アルクイン( A.D.735〜A.D.804)
イギリスの神学者・聖職者。フランク王国のカール大帝の文教政策に請われて学校を設立、フランク王国の学問振興に寄与。イタリア・ピサのペトルスやパウルス・ディアコヌス、スペインのテオドゥルフなどがフランクの宮廷を訪れ、古典文化の興隆がみられたため、カロリング・ルネサンスとよばれる。
アルクイン
カロリング・ルネサンス創出
イギリスの神学者・聖職者。フランク王国のカール1世に請われて学校を設立、フランク王国の学問振興に寄与。
ヨーロッパ世界の形成と発展
西ヨーロッパの中世文化
学問と大学
神学
中世の学問を代表するのが神学である。「哲学は神学の婢」ということわざが象徴するように、中世には古代に学問の中核を占めた哲学よりも、キリスト教の教理や信仰を研究する神学の方が上位を占めた。古代のラテン語神学は、5世紀初めの教父アウグスティヌスにより大成されたが、中世の神学はアウグスティヌスの思想を基盤に、スコラ学として発展した。スコラとは学校の意味で、フランク王国のカール大帝がアーヘンの宮廷や教会・修道院などに付属の学校を建て、アルクィン(735〜804)ら諸国の学者を集めて学問を奨励したことに始まる。スコラ学は11世紀のカンタベリ大司教アンセルムス(1033〜1109)を経て、13世紀にドミニコ派のトマス・アクィナス(1225頃〜1274)により大成された。トマスは、アリストテレス哲学を踏まえ、神学を中心にあらゆる学問の体系化を目指し、『神学大全』を著した。
西ヨーロッパ世界の成立
カール大帝(シャルルマーニュ)
カールはこのほか道路を改修して交易を保護したり、銀を通貨とする貨幣制度を定めたりしたが、特に注目されるのは文教政策である。聖職者を養成するために、各地の修道院や教会に付属学校の設置を命じ、さらに聖職者の一般的教養を高めるため、諸国から高名な学者を招いてラテン語と古典文化の研究に当たらせ、カロリング・ルネサンスを現出させた。
このように、カールの西ローマ帝国は、単純な古代帝国の復活ではなかった。むしろそれは、古代以来の古典文化、キリスト教(ローマ・カトリック)、ゲルマン的要素の3者が融合した全く新しい世界、すなわち西ヨーロッパ世界の誕生を告げるものであった。
参考 詳説世界史研究