第3部:赤壁大戦
第3部:赤壁大戦
天才軍師・諸葛亮が”三顧の礼”で劉備のもとへ。
劉備・孫権の連合軍が曹操軍にたちむかう
徐庶(じょしょ)は優れた軍師だったが、曹操の罠にかかってしまい、去り際に諸葛亮を劉備に推薦していく。劉備は孔明のもとを訪れるが、二度も空振りに終わり、ようやく三度目に対面を果たす。劉備と諸葛亮は天下について語り合い、孔明は劉備に仕えることになる。江東では、孫堅の後継者だった孫策が暗殺され、弟の孫権が君主となっていた。曹操に恐れをなして降伏をすべきだという者と徹底抗戦を訴える者とに分かれていたが、孫権が最も頼りにしている周瑜(しゅうゆ)が抗戦を唱えたため、孔明からの同盟の申し出を受け入れる。孫権・劉備の同盟軍は曹操軍の大軍と決戦の地、赤壁で相まみえる。周瑜が曹操からのスパイを利用して反撃したり、孔明が曹操軍の10万本の矢を奪ったりと、同盟軍は曹操軍を苦しめ、老将黄蓋(こうがい)による”苦肉の策”で曹操軍を焼き払うことに成功。同盟軍が勝利する。逃げ出した曹操を関羽が追い詰めるが、曹操に恩のある関羽は義により見逃すのだった。
第33話「三顧の礼」(三顧の礼:真心から礼儀を尽くして、すぐれた人材を招くこと。また、目上の人が、ある人物を信任して手厚く迎えること。)
ピックアップ
- 美しい臥竜岡の景色
- “曹操の兵力は袁紹に及ばざるも袁紹を倒した訳は「天の時」「人の策」。今や100万の兵を持つ。曹操と矛先を争うべきではない。”、”江東を抑える孫氏一族とは同盟を結ぶべき。”、”荊州9郡は四方に通じ民は豊かだが劉表は長くは守れないため、そこが劉備の本拠地となるだろう” 劉備と出会った諸葛亮の視野の広い意見。
劉備は、去っていった徐庶の勧めの通り、関羽と張飛を連れて臥龍岡(がりょうこう)の諸葛亮を訪ねるが、諸葛亮は旅から帰っていなかった。12月、再び劉備は風雪をものともせず隆中へと赴くが、やはり空振りに終わる。蔡瑁の妨害により、兵糧不足に悩まされる劉備だったが、関羽と張飛の意見には耳も貸さず、孔明に会うまでは新野(しんや)を動くつもりはないと言い張る。春が来て、孔明を三たび訪ねる…。
第34話「孫策、孤を託す」
ピックアップ
- 隆中策(りゅうちゅうさく)(天下三分の計): 劉備が荊州と益州を領有し、劉備、曹操、孫権とで中国を大きく三分割する。そして孫権と結んで曹操に対抗し、天下に変事があった際、部下に荊州の軍勢を率いて宛・洛陽に向かわせ、劉備自身は益州の軍勢を率いて秦川に出撃することにより曹操を打倒し漢王朝を再興できる、というもの。
- 200年: 孫策死去。
- 袁紹の時と正反対の、主を失った後の孫一族の人間性。
- 曹操は汝南袁氏を倒して中原地方をその支配下に治めており、中国全土の統一までは揚州の孫権、荊州の劉表、益州の劉璋、漢中の張魯、涼州の馬超・韓遂などを残すのみ
諸葛亮は三顧の礼を受け、劉備に出仕する。しかし、劉備が諸葛亮を師と仰いで礼遇することを、関羽と張飛は快く思わない。江東では、孫策が狩りの途中で刺客に襲われ、重傷を負う。孫策は江東を孫権に託すが、宮廷内には年輩の文武官ばかり。18歳の孫権には荷が重かった。しかし、孫策の葬儀に駆け付けた周瑜が、若き君主をもり立て、江東を守ることを誓うのだった。
新しい登場人物
第35話「諸葛亮の緒戦」
ピックアップ
- 208年: 新野城 夏侯惇 樊城
- 諸葛亮は、疑心暗鬼の関羽と張飛に命を下すため、佩剣(はいけいん)(刀剣を腰につけること。また、その刀剣。帯剣。)兵符を10日間借りる。
- 劉表病死。
- 曹操に樊城を落とされる。
- 諸葛亮指揮のもと、時間稼ぎの策で曹操と闘いながら、劉備軍は新野を捨てて18万の民と一緒に江夏(こうか)へ退く。
- 荊州は劉琮が継ぎ、朝廷に帰順する。
曹操が派遣した夏侯惇の軍が新野城下に迫ってきたため、劉備は諸葛亮に戦の指揮を執らせる。劉備が城を出ようとした時、劉琦が涙ながらに、蔡瑁とその妹に命を狙われていると訴えてくる。諸葛亮から助言を受けることができた劉琦は、感謝して去る。戦に勝って帰ってきた関羽と張飛は、諸葛亮に頭を下げる。諸葛亮の思惑通りの戦いになったことで、二人は敬服したのだった。
第36話「長坂坡の戦い」
荊州を手に入れた曹操は、降伏してきた蔡瑁を水軍都督とし、10万の水軍を統率するよう命じる。さらに曹操は、江陵に逃亡中の劉備を追撃し一網打尽にしようとする。趙雲は、行方不明になっていた劉備の妻の糜夫人を長坂坡で見つけ出すが、糜夫人は足手まといになることを恐れ、息子の阿斗を趙雲に託して井戸に身を投げる。趙雲は阿斗を抱いたまま、曹操軍の包囲を見事に突破する。
第37話「儒者たちとの舌戦」
曹操は、蔡瑁が水軍の訓練を終え次第、長江を下り、江東の孫権を滅ぼすことにする。その頃、劉備のもとに、江東の魯粛が訪ねてくる。諸葛亮は、魯粛に随行して孫権を説得に行き、共に曹操に対抗しようと進言する。しかし、張昭をはじめとした老臣たちは孫権に曹操への投降を勧めていた。魯粛に連れられ、孫権に拝謁した諸葛亮は、居並ぶ群臣たちと舌戦を繰り広げ…。
第38話「周瑜を怒らせる」
抗戦か降伏か決断できない孫権は、周瑜に意見を求めるという。魯粛は諸葛亮を連れて周瑜と会うことにする。互いをつぶさに観察し合う諸葛亮と周瑜。諸葛亮は、人妻好きの曹操が孫策の妻、大喬と、周瑜の妻、小喬を手に入れようとしていると語り、周瑜を怒らせる。翌日、孫権が文武官と協議していると、周瑜が現れ、わずか5万の兵で曹操を打ち破ってみせると宣言するのだった。
新しい登場人物
第39話「蒋幹、手紙を盗む」
出陣する周瑜に、小喬は自分もついていくと主張、周瑜は妻を連れていくことにする。諸葛亮の兄である諸葛瑾を派遣し、諸葛亮を配下にしようとした周瑜だが、説得に失敗。周瑜は、諸葛亮の英知に脅威を感じ始める。孫権と劉備の連合に神経を尖らせる曹操は、人を派遣して孫陣営の状況を探らせようとする。かつて周瑜と同門だった蒋幹が、投降するように周瑜を説得すると申し出る。
第40話「草船で矢を借りる」
蒋幹が周瑜のもとから盗んできた手紙を読んだ曹操は、蔡瑁が周瑜と密通していると知り、蔡瑁の首をはねる。しかし、それは周瑜の策略だった。水上戦に不慣れな曹操軍にとって、蔡瑁は頼みの綱。周瑜は戦わずして蔡瑁を葬ることに成功したのだった。そして周瑜は、諸葛亮に10日以内に10万本の矢を作るように無理難題を押し付けるが、諸葛亮は3日で十分と答えるのだった…。
新しい登場人物
第41話「苦肉の策」
武将たちを集めて軍務を命令する周瑜に、老将黄蓋が反抗する。周瑜は激怒して黄蓋を百叩きの刑に処す。諸葛亮は、それが曹操を油断させるための策であることを見抜く。曹操は、間諜として送り込んでいる蔡中と蔡和からの報告で黄蓋が打ちすえられたことを知り、黄蓋から届いた投降の密書を信用する。その頃、諸葛亮は火攻めに有利な東南の風が吹くように祈祷を始めていた…。
第42話「赤壁の戦い」
劉備のもとへと戻った諸葛亮は、各武将に役割を指示するが、関羽には何の任務も与えない。曹操に恩がある関羽は曹操を逃がすのではと、諸葛亮は心配していたのだ。関羽は激怒し、忠誠を誓う誓約書をしたためる。その頃、曹操軍の水軍に黄蓋の船隊が投降してくるが、黄蓋の号令で二十艘の船が一斉に火の龍となって曹操の軍営に突撃。ついに、赤壁の戦いの火蓋が切って落とされる。