ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター・アビーとセント・マーガレット教会 (11世紀〜)
イギリスの政治の中心地であるロンドンのウェストミンスター地区にたつ歴史的建造物群。かつて王宮であったウェストミンスター宮殿は、1547年から国会議事堂として使用されるようになったが、1834年の大火で大部分が焼失し、歴史主義様式のゴシック・リバイバルで再建された。ウェストミンスター・アビーは、歴代の王が戴冠式を行った修道院で、セント・マーガレット教会に隣接している。
ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター・アビーとセント・マーガレット教会
ロンドンのテムズ川左岸にそびえる国会議事堂。もと11世紀建設のウェストミンスター宮殿で、1834年の大火で焼失後再建された。世界の議事堂建築の範とされている。高さ約92mの時計塔はビッグ・ベンである。隣接するウェストミンスター・アビーは王家や貴族、著名人の霊廟、また1066年以来の歴代国王(例外は2王)の戴冠式場。その北隣にある11世紀のセント・マーガレット聖堂は、大部分が16世紀に改築された。
新古典主義様式・歴史主義様式
古典様式を再評価した新古典主義と、過去の建築様式を用いる歴史主義。
イギリスの政治の中心地であるロンドンのウェストミンスター地区にたつ歴史的建造物群。かつて王宮であったウェストミンスター宮殿は、1547年から国会議事堂として使用されるようになったが、1834年の大火で大部分が焼失し、歴史主義様式のゴシック・リバイバルで再建された。ウェストミンスター・アビーは、歴代の王が戴冠式を行った修道院で、セント・マーガレット教会に隣接している。
参考 くわしく学ぶ世界遺産300<第2版>世界遺産検定2級公式テキスト
イギリス王室の歴史を物語る建築物群
ノルマン征服(ノルマン・コンクエスト)によってイングランドにノルマン人が流入する前の11世紀中ごろ、エドワード王がこの地にウェストミンスター宮殿とウェストミンスター・アビー(修道院)を建てた。
ウェストミンスター宮殿
ウェストミンスター宮殿は、中世には王の住居であると同時に、議会場としても使用された。1285年にはイギリス発の議会である模範議会が開催された。1640年に召集された議会はピューリタン革命の発端となり、現在でも下院の独立を表すため国王の下院議会への立ち入りは禁止されている。1834年の火災で大部分を焼失した宮殿は、約30年をかけてゴシック・リバイバル様式で再建され、19世紀のイギリスやフランスで流行したこの建築様式の先駆けとなった。今日にいたるまで国会議事堂として使用されている宮殿の北側に付属する時計台は、「ビッグ・ベン」の愛称で呼ばれロンドンのシンボルとなっている。2012年にはエリザベス2世の在位60周年を記念して「エリザベス・タワー」と改称された。
ウェストミンスター・アビー
ウェストミンスター・アビーではノルマン征服によってイングランドを掌握したウィリアム1世が1066年にここで戴冠して以降、歴代のほとんどの国王の戴冠式が行われてきた。戴冠の際に新王が着席する椅子は、修道院をつくったエドワード王にちなんで「エドワード王の椅子」と呼ばれている。13世紀にフランスのゴシック様式で改装されたため、英仏の様式を織り交ぜた建築となっている。中世以来の国王、政治家や戦没者、学者や作家が埋葬されており、ニュートンやダーウィン、詩人チョーサーや作家ディケンズなどの英国史上の偉人が眠る。
セント・マーガレット教会
修道院の北側に位置するセント・マーガレット教会は16世紀にかけて再建された一般信者向けの教会で、チャーチル元首相をはじめ著名人の結婚式が執り行われた場所としても知られる。
参考