ウィリアム・シェイクスピア
シェイクスピア肖像画 (1610-ナショナル・ポートレート・ギャラリー蔵) ©Public domain

ウィリアム・シェイクスピア


ウィリアム・シェイクスピア

1564年4月26日(洗礼日)-1616年4月23日。イングランドの劇作家、詩人。イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。

ウィリアム・シェイクスピア

1564年に生まれ、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。
2002年BBCが行った「100名の最も偉大な英国人」投票で第5位となった。

書誌

戯曲

史劇
  • ヘンリー六世 第1部(Henry VI, Part 1、1589年 – 1590年)
  • ヘンリー六世 第2部(Henry VI, Part 2、1590年 – 1591年)
  • ヘンリー六世 第3部(Henry VI, Part 3、1590年 – 1591年)
  • リチャード三世(Richard III、1592年 – 1593年)
  • ジョン王(King John、1594年 – 1596年)
  • ウィリアム・シェイクスピア
    1615年の『リチャード二世』Q5の表紙 ©Public domain

    リチャード二世(Richard II、1595年)
    リチャード2世(イングランド王)の生涯に基づくもので、シェイクスピアの第2四部作(『リチャード二世』『ヘンリー四世 第1部』『ヘンリー四世 第2部』『ヘンリー五世』)の1作目にあたる。
    1623年に出版された「ファースト・フォリオ」では「歴史劇」に分類されているが、1597年に出版された「四折版」では「悲劇」(『The tragedie of King Richard the second(王リチャード二世の悲劇)』)とされている。
    登場人物

    • リチャード2世(イングランド王)(KING RICHARD THE SECOND)
    • ランカスター公ジョン・オブ・ゴーント(JOHN OF GAUNT, Duke of Lancaster) – 王の叔父。
    • ヨーク公エドムンド・オブ・ラングリー(EDMUND LANGLEY, Duke of York) – 王の叔父。
    • ヘリフォード公ヘンリー・ボリングブルック(HENRY, surnamed BOLINGBROKE, Duke of Hereford) – ジョン・オブ・ゴーントの子。後のヘンリー四世
    • オーマール公(DUKE OF AUMERLE) – ヨーク公の子。
    • ノーフォーク公トマス・モーブレー(THOMAS MOWBRAY, Duke of Norfolk)
    • サリー公(DUKE OF SURREY)
    • ソールズベリー伯(EARL OF SALISBURY)
    • バークリー卿(LORD BERKELEY)
    • バッシー(BUSHY) – 王リチャードの家来。
    • バゴット(BAGOT) – 王リチャードの家来。
    • グリーン(GREEN) – 王リチャードの家来。
    • ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシー(HENRY PERCY, Earl of Northumberland)
    • ヘンリー・パーシー(HENRY PERCY, surnamed Hotspur) – ヘンリー・パーシーの子。「ホットスパー」。
    • ロス卿(LORD ROSS)
    • ウィロビー卿(LORD WILLOUGHBY)
    • フィッツウォーター卿(LORD FITZWATER)
    • カーライル司教(BISHOP OF CARLISLE)
    • ウェストミンスター修道院長(ABBOT OF WESTMINSTER)
    • 式部官(LORD MARSHAL)
    • サー・ピアース・オブ・エクストン(SIR PIERCE OF EXTON)
    • サー・スティーヴン・スクループ(SIR STEPHEN SCROOP)
    • ウェールズ部隊の隊長(Captain of a band of Welshmen)
    • リチャード二世の王妃(QUEEN TO KING RICHARD)
    • グロスター公爵夫人(DUCHESS OF GLOUCESTER)
    • ヨーク公爵夫人(DUCHESS OF YORK)
    • 王妃に仕える侍女たち(Lady attending on the Queen)
    • 貴族たち、伝令たち、役人たち、兵士たち、庭師たち、牢番、使者、馬丁、従者たち

    あらすじ

    • 第1幕
      劇は、威厳をもって玉座に座るリチャード2世から始まる。従兄弟であるヘンリー・ボリングブルック(ボリングブルックは異名)と、トマス・モーブレーから自分たちの論争を裁定して欲しいと乞われる。ボリングブルックの言い分は、モーブレーは王から支給された軍資金を横領し、また王の弟であるグロスター公(トマス・オブ・ウッドストック)の不可解な死にも関与したというもので、それに対してモーブレーはボリングブルックに名誉を傷つけられたと憤っていた。リチャード二世は二人を和解させようとするが、叶わず、決闘を認める。しかし、決闘が始まる直前、リチャード二世は二人にイングランドからの追放を言い渡す。ボリングブルックは6年間の、モーブレーは永久の追放である。この裁定が結果的にリチャード二世の廃位と死に繋がるわけで、劇中、モーブレーがそれを予言する。
    • 第2幕
      ボリングブルックの追放後、その父親ジョン・オブ・ゴーントが死去する。リチャード二世はその遺産を取り上げ、アイルランド征伐の資金とする。貴族たちはこの仕打ちに加え、リチャード二世が貴族たちに対して先祖が犯した罪で罰金を課したり、民衆に重税を課したりすることに憤る。ボリングブルックが財産の返還を求めてひそかにイングランドに帰国したと知ると、貴族たちはボリングブルックを先頭にリチャード二世打倒の行動に出る。
    • 第3幕
      リチャード二世がアイルランド遠征から戻った時、イングランドはボリングブルックたちの手に落ちていた。ボリングブルックは財産の返還と、さらに王座を要求する。
    • 第4幕
      ウェストミンスター大会堂で、リチャード二世からボリングブルックに王冠が衆人を前に譲渡される。
    • 第5幕
      リチャード二世はボリングブルックによってポンフレット城(ポンフレットは現ポンテフラクト Pontefractのこと)に幽閉される。王ヘンリー四世となったボリングブルックが存命のリチャード二世のことを「生きている恐怖(living fear)」と言ったのを聞いた騎士エクストンは、それを暗殺の指示と理解して、ポンフレット城に行き、リチャード二世を暗殺する。ヘンリー四世は先走ったエクストンを処罰して、リチャード二世の死の罪を浄めるためにイェルサレム遠征を行うことを誓う。
    参考

    イングランド国王リチャードは、宿敵である従兄弟ボリングブルック(のちのヘンリー四世)を追放したあげく、その父ジョン・オヴ・ゴーントの財産を没収する。しかし、復権をねらって戻ってきたボリングブルックに王位を簒奪され、屈奪のうちに暗殺される。脆弱な国王リチャード二世の悲痛な運命を辿る。

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    • ヘンリー四世 第1部(Henry IV , Part 1、1596年 – 1597年)
    • ヘンリー四世 第2部(Henry IV, Part 2、1598年)
    • ヘンリー五世(Henry V、1599年)
    • ヘンリー八世(Henry VIII、1612 – 1613年)
悲劇
  • タイタス・アンドロニカス(Titus Andronicus、1593 – 94年)
  • ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet、1595 – 96年)
  • ジュリアス・シーザー(Julius Caesar、1599年)
  • ハムレット(Hamlet、1600 – 01年)
  • トロイラスとクレシダ(Troilus and Cressida、1601 – 02年)P
  • オセロー(Othello、1604年)
  • リア王(King Lear、1605年)
  • マクベス(Macbeth、1606年)
  • アントニーとクレオパトラ(Antony and Cleopatra、1606年 – 1607年)
  • コリオレイナス(Coriolanus、1607年 – 1608年)
  • アテネのタイモン(Timon of Athens、1607年 – 1608年)
喜劇
  • 間違いの喜劇(Comedy of Errors、1592年 – 1594年)
  • じゃじゃ馬ならし(Taming of the Shrew、1593年 – 1594年)
  • ヴェローナの二紳士(The Two Gentlemen of Verona、1594年)
  • 恋の骨折り損( Love’s Labour’s Lost、1594年 – 1595年)
  • 夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream、1595年 – 96年)
  • ヴェニスの商人(The Merchant of Venice、1596年 – 1597年)
  • 空騒ぎ(Much Ado About Nothing、1598年 – 1599年)
  • お気に召すまま(As You Like It、1599年)
  • ウィンザーの陽気な女房たち(The Merry Wives of Windsor、1597年)
  • 十二夜(Twelfth Night, or What You Will、1601年 – 1602年)
  • 終わりよければ全てよし(All’s Well That Ends Well、1602年 – 1603年)P
  • 尺には尺を(Measure for Measure、1604年)P
  • ペリクリーズ(Pericles, Prince of Tyre、1607年 – 1608年)R
  • シンベリン(Cymbeline、1609 – 10年)R
  • 冬物語(The Winter’s Tale、1610年 – 1611年)R
  • テンペスト(The Tempest、1611年)R
  • 二人のいとこの貴公子(The Two Noble Kinsmen、1613年)R

Rはロマンス劇、Pは問題劇

詩作品

  • ソネット集(The Sonnets)
  • ヴィーナスとアドーニス(Venus and Adonis)
  • ルークリース凌辱(The Rape of Lucrece)
  • 情熱の巡礼者(The Passionate Pilgrim)
  • 不死鳥と雉鳩(The Phoenix and the Turtle)
  • 恋人の嘆き(A Lover’s Complaint)

外典と散逸した戯曲

  • エドワード三世(Edward III、1596年)
  • カルデーニオ(Cardenio)
  • 恋の骨折り甲斐(Love’s Labour’s Won)
  • ほか

ウィリアム・シェイクスピアに関連する作品

DVD

シェイクスピアが描いたリチャード2世(ベン・ウィショー)、ヘンリー4世(ジェレミー・アイアンズ)、ヘンリー5世(トム・ヒドルストン)をBBCがドラマ化したシリーズ。イギリス版DVD。英語音声、英語字幕のみ。日本向けの通常のDVDプレイヤーでは再生できません。PAL対応の環境が必要です。

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死去
1616年4月23日(グレゴリオ暦5月3日) イングランド王国、ストラトフォード・アポン・エイヴォン
埋葬
ストラトフォード・アポン・エイヴォン、ホーリー・トリニティ教会
配偶者
アン・ハサウェイ
子女
スザンナ・ホール(長女)、ハムネット・シェイクスピア(長男)、ジュディス・クワイニー(次女)、 ウィリアム・ダヴェナント(次男?、落胤?)