新古典主義 - 『ソクラテスの死』(1787- ジャック=ルイ・ダヴィッド 画/ メトロポリタン美術館蔵)
『ソクラテスの死』(1787- ジャック=ルイ・ダヴィッド 画/ メトロポリタン美術館蔵)

新古典主義


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新古典主義

建築、絵画、彫刻、工芸、思想などさまざまなジャンルで18世紀後半から19世紀にかけて欧州全域に展開した美学上の理念。17世紀の古典主義など古代趣味を再評価し、ロココ様式の軽快な装飾性とは一線を画した、調和や統一性、自然性、形式美、そして考古学の科学的検証や考察に基づいた理知的で格調高い表現・描写を尊重する。同時代に展開したロマン主義の対置として考えられるものの、双方の思想を折衷している画家も少なくない。新古典主義では何より歴史画、次いで神話画と宗教画が重要視された。新古典主義の理念・思想はそのまま19世紀アカデミズムに継承される。

新古典主義

絵画

新古典主義 - 『グランド・オダリスク』(横たわるオダリスク) 1814 ルーヴル美術館蔵
『グランド・オダリスク』( 1814- ドミニク・アングル 画/ ルーヴル美術館 蔵) ©Public domain

新古典主義の主な画家としては、ダヴィド、アングル、ジェラール、グロ等が挙げられる。
ロココ様式の華美で表層的な表現や、イリュージョニズムに熱狂するバロック様式へのアンチテーゼとして、デッサンと形を重視し、理性を通じた普遍的価値の表現を理想とした。
19世紀に入り、より感性的・情熱的で表現者自身の感覚を重視するロマン主義(ロマン派)が台頭し、新古典主義とは真っ向から対峙する事となる。

新古典主義 - 『ダンテの小舟』(1822- ルーブル美術館蔵)
『ダンテの小舟』(1822- ウジェーヌ・ドラクロワ画)ルーブル美術館蔵 ©Public domain

新古典主義の巨匠アングルと、ロマン派の巨匠ドラクロワの対立は有名だが、これは17世紀の、素描のプッサン派と色彩のルーベンス派の論争に類似している。 この絵画の造形上の対立は、更には古代ギリシャに実在したと伝えられる二人の画家、アペレスとゼウクシスの対比に遡ることも出来る。つまり、線の連続性や調和を重視し色を輪郭に即して用いる態度、色の効果を重視し色斑によって形体を描き出す態度の相違は、絵画の誕生とほぼ同時に存在していたと言える程に根源的なものなのである。そして連綿と続くこの対立はアングルが指摘したように、色彩が優位を保つには手数が少なく素早い制作であることが不可欠であり、卓越した形体表現に必要な階調・バルールの徹底的な研究と絢爛たる色彩が両立しないことが根底的な理由である。

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