものを世界の根底に実在するものと考える、観念論哲学の一つ。カントに始まり、フィヒテ、シェリングによって継承されヘーゲルが弁証法哲学を提唱し完成した。
ドイツ観念論
18世紀後半〜19世紀初めにドイツで主流となった哲学。精神的なものを世界の根底に実在するものと考える、観念論哲学の一つ。カントに始まりヘーゲルによって大成された。
カントからヘーゲルにいたる思潮を中核に、18世紀後半から19世紀なかばにかけてドイツを中心に展開された観念論的思想運動、現代にいたるまでその影響は大きい。カントは人間の本来的な認識能力の批判的分析により、独断的形而上学を排し真の形而上学を樹立しようとした。フィヒテはカントの純粋統覚の概念を自我と結びつけ、外的世界を非我とし、この自我と非我との弁証法において絶対自我が得られるとして、絶対的観念論の基礎を築いた。さらにシェリングは外的世界をも絶対自我の弁証法的自己展開の一契機と考え、同一哲学を形成した。このシェリングの意図を弁証法的論理をもって完成させたのはヘーゲルである。自我は理念として、現象世界を自己疎外と自己止揚の反復を介して展開し、最後に自己自身へ回帰する。ここにドイツ観念論はその体系的完成をみるにいたった。
参考 ブリタニカ国際大百科事典
欧米における近代国民国家の発展
19世紀欧米の文化
哲学と人文・社会科学
合理論と経験論を統合・批判し、啓蒙主義思想の理性万能に懐疑の目をむけたイマヌエル=カント以降、19世紀のドイツ観念論は「ドイツ国民に告ぐ」によって愛国心の高揚をめざしたフィヒテ Fichte (1762〜1814)や、ドイツ・ロマン派哲学の代表者であるシェリング Scheling (1775〜1854)によって継承され、ヘーゲル Hegel (1770〜1831)が弁証法哲学 Dialektik を提唱するにおよんで完成した。弁証法哲学は人間の存在や思惟はその内部に絶えず矛盾をはらみながらも、それより高次な次元において統一され無限に発展するという考えであり、ヘーゲル死後その学派は分裂しながらも、左派を代表するフォイエルバッハ Feuerbach (1818〜83)の唯物論と結びついて、マルクスの弁証法唯物論に発展した。
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