李時珍( A.D.1518〜A.D.1593)
明末期の薬草学者。明末期、知識人の中には現実の社会に役立つ学問を第一とする実学(経世致用の学)がおこり、李時珍は、約30年を費やして、古今の薬物に関する総合書『本草綱目』を完成させる。日本をはじめとする東アジア諸国にも影響を与えた。
李時珍
世界的に優れた薬物書を著す
明末期の薬草学者。約30年を費やして、当時の世界最高水準の薬物書『本草綱目ほんぞうこうもく』を完成。
アジア諸地域の繁栄
東アジア・東南アジア世界の動向
明後期の社会と文化
明の中期以降の産業や商業の発展、さらにはキリスト教宣教師の来航によって西洋美術が導入され、また陽明学もしだいに空論化の傾向が強まってくると、これらを背景として、知識人の中には現実の社会に役立つ学問を第一とする実学(経世致用の学)がおこった。その結果、古今の薬物に関する総合書である李時珍(1523頃〜1596)の『本草綱目』、徐光啓(1562〜1633)による農政・農業関連の総合書の『農政全書』や西洋の歴訪をもとに作成した『崇禎暦書』、そして産業技術の図解説明書である宋応星(1590〜1650)の『天工開物』、火器の構造などを述べた兵学書である趙士禎『神器譜』、造園の解説書である計成(1582〜?)の『園冶』などといった科学技術書が相次いで出版され、日本をはじめとする東アジア諸国にも影響を与えた。