三角縁神獣鏡
銅鏡の形式の一種で、周縁の断面形が三角形を呈し、中国の神話に登場する神仙や霊獣を浮き彫りにした文様をもつ鏡。出現期から前期の古墳に多数副葬され、日本列島ではすでに400面近くが発見されている。卑弥呼が魏に使いを送った景初3(239)年やその翌年の正始元(240)年など魏の年号銘をもつものがあることなどから魏で製作された鏡で、卑弥呼が魏の皇帝から下賜された銅鏡100面もこれに当たると考えられていた。
三角縁神獣鏡
周縁の断面形が三角形を呈し、中国の神話に登場する神仙や霊獣を浮き彫りにした文様をもつ鏡。
出現期から前期の古墳に多数副葬され、日本列島ではすでに400面近くが発見されている。
卑弥呼が魏に使いを送った景初3(239)年やその翌年の正始元(240)年など魏の年号銘をもつものがあることなどから魏で製作された鏡で、卑弥呼が魏の皇帝から下賜された銅鏡100面もこれに当たると考えられていた。
ところが中国大陸では1面も発見されていないこと、こうした半肉彫りの神獣鏡は中国でも主として南の長江流域で製作されたものであることから、呉の工人が日本列島にわたって製作したとする説が提起され、論争が続いている。なお、この三角縁神獣鏡やこれを日本列島で模してつくったと考えられている仿製三角縁神獣鏡には、同じ型でつくられた同型鏡ないし同笵鏡が数多く見られる。それらは近畿地方を中心に各地に分布しており、ヤマト政権の中枢から配布されたものと考えられている。
三角縁神獣鏡出土の古墳
東北地方
- 会津大塚山古墳(福島県会津若松市、東北地方最古級、古墳時代前期[4世紀]、1972年(昭和47年)国の史跡に指定された。)
関東地方
- 前橋天神山古墳(群馬県前橋市、全長126メートル、4世紀後半の前方後円墳、三角縁四神四獣鏡2面)
- 蟹沢古墳(群馬県高崎市、正始元年(240年)銘鏡が出土した前方後円墳)
- 手古塚古墳(千葉県木更津市、仿製鏡、同じ鋳型で造られた同笵鏡は奈良県の河合古墳、島根県造山古墳から出土。)
- 真土大塚山古墳(神奈川県平塚市西真土)
- 白山古墳(神奈川県川崎市幸区、前期で4世紀後半、全長87メートルの前方後円墳)
東海地方
- 赤門上古墳(静岡県浜松市、56.3メートルの前期の前方後円墳、京都府椿井大塚山古墳や奈良県佐味田宝塚古墳と同笵鏡関係にある。)
- 新豊院山2号墳(静岡県磐田市、墳長34.3メートルの前方後円墳、三角縁四神四獣鏡、3世紀末から4世紀前半で県内最古級の一つ )
- 奥津社古墳(愛知県愛西市、円墳、径25メートル、墳頂に奥津社の社殿があり、同神社所蔵の3面の銅鏡が三角縁神獣鏡で、椿井大山古墳出土鏡などと同笵鏡関係にある。)
- 東之宮古墳(愛知県犬山市、国の史跡、墳丘長67メートルの前方後方墳、4面出土)
中部・北陸地方
- 森将軍塚古墳(長野県千曲市、「天王日月」銘、前方後円墳、墳丘長100メートル)
- 甲斐銚子塚古墳(山梨県甲府市下曽根町、4世紀後半の前方後円墳)
- 一輪山古墳(岐阜県各務原市鵜沼西町、円墳)
- 円満寺古墳(岐阜県海津市南濃町、4世紀中頃の前方後円墳)
- 花岡山古墳(岐阜県大垣市、4世紀中頃の前方後円墳)
- 長塚古墳(岐阜県大垣市)
- 野中古墳(岐阜県可児市中恵土、古墳時代前期II、推定墳丘長58メートル)
- 花野谷1号墳(福井県福井市、2000年(平成12)9月発見。円墳)
近畿地方
- 雪野山古墳(滋賀県東近江市、前方後円墳)
- 温江丸山古墳(京都府与謝郡与謝町、野田川の上流)
- 久津川車塚古墳(京都府城陽市、平川古墳群にある5世紀前葉の前方後円墳、墳丘長180メートル、前方部が大きく発達し、二重の周壕を巡らす。)
- 椿井大塚山古墳(京都府木津川市、前期前方後円墳、前方部撥型)
- 西求女塚古墳(兵庫県神戸市灘区、前方後方墳)
- ヘボソ塚古墳(兵庫県神戸市東灘区、前方後円墳、三角縁神獣鏡2面を出土)
- 東求女塚古墳(兵庫県神戸市東灘区、4面、前期の前方後円墳)
- コヤダニ古墳(兵庫県洲本市、当地方最古の古墳)
- 吉島古墳(兵庫県たつの市、前方後円墳、三角縁4面を含む6面の大型鏡を出土、椿井大塚山古墳、黒塚古墳、佐味田宝塚古墳、雪野山古墳、赤上門古墳と同笵鏡関係にある。)
- 黒塚古墳(奈良県天理市、前方後円墳、三角縁神獣鏡33面を出土)
- 桜井茶臼山古墳(奈良県桜井市、前期前方後円墳、前方部柄鏡形)
- 鴨都波1号墳(奈良県御所市柳田町、棺外から3三面出土、小方墳<南北辺20メートル、東西辺16メートル>)
- 佐味田宝塚古墳(奈良県北葛城郡河合町大字佐味田字貝吹、墳頂で鏡片を採集、古墳時代前期の前方後円墳、家屋文鏡(仿製鏡)で名高い)
中国地方
- 備前車塚古墳(岡山県岡山市、前方後方墳、三角縁神獣鏡11面を含む13面の鏡を出土)
- 鶴山丸山古墳(岡山県備前市、円墳、三角縁神獣鏡1面を含む30面の鏡を出土)
- 白鳥古墳(広島県東広島市高屋町)
- 潮崎山古墳(広島県福山市新市町)
- 中小田1号墳(広島県広島市東区、京都府椿井大塚山古墳と同笵鏡、海上交通で大和政権と繋がっていた。)
- 神原神社古墳(島根県雲南市加茂町、一辺約30メートル、景初三年銘)
四国地方
- 奥三号墳(香川県さぬき市寒川町、前期前半の前方後円墳)
- 西山古墳(香川県善通寺市善通寺町、前期前半の前方後円墳)
- 宮谷古墳 (徳島県徳島市国府町、 3世紀末〜4世紀初頭の前方後円墳)
九州地方
- 那珂八幡古墳(福岡県福岡市博多区、三角縁五神四獣鏡、前期、後円部正円形でない、墳丘長約75メートル)
- 石塚山古墳(福岡県京都郡苅田町、三角縁神獣鏡7面は京都府の椿井大塚山古墳と同笵鏡、3世紀後半の前方後円墳)
- 一貴山銚子塚古墳(福岡県糸島市、日本製の三角縁神獣鏡8面、4世紀後半の前方後円墳)
- 沖ノ島(福岡県宗像市沖ノ島)
- 赤塚古墳(大分県宇佐市、宇佐風土記の丘、5枚出土、九州最古の前方後円墳)
三角縁神獣鏡の出土を府県別にみると奈良県の100枚が群を抜いており、京都府の66枚、次いで福岡県、兵庫県の40枚以上、大阪府が38枚、吉備国が28枚以上である。このことから、奈良を中心とする近畿地方(京都・奈良・大阪)に三角縁神獣鏡の出土が多いことがわかる。さらに、近畿地方での出土数は270枚を超え、全体の1/2以上を占めている。
参考 Wikipedia