淝水の戦い A.D.383〜
五胡十六国時代に、華北の前秦軍と江南の東晋軍が淝水(現在の安徽省寿県の東南)で激突した戦い。氐のたてた前秦は、長安に都をおき強勢となり、長江以北を支配下に入れ、一時的に華北を統一し、さらに中国統一を目指して南下したが、東晋に敗れ、これを契機に前秦は崩壊し、南北分立の形勢が決まった。
淝水の戦い
戦争データ
年月日:383年10月 | |
場所:淝水(現在の安徽省寿県東方) | |
結果:東晋の勝利 | |
交戦勢力 | |
東晋 | 前秦 |
指導者 | |
謝石 謝玄 謝琰 劉牢之 |
苻堅 苻融 苻方 慕容垂 |
東アジア世界の形成と発展
北方民族の活動と中国の分裂
五胡十六国と南北朝
華北では、まず南匈奴が強盛を示したが、つづいて匈奴の別種といわれる羯が政権をたてた。
また、2世紀の中頃より中国の北辺を脅かしていた鮮卑も長城を越えて侵入し、政権を打ち立てた。
チベット系の氐や羌も、それぞれ勢力を拡大して政権をたてた。
このうち、氐のたてた前秦は、長安に都をおき強勢となり、長江以北を支配下に入れ、一時的に華北を統一した。さらに中国統一を目指して南下したが、東晋との淝水の戦いで敗れ(383)、これを契機に前秦は崩壊し、南北分立の形勢が決まった。これら匈奴・鮮卑・羯・氐・羌のなどの諸民族を総称して五胡という。このような分裂状態の五胡十六国時代を経て、5世紀前半に鮮卑の拓跋氏がたてた北魏の太武帝によって華北が統一された(439)。