二里頭遺跡
二里頭の宮殿復元

夏王朝


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夏王朝かおうちょう 

からけつにいたる伝説上の王朝。『史記』に記述されているが、文字資料などは確認されていない。河南省の二里頭遺跡との関連が指摘されており、中国では公式に存在が認められている。


夏王朝

からけつにいたる伝説上の王朝。『史記』に記述されているが、文字資料などは確認されていない。河南省の二里頭遺跡との関連が指摘されており、中国では公式に存在が認められている。

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歴史上初めて東アジアに現れた文化の核心

農業システム

地層の研究から、4000年前の生活の痕跡として、地元で作られていた粟やきび、北西の黄河上流で栽培されていた小麦、野生のものを栽培種にした大豆、南の長江流域にあった水稲。
まだ多くの地域が限られた作物しか作っていなかった時代、二里頭だけが5種類もの穀物を同時に栽培していたことがわかった。
気候変動で中国一帯は干ばつと洪水が繰り返され厳しい生活環境だったが、二里頭は優れた農業システムによって対応していた。

二里頭と鬹が出土した場所
二里頭村と周辺の鬹が出土した場所

(酒の器)

紅陶の鬹
紅陶の鬹

エジプトやメソポタミアではまだ麦類しか作っていなかった時代、二里頭村を囲む中国の主要な川を通じて、さまざまな穀物や栽培情報が伝わってきたとされてる。
川の周辺から出土されたは、黄河下流で作られていた伝統的な土器。身分の高いものだけに与えられるもの。
上図地図のマーカーはが出土した場所。主要な川に身分の高いものがいて各々情報を交換していたとされる。

宮殿

二里頭の宮殿復元
二里頭の宮殿復元
紫禁城
紫禁城

人の出入りする南門のすぐ近くに最も重要な宮殿を配置、その重要な宮殿の内部には回廊と広い中庭、正面に王が立つ建物(正殿)などの基本構造は後の中国の王朝に引き継がれ、4000年近く守られてきた。
この基本構造の宮殿は二里頭以前には全く見られなかったため、二里頭は最古の王朝・夏王朝と判断された。

宮廷儀礼

正殿の前の広い空間では、神ではなく、王が権威を示す宮廷儀礼を行う。
エジプトなど他の文明ではまず神ありきで、その化身として王が存在したが、中国では直接王と家臣が向き合い、宗教とは異なった秩序を人間として作り出す。その宮廷儀礼も夏王朝から始まり、後の王朝に引き継がれた。

玉璋ぎょくしょう

玉璋
玉璋

儀礼で王が手にしていた玉璋には、中国東北部で信仰されていた精霊である龍が刻まれていた。
近年の発掘から、玉璋は中国各地で出土されていたことがわかり、夏王朝独特の柄の部分に龍が刻まれた玉璋の出土は、夏王朝の影響力が大陸全域に渡っていたと考えられる。

銅爵どうしゃく(祭器)

二里頭文化 青銅酒爵
二里頭文化 青銅酒爵

青銅の酒爵・銅爵も出土された。外の文化を取り込み融合した証となる。
宮廷儀礼の参列者に、いくつもの黄河下流の文化や西域から取り込んだ青銅器の技術を融合させることによってうまれた、鬹・玉璋・銅爵などを見せることによって、王の権威が遠くにまで及ぶことを示した。
王、貴族、参列者と、宮廷儀礼には身分の差を人びとに認識させた。
軍事力だけで安定した社会を持続することはできなかったが、宮廷儀礼は、身分を固定することで、反乱を防ぎ、王朝を安定させる巧妙なシステムとなった。

トルコ石の龍

トルコ石の龍(二里頭出土)
トルコ石の龍(二里頭出土)

見事なトルコ石で作成された龍。夏王朝の影響力を高めるのに重要な役割を果たしたと思われる。
自然を超越した力を象徴する龍と、政治的指導者である王の力が合わさることで、広く中国大陸に影響を与えることができた。
後の歴代王も力の象徴として龍を選び、受け継がれていった。

二里頭遺跡

二里頭遺跡は今から3800年から3500年前のもので、遺跡の時期は4期に分かれている。1、2期は新石器時代で、陶器を製造する農耕文明であった。3期・4期は青銅器の本格的使用また都市国家が形成していた。

  • 1期:3門峡、関中平原東部、河南省南部に拡大
  • 2期:汾水流域に拡大し、その地域に二里頭文化東下馮類型を形成。
  • 3期:沁水以西地区、河南省東・東南部に拡大。
    • 2、3期頃になると、河北の輝衛文化・下七垣文化、山東の岳石文化などとの衝突の痕跡が認められる。
  • 4期
    • 3、4期になると青銅器や宮殿の跡が出土し、都市国家が形成されていたとみられる。

二里頭遺跡1号宮殿の復元

二里頭遺跡1号宮殿
二里頭遺跡1号宮殿復元 (洛陽博物館)

二里頭村の場所

夏王朝領域
夏王朝領域

中国文明の謎 第一集 中華の源流 幻の王朝を追う
中国文明の謎 第一集 中華の源流 幻の王朝を追う

NHKスペシャル | 中国文明の謎第1集 中華の源流 幻の王朝を追う
四千年以上にわたってほぼ同じ地域で同じ文明を維持してきた中国文明の謎を探るシリーズ。第一集では「中華(=夏)」という言葉の源流となった幻の王朝・夏の実像を探る。
2012年放送だが、NHK オンデマンドで視聴可能。
NHKオンデマンド | NHKスペシャル 中国文明の謎 第一集 中華の源流 幻の王朝を追う
公式サイト:NHKスペシャル 中国文明の謎


画像出典: 中国文明の謎 第一集 中華の源流 幻の王朝を追う

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