モーセ Moses
前13世紀頃のイスラエル人指導者。「出エジプト」をおこない、途上シナイ山で神ヤハウェから十戒を授かり、イスラエル人をカナーン(パレスチナ)に導いた。ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教では預言者とされる。ただしエジプト側にこれに関する史料はない。
モーセ
前13世紀頃のイスラエル人指導者。「出エジプト」をおこない、途上シナイ山で神ヤハウェから十戒を授かり、イスラエル人をカナーン(パレスチナ)に導いた。ユダヤ教・キリスト教・イスラーム教では預言者とされる。ただしエジプト側にこれに関する史料はない。
オリエントと地中海世界
古代オリエント世界
ヘブライ人とユダヤ教
ヘブライ人の祖先は、もとはユーフラテス川の上流域あたりで遊牧生活を送っていたようである。紀元前2千年紀の前半に現在のパレスチナ地方に移動したが、一部はおそらくヒクソスとともにエジプトに入ったと考えられる。しかしやがてヒクソス撃退後の新王国の圧政に耐えかね、紀元前13世紀にモーセに率いられてこの地を脱出し(「出エジプト」)、苦難の末にパレスチナのかつての同胞と合流した。
イスラーム世界の形成と発展
イスラーム帝国の成立
預言者ムハンマド
最後の預言者
イスラームの教えによれば、人類は元来ひとつの共同体であったが、争いによって分裂してしまった。そこで神は各々の共同体に預言者を遣わし、人々を正しい道に導こうとした。アダム・ノア・アブラハム・モーセ・ダヴィデ・ソロモン・イエスなどがこれらの預言者に相当し、ムハンマドは最後に現れた最も優れた預言者であるとされる。
「出エジプト」とモーセの十戒
エジプトで奴隷状態となった60万人のヘブライ人たちをモーセが率いて脱走させた事件は、『旧約聖書』にある重要なエピソードだが、エジプト側に記録がないことから少数者による脱出であったと考える学者もいる。前13世紀後半に「約束の地」(カナーン)に向かった彼らの前に海、後方からはラメス2世(ラメセス2世)の軍がせまったときに奇跡がおこった。モーセが杖で海を開いてヘブライ人たちは対岸に渡り、エジプト軍が壊滅する場面である。右の図は映画「十戒」(1956年、米国)におけるシーン。
やがてシナイ山にのぼったモーセは、神から「十戒」を授かる。
「1 わたしのほかに神があってはならない。 2 主の名をみだりに唱えてはならない。 3 主の日を聖としなさい。 4 父母を敬え。 5 殺してはならない。 6 姦淫してはならない。 7 盗みをしてははならない。 8 隣人への偽証はいけない。 9 隣人の妻を欲してはならない。 10 隣人の財産を欲してはならない。」
モーセはその後40年放浪しながら人々を導き、ヨルダン側の手前で死んだ。