本願寺 ほんがんじ (西本願寺)
京都市下京区にある、浄土真宗本願寺派の本山。浄土真宗は、鎌倉時代の中頃に親鸞によって開かれ、親鸞の末娘覚信尼の孫の覚如が親鸞の廟所を寺院化し、本願寺(大谷本願寺)と称したのが本願寺派の始まりで、以後、覚如の子孫が代々本願寺の門主をつとめた。15世紀半ば延暦寺によって大谷本顧寺が破却されたため、場所は転々とし、現在地には1591(天正19)年、豊臣秀吉の寄進により大坂天満から移転した。世界遺産「古都京都の文化財」
本願寺
本願寺は、浄土真宗本願寺派の本山で、その所在(京都市下京区堀川通花屋町下ル)する位置から、西本願寺ともいわれている。浄土真宗は、鎌倉時代の中頃に親鸞聖人によって開かれたが、その後、室町時代に出られた蓮如上人によって民衆の間に広く深く浸透して発展した。
武家社会の成長
室町文化
新仏教の発展
浄土真宗(一向宗) は、農民のほか、各地を移動して生活を営む商人や交通・商工業者などにも広く受け入れられて広まった。親鸞の末娘覚信尼(1224-83?)の孫で、東山大谷にあった親鸞の廟所を守っていた覚如(1270〜1351)が、鎌倉時代末に同廟所を寺院化し、本願寺(大谷本願寺)と称したのが本願寺派の始まりで、以後、覚如の子孫が代々本願寺の門主をつとめた。
15世紀半ばに第8世門主となった蓮如(兼寿、1415-99)のとき、延暦寺によって大谷本願寺が破却されたため、蓮如は近江を転々としたのち越前吉崎に吉崎道場(吉崎坊)を建てて、しばらく北陸地方を布教の拠点とした。やがて吉崎を離れた迎如は、再び畿内周辺を転々としながら布教活動を行い、京都の山科に山科本願寺を建てて新たな教団の本拠地とした。その後蓮如は門主の座を実子の実如( 1458- 1525 )に譲り、自らは大坂石山に石山坊を建てて隠棲した。
1532(天文元)年に山科本願寺が法華一揆らによって焼かれると、実如の孫で第10世門主であった証如(1516〜54)は、教団の本拠地を石山坊に移した。これが石山本願寺である。
蓮如は、阿弥陀仏の救いを信じれば、誰でも極楽往生ができることを平易な仮名混じりの文章で説いた御文(御文章) を用いながら布教を行い、講を組織して惣村を直接つかんでいった。村落の道場には本願寺のくばった本尊の絵像などがおかれ、坊主を中心に講によって結ばれた信者(門徒)の寄合がもたれ、信仰が深められた。蓮如を中心とする精力的な布教活動によって本願寺の勢力は、北陸・東海・近畿地方に広まり、各地域ごとに強く結束し、強大なものとなった。そのため、農村の支配を強めつつあった大名権力と門徒集団が衝突し、各地で一向―揆がおこった。その代表的なものが、1488(長享2)年におこった加賀の一向一揆である。浄土真宗には、ほかにも専修寺派や仏光寺派などの教団があったが、蓮如以後は本願寺派が最も優勢な教団となった。
文化財
国宝
御影堂 – 堂正面に「見真」と書かれた額が掲げられている。親鸞は明治天皇から見真大師の大師諡号を1876年に贈られた。ただし、2008年の「宗制」改正によって、「見真大師」の語は「宗制」から削除されている。
阿弥陀堂 附:渡廊下、喚鐘廊下
書院(対面所及び白書院)
北能舞台
黒書院及び伝廊
2棟
飛雲閣
金閣(鹿苑寺)、銀閣(慈照寺)と並んで「京の三閣」と呼ばれる。
唐門
紙本墨画親鸞聖人像(鏡御影)
附:絹本著色親鸞聖人像(安城御影)・ 絹本著色親鸞聖人像(安城御影副本)
『観無量寿経註』
親鸞筆
『阿弥陀経註』
親鸞筆
熊野懐紙(後鳥羽天皇宸翰以下11通)
附:伏見宮貞敦親王御添状1巻、飛鳥井雅章添状1巻
三十六人家集37帖
附:後奈良天皇宸翰女房奉書1幅
重要文化財
建造物
玄関、浪之間、虎之間、太鼓之間 1棟
能舞台(南能舞台)附:橋掛
浴室(黄鶴台)附:廻廊
本願寺 7棟
経蔵
鐘楼
手水所
鼓楼
御影堂門
阿弥陀堂門
総門
附 御成門
附 目隠塀
附 築地塀 3棟
旧真宗信徒生命保険株式会社本館(本願寺伝道院)(下京区油小路通正面下る玉本町所在)
世界遺産「古都京都の文化財」
鎌倉仏教表
鎌倉仏教
系統 | 浄土宗系(他力本願) | 天台宗系 | 禅宗系(不立文字) | |||
念仏 (南無阿弥陀仏) | 題目 (南無妙法蓮華経) | 禅 | ||||
宗派 | 浄土宗 | 浄土真宗 | 時宗 | 日蓮宗 | 臨済宗 | 曹洞宗 |
開祖 | 法然 | 親鸞 | 一遍 | 日蓮 | 栄西 | 道元 |
教義 | 専修念仏 | 一向専修 悪人正機 | 踊念仏 賦算 | 題目唱和 | 坐禅 公案 (禅問答) | 只管打坐 |
布教対象 | 京都周辺の 公家・武士 | 関東、のちに 北陸・東海・ 近畿の 武士・農民、 とくに下層農民 | 全国の武士・ 農民層 | 下級武士・ 商工業者 | 京・鎌倉の 上級武士、 地方の 有力武士 | 地方の 中小武士・ 農民 |
主著 | 選択本願念仏集 一枚起請文 | 教行信証 歎異抄 | 一遍上人語録 | 立正安国論 開目抄 | 興禅護国論 喫茶養生記 | 正法眼蔵 正法眼蔵随聞記 |
中心寺院 | 知恩院(京都) | 本願寺(京都) | 清浄光寺(神奈川) | 久遠寺(山梨) | 建仁寺(京都) | 永平寺(福井) |