36.ルネサンス ルネサンス 最後の審判(ミケランジェロ)
最後の審判(ミケランジェロ) (ミケランジェロ画/システィーナ礼拝堂・ヴァチカン) ©Public Domain
36.ルネサンス
  • 1.イタリア・ルネサンスの背景
  • 2.新しい文芸と美術の誕生
  • 3.技術と科学精神のめざめ
  • 4.ルネサンスの絵画

36.ルネサンス

1.イタリア・ルネサンスの背景

ルネサンスとは中世文化を引き継ぎながら、人間精神の解放や個性の尊重をめざす文化運動で、中世の文化とくらべて、現世に生きる楽しみや理性・感情をより重視した。その根本精神をヒューマニズム(人文主義・人間主義)とよび、再生とか文芸復興と訳される。ルネサンスがイタリアに始まった要因を考えてみると、以下の古典研究発展のきっかけがある。

  1. 東方貿易によりルネサンスのにないてとなる新興の市民階級が成長した
  2. ルネサンスの文化人をフィレンツェのメディチ家や教皇などの支配者階級が、指示・保護した
  3. イタリアが古代ローマの故地であり、ビザンツ帝国から移住した学者によってギリシア文化が伝えられた

2.新しい文芸と美術の誕生

イタリア

14世紀イタリア・ルネサンスの先駆者ダンテ・アリギエーリはトスカナ語で『神曲』を著し、これに続きペトラルカが『叙情詩集』を、ジョヴァンニ・ ボッカッチョが『デカメロン』を著した。

15世紀に入ると、フィレンツェを中心に多くの芸術家が輩出した。メディチ家の保護のもと建築のフィリッポ・ブルネレスキ、画家のサンドロ・ボッティチェリが活躍した。

16世紀にはローマに中心が移り、教皇みずからが文芸保護者の役割を演じた。ルネサンス的「万能の天才」であるレオナルド・ダ・ヴィンチ、「ダヴィデ像(ミケランジェロ)」などのすぐれた彫刻に加え、絵画・建築にも卓越した才能をもったミケランジェロ・ブオナローティ、聖母子像にすぐれた作品を残したラファエロ・サンティなど巨匠が輩出した。

思想面においてはニッコロ・マキャヴェリが『君主論』を著し、のちの政治理論に大きな影響を与えた。

ネーデルラント

ネーデルラントでは商業・毛織物工業の繁栄を背景にルネサンスがおこり、教会の腐敗を攻撃し『愚神礼賛ぐしんらいさん』を著したデジデリウス・エラスムス、油絵画法のファン・エイク兄弟、農民の生活をいきいきと描いたピーテル・ブリューゲルが活躍した。

ドイツ

ドイツでは商業や鉱山業で栄えた南ドイツでおこり、ヘブライ語の研究で知られるヨハンネス・ロイヒリンに代表されるように、宗教的・学問的色彩が強く宗教改革にも影響を与えた。

フランス

フランスではフランソワ1世(フランス王)の文芸保護により宮廷文化として栄えた。フランソワ・ラブレーは『ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』の中であらゆる権威を笑いとばし、宗教戦争の渦中に生きたミシェル・ド・モンテーニュは『随想録』を著し、寛容の精神を説いた。

スペイン

スペインはアメリカ大陸到達後の経済的繁栄と、強烈なカトリック主義のもとにルネサンスが栄え、ミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』が有名である。

イギリス

イギリスでは14世紀末ジェフリー・チョーサーが出て『カンタベリー物語』を著し、16世紀にはトマス・モアが理想郷『ユートピア』を著し、第1次囲い込み運動を風刺した。また、ウイリアム・シェイクスピアはエリザベス時代最大の詩人・劇作家で多くの作品を残した。シェイクスピアをはじめとして、優れた文芸作品は、各国の言語(国語)を発達させるのに貢献した。

3.技術と科学精神のめざめ

ルネサンスの合理主義精神は科学精神の発達につながった。ポーランドのニコラウス・コペルニクスがとなえた地動説は、聖書にもとづく天動説をとっていたキリスト教的世界観に打撃を与えた。

ルネサンスの三大発明はいずれもが中国起源であるが、14世紀以降、西欧で改良・実用化が進展した。羅針盤は遠洋航海を可能にし、ヨーロッパで発達した火器(火砲)は戦術を一変させ、騎士の没落につながった。ヨハネス・グーテンベルクが改良した活版印刷術は、知識や思想の普及に貢献した。

4.ルネサンスの絵画

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