ポルトラーノ図
ポルトラーノ図(カタルーニャ世界図, 部分, 14世紀/パリ国立図書館蔵)

ポルトラーノ図


ポルトラーノ図
中世後期の商業の発展にともない、港から港へのナビゲーション機能をもった地図が作成された。「ポルトラーノ」とは港の本という意味で、コンパスをあてて方角やルートを確認できるように、32本(16本の場合もある)の方位船が記され、沿岸部の記載がきわめて詳細である。

ポルトラーノ図

近代ヨーロッパの成立

ヨーロッパ世界の拡大

航海と船

大航海時代の数々の新航路発見の探検を可能にしたのは、航海術と造船技術の進歩であった。航海にはポルトラーノ図と呼ばれる海図が利用された。さまざまな航海の諸発見や調査の結果は、海岸線・地名を含めて、当時つくられた手書きの海図に詳細に記録されている。

大航海時代の地図

大航海時代の船乗りにとって、海図や地図は欠かすことのできないものであった。中世末から地中海の海上交通が発達し、羅針盤が発明されると、所要の航角を求めるため地図の方位盤から多数の方位線を描いたポルトラーノ(水先案内人の意)と呼ばれる海図がさかんに用いられた。この型の海図では、内陸の細部はほとんど示されていないが、海岸線・海港・岬などは精緻に描かれている。15世紀初頭、古代のプトレマイオスの地理書や世界地図がビザンツ帝国から西欧に伝えられ、マルコ・ポーロにより伝えられたアジアの国々もヨーロッパ人の世界像のなかに取り込まれた。1492年に作成されたマルティン・べハイムの地球儀は、現存する最古のものである。当時の地図には当然、アメリカ大陸はなく、アジアは奇妙な形で描かれている。1507年の作とされるヴァルトゼー・ミュラー(マルティン・ヴァルトゼーミュラー)の木版画の世界地図は、アメリカという地名が見出される最初のものである。ヴァスコ・ダ・ガマ、コロンブス、マゼランなどの探検で世界地図はしだいに正確になっていくが、18世紀のジェームズ・クックの探検までは南半球の大部分はまだ未知で、巨大な南方大陸(テラ・アウストラリス)(メガラニカ)が存在するものと想像されていた。メルカトルは1569年、世界図に用いられる正角円筒図法(メルカトル図法)を考案し、ボルトラーノにかわる海図の発達に貢献した。

ポルトラーノ図
ポルトラーノ図(カタルーニャ世界図, 部分, 14世紀/パリ国立図書館蔵)

ポルトラーノ図

中世後期の商業の発展にともない、港から港へのナビゲーション機能をもった地図が作成された。「ポルトラーノ」とは港の本という意味で、コンパスをあてて方角やルートを確認できるように、32本(16本の場合もある)の方位船が記され、沿岸部の記載がきわめて詳細である。この図はペドロ3世(アラゴン王)がシャルル5世(フランス王)に献上したポルトラーノ型の地図。

参考 山川 詳説世界史図録

航海と船 – 世界の歴史まっぷ

詳説世界史研究

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