秋冬山水図 しゅうとうさんすいず (雪舟画・東京国立博物館蔵)
秋冬山水図
国宝データ
指定名称:紙本墨画秋冬山水図
雪舟等楊筆
2幅 (秋冬山水図のうち)
紙本墨画
各47.7×30.2
室町時代・15世紀末~16世紀初
東京国立博物館
A-1398
雪舟等楊筆
2幅 (秋冬山水図のうち)
紙本墨画
各47.7×30.2
室町時代・15世紀末~16世紀初
東京国立博物館
A-1398
もと、「夏冬山水」として京都の曼殊院に伝来した「秋景山水図」「冬景山水図」。四季山水図4幅対のうちの2幅とも考えられる。雪舟(1420-1506?)は、周文や如拙、南宋の諸大家、明代の浙派など、さまざまな様式を学んだが、両図の安定感のある構図や力強い筆致は、雪舟独特の作風を示している。
「冬景」では、雪におおわれた断崖が中央にそびえ、舟から降りた人物が楼閣に向かって歩んでいる。オーバーハングする断崖の力強い輪郭線、冬枯れの樹木がきびしい寒さを感じさせる。画面左下すみから、反時計回りに岩や山を螺旋状に配置する構図は、人為的な構築性を強く感じさせる。強い筆墨の調子とあいまって、画面空間には意図的に奥行きが排されている。
「冬景」では、雪におおわれた断崖が中央にそびえ、舟から降りた人物が楼閣に向かって歩んでいる。オーバーハングする断崖の力強い輪郭線、冬枯れの樹木がきびしい寒さを感じさせる。画面左下すみから、反時計回りに岩や山を螺旋状に配置する構図は、人為的な構築性を強く感じさせる。強い筆墨の調子とあいまって、画面空間には意図的に奥行きが排されている。
参考 e国宝
切手にもなった、奇才・雪舟を最も感じる名作
雪舟 国宝 15世紀・室町時代 紙本墨画 双幅各46.3×29.3cm 東京国立博物館
制作年代は特定されないが、おそらく60歳代後半の作とされている。景物を手前から折り重なるように重層構造で描き出す手法は雪舟ならでは。実景描写というよりも、抽象表現に到達したかった雪舟の意思が見え隠れする逸品。
参考 週刊ニッポンの国宝100 10 中尊寺金色堂/慧可断臂図(チユウソンジコンジキドウ エカダンピズ)[分冊百科] (2017年11/28号)
武家社会の成長
室町文化
東山文化
水墨画
新しい住宅様式の成立は、座敷の装飾を盛んにし、掛軸・襖絵などの絵画、床の間を飾る生花・工芸品をいっそう発展させた。墨の濃淡で自然や人物を象徴的に表現する水墨画は、すでに北山文化のころ五山僧の明兆(兆殿司)・如拙・周文らによって基礎が築かれていたがこの時期に如拙・周文の門下から雪舟(1420〜1506)が出て、明(王朝)での見聞や地方生活の経験を生かしながら『四季山水図巻(山水長巻)』『秋冬山水図』『天橋立図』などの作品をつぎつぎと描き、水墨画の作画技術を集大成するとともに、禅画の制約を乗り越え、日本的な水墨画様式を創造した。