ダマスクス Damascus
シリアの中心都市。メソポタミアとエジプトを結ぶ交易路と、アラビアとアナトリアを結ぶ交易路が交差する要地で、前10世紀頃アラム人が首都と定め、のち、アッシリア、ペルシア帝国、アレクサンドロス大王、セレウコス朝、ローマ帝国、ウマイヤ朝、ファーティマ朝、セルジューク朝、モンゴル帝国、オスマン帝国などの支配下となり、1946年、独立したシリアの首都となる。
ダマスクス
シリアの中心都市。メソポタミアとエジプトを結ぶ交易路と、アラビアとアナトリアを結ぶ交易路が交差する要地で、前10世紀頃アラム人が首都と定めた。
オリエントと地中海世界
古代オリエント世界
アラム人とフェニキア人
遊牧民としてシリアからメソポタミア北部へかけての地方に姿を現したアラム人は、紀元前2千年紀の半ばころよりそれぞれの進出先で定着した。そして紀元前1200年ころより、ダマスクスをはじめとする都市を中心に幾つかの小国家を形成し、内陸貿易の担い手として広い範囲で活躍した。
アジア諸地域の繁栄
トルコ世界とイラン世界
ティムール朝の社会と文化
ヨーロッパ世界の形成と発展
西ヨーロッパ世界の変容
初期の十字軍
第2回十字軍
ルイ7世(フランス王)とホーエンシュタウフェン朝初代コンラート3世(神聖ローマ皇帝)は、第2回十字軍(1147〜1149)を組織して内陸シリアの拠点ダマスクスを攻撃したが、あえなく失敗した。
イスラーム世界の形成と発展
イスラーム文明の発展
人と物と知識の交流
中央アジアのサマルカンドやイベリア半島のコルドバに育った青年が、イラクのバグダードやバスラ、シリアのダマスクス、そしてエジプトのカイロやアレクサンドリアと旅を続けてイスラーム諸学を身につけることは、決して珍しいことではなかった。しかも、これらの学院は寄進財産(ワクフ)の収入によって運営されていたから、入学を許可された学生は、衣服や食事を提供され、無料で学問を続けることができた。
産業と経済の発展
商品経済の発展につれて、各地の手工業生産も活発となった。エジプトの亜麻織物、ダマスクスやモスルの綿織物、絹織物、バグダードやサマルカンドの貴金属、紙、ガラス製品、イラン・イラク地方の絨毯など各種の特産物が、イスラーム世界ばかりでなく、東ローマ帝国や西ヨーロッパに向けて輸出された。
- 商品経済の発展につれて、各地の手工業生産も活発となった。エジプトの亜麻織物、ダマスクスやモスルの綿織物、絹織物、バグダードやサマルカンドの貴金属、紙、ガラス製品、イラン・イラク地方の絨毯など各種の特産物が、イスラーム世界ばかりでなく、東ローマ帝国や西ヨーロッパに向けて輸出された。
イスラーム帝国の成立
アラブ人の征服活動
アラブ人は家族をともなって征服地に移住し、各地に軍営都市を建設して、これを異民族支配と新たな征服のための拠点とした。イラクのバスラやクーファ、エジプトのフスタート、北アフリカのカイラワーンなどが新しく建設された軍営都市であった。
ムスリム商人たちはこれらの新都市や既存の都市(ダマスクスやアレクサンドリアなど)を結ぶ緊密なネットワークをつくりあげ、「イスラームの平和」のもとに広大な経済圏が形成された。
イスラーム帝国の分裂
後ウマイヤ朝は、政治的にはアッバース朝と敵対関係にあったが、学者たちはバグダードやダマスクスに赴いて東方イスラーム世界の文化を積極的に吸収し、その成果をイベリア半島に持ち帰った。
歴史
- 前10世紀頃
- アラム人が首都と定める
- 前732年
- アッシリア帝国に占領される
- 前539年
- ペルシア帝国(キュロス2世)に占領される
- 前333頃
- アレクサンドロス3世の支配下に入る
- 前312頃
- セレウコス朝の支配下に入る
- 前63
- ローマ帝国の支配下に入る
- 635
- イスラム帝国に征服されウマイヤ朝の首都として栄える
- 970
- ファーティマ朝の支配下に入る
- 1079
- セルジューク朝の支配下に入る
- 11世紀後半
- ブーリー朝・ザンギー朝・アイユーブ朝に支配される
- 1260
- モンゴル帝国に支配される
- マムルーク朝の地方首都となり、エジプトに支配される
- 1400
- ティムールから攻撃をうける
- 1516
- オスマン帝国統治下に入る
- 1920
- フランス委任統治領シリアの首都となる
- 1925
- ドゥルーズ派の反乱をフランス軍が鎮圧
- 1941
- イラクから侵入した連合軍部隊がヴィシー政権側の守るダマスカスを占領
- 1945
- フランス軍がダマスカスを空襲、イギリス軍の介入でフランス軍撤退
- 1946
- シリア独立、首都となる。