ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群
1979年にユネスコの世界遺産に登録された、ヴェゼール渓谷に点在する先史時代遺跡群のうち、ユネスコによって選定された重要性の高い物件の総称。鮮やかな洞窟壁画で有名なラスコー洞窟や、クロマニョン人の骨が発見された。
ヴェゼール渓谷の先史的景観と装飾洞窟群
ヴェゼール渓谷の装飾洞窟と先史遺跡
フランス南西部のヴェゼール渓谷には、後期旧石器時代にクロマニョン人が壁画を残した25の洞窟が点在している。有名なラスコーの洞窟には、野生の馬、バイソン、サイ、シカなど、およそ100点の動物壁画が確認されている。ラスコーの洞窟は、壁画の損傷を防ぐ目的から研究者以外は立入禁止となっているが、ラスコーの壁画を忠実に再現したラスコーⅡが近くにつくられ、一般に公開されている。
世界遺産登録対象
洞窟壁画のある遺跡群
- アブリ・デュ・ポワソン(ポワソン岩陰遺跡) (fr:Abri du Poisson)
- フォン=ドゥ=ゴーム洞窟 (fr:Grotte de Font-de-Gaume)
- ムート洞窟 (fr:Grotte de la Mouthe / en:Font de Gaume)
- コンバレル洞窟 (fr:Grotte des Combarelles)
- アブリ・ドゥ・カプ・ブラン(カプ・ブラン岩陰遺跡) (fr:Abri de Cap Blanc)
- ラスコー洞窟 (fr:Grotte de Lascaux / en:Lascaux)
- ルーフィニャック洞窟 (fr:Grotte de Rouffignac)
- ロック・ドゥ・サン=シルク (fr:Roc de Saint-Cirq)
洞窟壁画のない遺跡群
- アブリ・ドゥ・クロ=マニョン(クロ=マニョン岩陰遺跡) (fr:Abri de Cro-Magnon / en:rock shelter of Cro-Magnon) :日本では「クロマニョン洞窟」とも呼ばれる岩陰遺跡(英語:rock shelter、abri)。クロマニョン人の骨が発見された。
- ミコック (fr:La Micoque)
- ロジュリー=バス (fr:Laugerie-Basse)
- ロジュリー=オート (fr:Laugerie-Haute)
- グラン・ロック洞窟 (fr:Grotte du Grand Roc)
- アブリ・デュ・ムスティエ(ムスティエ岩陰遺跡群) (fr:Les abris du Moustier / en:Le Moustier) :2箇所からなる、ネアンデルタール人のムスティエ文化の遺跡。
- アブリ・ドゥ・ラ・マドレーヌ(マドレーヌ岩陰遺跡) (fr:Abri de la Madeleine)
ラスコー洞窟
先史時代(オーリニャック文化)の洞窟壁画があり、ラスコー洞窟の壁画は、アルタミラ洞窟壁画と並ぶ先史時代(フランコ・カンタブリア美術)の美術作品となる。
数百の馬・山羊・羊・野牛・鹿・かもしか・人間・幾何学模様の彩画、刻線画、顔料を吹き付けて刻印した人間の手形が500点。これらは15,000年前の旧石器時代後期のクロマニョン人によって描かれていた。
オリジナルの洞窟=ラスコー1は岩に描かれた絵を保護するため1963年に閉鎖され、一般には公開されていない。
レプリカ=ラスコー2が1983年に作られ、一般見学が可能。
クロマニョン人の芸術
クロマニョン人は岩陰以外に、角・骨・象牙・石なども素材として多数の見事な彫刻を残した。バイソンが振り返り、頭をやや上げ、舌を出し、自分の体をなめている。長い毛、細かい毛、小さな耳、大きな目、毛のない鼻や口などを分ける境目を点線列で示すなど、バイソンの細かいしぐさが優雅に表現された旧石器時代美術の傑作である。裏面には刻線が見られない。
参考 国立科学博物館 世界遺産ラスコー展より
同義語
ヴェゼール渓谷, マドレーヌ岩陰, ラスコー洞窟の壁画