土佐光起 とさみつおき( A.D.1617〜A.D.1691)
江戸時代初期の画家。1654(承応3)年に久しく絶えていた宮廷の絵所預に任じられて土佐家を再興。細密な用筆と巧緻な彩色で古典的題材や花鳥を描いたが、江戸時代初期の趣向に合せ、探幽ら狩野派の画法を取入れたため、従来のやまと絵の伝統性は次第に失われ、形式化、装飾化が進んだ。『春秋花鳥図屏風』『厳島・松島図屏風』ほか。
土佐光起
江戸時代初期の画家。土佐光則の子。寛永11(1634)年、父光則と堺から京都へ移住。承応3(54)年に久しく絶えていた宮廷の絵所預に任じられて土佐家を再興し、内裏の障壁画制作にも参加。延宝9(81)年に子の光成に家職を譲り、仏門に入って常昭と号し、法橋、のち法眼位(85)に進んだ。細密な用筆と巧緻な彩色で古典的題材や花鳥を描いたが、江戸時代初期の趣向に合せ、探幽ら狩野派の画法を取入れたため、従来のやまと絵の伝統性は次第に失われ、形式化、装飾化が進んだ。主要作品『秋郊鳴鶉図』(光成との合作、東京国立博物館)、『北野天神縁起絵巻』(北野天満宮/重要文化財)、『厳島・松島図屏風』(徳川美術館/重要美術品)ほか。
参考 ブリタニカ国際大百科事典
幕藩体制の展開
元禄文化
元禄美術
元禄期の美術・建築
庭園 | 後楽園(岡山)・後楽園(水戸藩邸)・六義園 | |
絵画 | 土佐光起 | 春秋花鳥図屏風 |
住吉如慶 | 東照宮縁起絵巻 | |
住吉具慶 | 洛中洛外図巻 | |
尾形光琳 | 紅白梅図屏風・燕子花図屏風 | |
菱川師宣 | 見返り美人図 | |
建築 | 東大寺大仏殿・善光寺本堂 |
絵画では、幕府や大名に抱えられた狩野派や朝廷絵師(絵所預)の土佐派(大和絵系で土佐光起 〈1617〜91〉が再輿)、さらに土佐派からわかれた住吉派(住吉如慶 〈1599〜1670〉・住吉具慶 〈1631〜1705〉 の父子)が支配層の保護を受けるなかで、安定した絵画作品を制作した。しかし、しだいに清新さに欠けていったことも否めない。