ピサ大聖堂
イタリアのピサに位置するロマネスク様式を代表する建築物。ピサの斜塔などと共に世界遺産「ピサのドゥオモ広場」に登録されている。大聖堂の建設作業には多くの芸術家と建築家が携わり、1063年から1118年および1261年から1272年と2回に分けて長期にわたり建設された。
ピサ大聖堂
歴史
11世紀、イタリア中部のトスカーナ地方が市民による自治都市(中世都市)の時代になると、当時交通の要所に位置した公益共和国の都市であるピサは、ルッカ、フィレンツェとともに繁栄し、トスカーナ地方で勢力を誇った。同時に、この時代の各地にはキリスト教信仰の中心地が確立し、その富と権勢の大きさを表す手段としてピサ大聖堂が作られるようになった。
大聖堂は1064年、都市国家であるピサがイスラム軍と地中海貿易の覇権をアラブ勢力と争い大勝した「パレルモ沖海戦」を記念して起工された。ギリシア人ブスケット(Buscheto)の設計、指導の下に着工が行われ、12世紀にライナールド(Rainaldo)がファサードを完成させた。大聖堂の建設にかかった期間は1064年から1118年と約半世紀にもわたるとされる。それから34年後の1152年には洗礼堂が、さらにその19年後の1173年には鐘塔が、大聖堂の周りに建設され始めた。それぞれの建築物は14世紀後半に完成され、現在のドゥオモ広場が生まれた。
特徴
ロマネスク様式
ロマネスク建築といいつつ、当時のイタリアの建築物はローマ時代の建築様式を取り入れたりもしている。イタリアには、ローマ時代の建築の廃墟があちこちに残っており、そこから建築資材と様式上のヒントを得ていた。またピザンツ文化の影響を受けて中世の建築様式のきっかけをも生み出し、さまざまな時代の建築様式が融合しているといえる。
建築形式
バシリカ式(十字架型平面形)
4世紀に造られはじめた初期キリスト教会の形式を受け継いでいる。単純な長方形を基礎とし、身廊と側廊を持ち、そこに直角に張り出す翼廊を加えて、十字架型を形づくるものである。ラテン十字形の平面形体に設計された大聖堂は、合理主義の傑作とも言われている。身廊は五廊式で翼廊は三廊式。交差部には楕円形のドームがあり、八角形のティーブリオに覆われている。
ドーム(中央の塔)
レンガと石で造られたドームは、フィレンツェの洗礼堂と同時期の1090年に建立された。十字架の交差部分は、当初、上まで外側に囲まれた塔であったが、現在は外壁がなく、石造のドームがむき出しになっている。これはフィレンツェに代表される14世紀トスカーナ地方の教会様式を取り入れたものである。ドームを取り巻くアーケードは、1383年に完成したものである。
参考 Wikipedia