第2部:中元逐鹿
第2部:中元逐鹿
袁紹率いる70万の大軍を7万の曹操軍が迎え撃つ、
天下分け目の大合戦”官渡の戦い”が勃発
中元逐鹿(ちゅうげんろくちく)(多くの英雄が天子の位を狙って争うこと。または、一つの地位などの目的を狙って競い合うこと)
曹操に辛酸をなめさせられ続けている献帝は、劉備に漢再興を託す。劉備は袁紹と組んで曹操都の決戦に挑むが、前哨戦に敗れ、張飛ともはぐれて単身袁紹のもとへと逃げのびる。曹操は、関羽をおびき寄せて配下にしようとするが、関羽の劉備への忠誠心に心打たれることになる。関所を次々と破り、張飛のいる古城へと辿り着いた関羽。さらに劉備も駆けつけ、義兄弟は再開を果たす。一方、袁紹は70万の大群を率いて早々との決戦の地、官渡へ向かう。そうそうは以外にも和平を申し出るが、それは時間稼ぎのための策略だった。知らぬ間に包囲されていた袁紹軍は弓矢攻撃で壊滅状態に追い込まれ、わずか7万の曹操軍に大敗する。劉備軍も曹操軍の攻撃に遭い、やむなく荊州の劉表のもとに逃げ込む。劉表(りゅうひょう)とその息子の劉琦(りゅうき)との絆を深める劉備だったが、劉表配下の蔡瑁(さいぼう)に命を狙われる。命からがら逃げのびた劉備は徐庶(じょしょ)という男と出会い、無事に関羽rのいる新野へと辿り着く。
第19話「曹操・劉備の暗闘」
ピックアップ
呂布亡き後、荀彧(じゅんいく)は曹操が女色に溺れぬよう、許褚(きょちょ)に貂蝉(ちょうせん)を殺させる。劉備に対する警戒心を強めた曹操は、劉備に恩を売るために、献帝から爵位を貰い受け、諸侯に封じてもらうべきだと誘う。許都で対面した献帝と劉備は、互いに大いに親しみを覚え、献帝は劉備を左将軍に昇進させ、宜城亭侯に封じる。献帝と狩りに出かけた曹操は、漢の皇帝に代々伝わる弓矢を公然と奪い取り・・・。
第20話「劉備、命を授ける」
ピックアップ
- 袁紹(えんしょう)が公孫瓚(こうそんさん)を打ち破り幽州を手に入れる。公孫瓚は家族と共に自決する。
- 袁紹は大都督となる。
献帝はこれまでに自らが舐めてきた辛酸を劉備に語り、英雄としての大業をなしとげ、漢の皇帝を守るようにと頼む。劉備は心を動かされ、必ずや曹操を排除すると誓う。国舅(こくきゅう)(天子・国王の外戚のこと。この場合は皇后の父。)の董承(とうしょう)から血で書かれた詔書(みことのりしょ)を示された劉備は、天下の英雄たちと連携し、賊をのぞき、漢を助けん、とういう使命感を持つ。一方、袁紹(えんしょう)が公孫瓚(こうそんさん)を破ったとの知らせを聞いた曹操は・・・。
新しい登場人物
第21話「吉平、毒を盛る」
ピックアップ
- 伝国璽を持った袁術(えんじゅつ)が袁紹(えんしょう)と組んで膨大な勢力になるのを防ぐため、曹操から5万の兵馬を借りて劉備が袁術を追い込み、袁術は自決する。
- 劉備は曹操から借りた5万の兵馬を奪い、徐州を手中に収める。
- 袁紹の幕僚陳琳(ちんりん)が、曹操討伐の檄文(げきぶん)を書く。曹操はそれを読み、10万の大軍に匹敵する文才だと評する。
曹操は、袁術との戦いに向かった劉備に帰朝するよう伝えるが、劉備は命令に背く。劉備の大軍に迫られ、江亭に孤立した袁術は飢えと渇きに苦しみながら、吐血して死ぬ。劉備は袁紹に手紙を出し、共に曹操をのぞこうともちかける。袁紹は、曹操と天下を争う好機と見て、30万の大軍を率いて黎陽を出発、曹操との決戦に臨む。一方、太医の吉平と董承は、曹操を毒殺しようと謀るが…。
第22話「三兄弟離散す」
ピックアップ
- 曹操討伐の血判状を書いた献帝の前で皇后董貴妃(とうきひ)を縊死させ、自分の娘を中宮にする。
- 守りの堅い徐州城から劉備をおびき出させる曹操のみごとな策と大掛かりな仕掛け。
曹操は皇后を縊死(いし)(首吊り死)させ、自分の娘を皇后に立てる。さらに、献帝を厳重な統制下に置き、権力を我が物にする。曹操が全軍を引き連れて出たのを見計らい、劉備は空城となった許都への出兵を袁紹に乞うが、袁紹は病気の幼な子が気がかりで出兵を渋る。劉備はやむなく張飛と夜討ちをかけるが、逆に曹操軍の伏兵に遭う。劉備は張飛とはぐれ、一人で逃げ出すことになる…。
新しい登場人物
第23話「関羽、三事を約す」
ピックアップ
- 孫策(そんさく)と周瑜(しゅうゆ)が江東の喬国老(きょうこくろう)の娘大喬(だいきょう)と小喬(しょうきょう)姉妹を娶(めと)る。
幼な子の容態が回復すると、袁紹は徐州へ兵を派遣し、自らも許都への出兵準備を始める。劉備は、許攸(きょゆう)の勧めで袁紹のもとへ向かい、歓待を受ける。徐州では、曹操が姦計(かんけい)(悪いはかりごと。悪だくみ)により関羽をおびきよせるが、その忠義心に感服し、自分に帰順するように説得する。張遼(ちょうりょう)の強い勧めもあり、関羽は仕方なく一時的に曹操の配下となることを承知するが、三つの条件を提示する。
第24話「白馬の戦い」
ピックアップ
- 曹操は息子の曹丕(そうひ)が欲しがっていた呂布(りょふ)の赤兎馬(せきとば)を関羽(かんう)に贈る。
- 袁紹配下の顔良(がんりょう)の奇襲により、曹操軍のふたりの武将が斬り殺された。
- 199年 白馬の戦い 曹操から手厚い温情に報いるため、関羽が顔良を討ち取る。袁紹の隣で劉備は文醜(ぶんしゅう)も討つ関羽の姿を確認した。
劉備(りゅうび)の説得によって、ようやく袁紹(えんしょう)は許都遠征を決意。両軍が対峙し、顔良(がんりょう)が次々に曹操配下の武将を斬り殺し、曹操は愕然とする。そこへ関羽が曹操に出陣を願い出て、翌日、顔良を斬り殺す。袁軍は大敗を喫する。生き残った兵士たちが、曹操の配下に関羽によく似た武将がいると言うのを聞いた袁紹は立腹し、劉備を殺して恨みを晴らそうとする。劉備が説明してようやく事なきを得るが…。
新しい登場人物
第25話「単騎、千里を走る」
ピックアップ
- 劉琮が袁紹のもとにいることを知り、関羽は曹操の元から去る。
- 関所東嶺関(とうれいかん)で手形のない関羽の通行を断り、の孔秀(こうしゅう)将軍を斬る。
- 関所洛陽関(らくようかん)でも通行を拒まれ、関羽は韓福(かんふく)将軍を斬る。
- 鎮国寺(ちんこくじ)で関羽を襲ってきた卞喜(べんき)らを討ち取る。
- 界首(かいしゅ)の渡しで関羽と一騎打ちの勝負を挑む夏侯惇(かこうとん)は互角の戦いをするが、曹操から関羽の通行を許可するようにと命令が届き、勝負はお預けとなった。互いに腕さばきを認め合った。
劉備からの手紙を受け取った関羽は、曹操のもとを去ろうとする。武将を引き連れて見送りにやってきた曹操から黄金と錦の袷を贈られた関羽は、感動して叩頭の礼をして去っていく。曹操は、忠義心の恐ろしさをつくづく思い知るのだった。関羽は名馬赤兎馬を駆り、次々と関所を破ってひた走る。その頃、張飛は古城に辿り着き、強力な部隊を養成。劉備と関羽の行方を探っていた…。
第26話「古城に再会す」
ピックアップ
- 道中、関羽に仕えたいという元黄巾賊、山賊の周倉(しゅうそう)に出会い、随行を認める。
- 古城県(こじょうけん)で甥の敵討にやってきた蔡陽(さいよう)と戦い関羽が勝つ。
- 関羽は関定邸で関定(かんてい)の息子関平(かんぺい)を養子として迎える。
- 徐州で敗れた後、幽州(ゆうしゅう)へ戻り公孫瓚(こうそんさん)の兵馬3千引き連れた趙雲(ちょううん)と三兄弟は合流する。
- 本作では、袁紹の息子、青州刺史・袁譚(えんたん)、幽州刺史・袁煕(えんき)、并州(へいしゅう)刺史・袁尚(えんしょう)が大軍を率いて袁紹の元へ到着する。それぞれ後継者争いのごとく自分を売り込む。
関羽が古城に辿り着き、張飛と再会したとの知らせを聞いた劉備は、自らも古城へと向かう。途中、劉備は図らずも趙雲と遭遇し、2人は喜び勇んで古城に関羽と張飛に会いに行く。古城で三兄弟は無事再会を果たし、さらに加えて趙雲もいるので、その喜びはひとしおであった。そして、袁紹の3人の息子たちも、父親が曹操討伐の兵を挙げたと知ると、精鋭部隊を率いて駆け参じてくる。
新しい登場人物
第27話「官渡の戦い」
ピックアップ
- 後500年の歴史と朝廷の支配者を掛けた戦い。
- 袁紹70万の大軍に対し、曹操は、袁紹軍が総崩れを起こした時に出馬し一人残らず皆殺しする兵馬20万を残し、精鋭7万 (4万鉄騎兵、1万長槍兵、8千重装歩兵、弩級兵、発石車)と、曹操ならではの策略で挑む。
袁紹は70万の大軍を率いて、官渡で曹操と雌雄を決することになる。兵士の士気が大いに高まる中、血書を提出して出陣を諌めてきた田豊に袁紹は激怒し、曹操を破った後に死罪に処すると宣告する。対する曹操は、わずか7万の兵で袁紹を迎え撃つため、策を巡らせていた。曹操は突然和平を申し出、献帝を袁紹に任せると言い、袁紹もその申し出に心動かされ…。
第28話「田豊、死諫す」
ピックアップ
- 鉄器を使いリアリティあるロングタイムの大戦描画。
- 袁紹は劉備の援護により逃げ切り、曹操が使った4つの計(和睦・天子・女官・西日)に気付き、憤慨する。
- これまで一貫して、支持がコロコロ変わる袁紹が大義をなす器でないことが良くわかる。
- かつて無い大勝に兵は酒を飲み祝うが、曹操はひとり横になり策を練る。
- 曹操の心内を読める荀彧の貴重さを再確認する曹操と、足の引きずり合いを行ってばかりの自分本位の袁紹の参謀たち。
曹操が時間稼ぎをしている間に、曹仁、許褚らの猛将たちが袁紹を包囲していた。突如、戦いの火蓋が斬って落とされ、袁紹軍は10倍もの兵力を持っていたにも関わらず、壊滅状態へと追い込まれる。劉備の援護により、袁紹は何とか逃げきったが、本営に戻ると許攸の唆しに乗って田豊に死を賜う。まだ50万の兵士が残っていると知った袁紹は、再び決戦を交える決意を固めるが…。
第29話「夜、烏巣を襲う」
ピックアップ
- 官渡の戦いで圧勝した曹操の知らせを聞いた劉備のことば「漢族にして明主であり、兵法(軍学・兵学のこと)家でもある。同じ時代を生きるのは幸いか不幸か。」
- 劉備は同じ漢室の末裔(まつえい)である、荊州に割拠(かっきょ)(各自の地方を根拠としてたてこもること。)している劉表のもとへ行き、曹操討伐を促す。
袁紹に追い出された許攸は曹操軍に投降し、袁軍への攻撃計画を提案する。袁紹は案の定、罠にはまって大敗。敗残兵と山中に逃げた袁紹は、屈辱耐え難く吐血して昏倒する。また、劉備の古城も曹軍に破られ、やむなく劉備は荊州の劉表のもとに逃げこむ。劉表は大将軍蔡瑁の反対を押し切って劉備を迎え入れる。荊州城内で劉表と劉備は互いの家系をひもとき、親交を深めるのだった。
第30話「曹操、河北を平らぐ」
ピックアップ
- 荊州の新野(しんや)に駐屯することになった劉備を快く思っていない蔡瑁は、姉であり劉表の妻である蔡氏と劉備を警戒する。
- 206年 曹操は袁紹の残兵を打ち破り、冀州・并州・幽州・青州を攻略し、漢で最も勢力のある軍閥となる。
- 袁紹は病死する。
- 曹操軍随一の猛将許褚が目に余る程傲慢になった許攸の首を斬る。
- 冀州で第21話の時に曹操の屈辱的な檄文を書いた陳琳を呼び、文才を絶賛すると陳琳は自ら曹操の配下となった。
- 曹操配下の文官(官吏のうち武官(軍人)以外の者を指す)・武将(軍を統率する者のうち武道に秀でた者のこと)たちから袁紹に届けられた書簡が見つかるが、それらを文官・武将たちの前で焼き、過去は不問に伏す。
- 許攸の首を斬った許褚が曹操に報告してから死罪を免れるまでの、曹操軍内の各々の絆の深さ。
- 残すは「劉表、劉璋(りゅうしょう)、孫権」らを残すのみ。曹操は、歩兵30万、騎馬兵15万、水兵20万、計65万の大軍となった。
劉表から小城の新野を与えられた劉備は、そこに向かう途中、劉表の長男の劉琦から荊州でいかに危険な目に遭っているかを訴えられるが、劉備には慰めることしかできない。その頃、蔡瑁は妹の蔡氏と密かに劉備から荊州を守る計画を語り合っていた。中原では曹操が攻撃を進め、冀州にまで進出していた。天下の六州が曹操のものとなり、後漢末以来、最大の勢力を誇ることとなった。
新しい登場人物
第31話「的驢、壇渓を飛ぶ」
(的盧(てきろ)とは、額に白い模様を有する馬、あるいはその模様。額の白い模様が口に入り歯に達しているものを「楡雁」またの名を「的盧」といい、しもべが乗れば客死し、主が乗れば刑死するという凶馬。)
ピックアップ
- 病に伏した劉表の代わりに、劉備は荊州9郡42県官僚が集まる祭りに出席し、蔡瑁に襲われる。
- 蔡瑁に追い詰められた劉備は、的盧と檀渓を飛び、逃げ切る。
- 水鏡先生の言葉「檀渓はその昔、楚王項羽が秦の30万の降伏兵を殺した場所です。兵士の斬られた首で山ができたほどでした。檀渓は数年の間血や骨を洗い、じょうこうにその水を流し終えた。今も多くの英雄が眠っており、無念の思いを抱えた霊魂が彷徨っている。」
- 劉備は、水鏡先生に、劉備の陣営に欠けているのは「軍師」だと指摘される。
- 劉備は、儒者の徐庶を軍師として迎える。
劉備は突然、劉琦に叩き起こされ、蔡瑁の魔の手から逃げおおせる。数日後、劉備は劉表に代わって襄陽の廟会(びょうえ)に赴くことになり、その途中で儒者(儒教を自らの行為規範にしようと、儒教を学んだり、研究したりする人のこと。)から劉備の馬は主人の害となるだろうと指摘される。蔡瑁が劉備暗殺に派遣した虎賁軍に追われる中、劉備の馬は前脚を岸から踏み外して川に落ちてしまう。劉備は、辿り着いた農園で軍師徐庶を紹介されるが、その男こそ、例の儒者であった。
第32話「徐庶、諸葛亮を薦む」
ピックアップ
- 新野(しんや) 曹仁は曹操の軍令を無視して「八門金鎖の陣(はちもんきんさのじん)」を敷いて新野を攻めるが、徐庶は破り方を伝授し劉備は大勝する。
- 蛇口(じゃこう) 曹仁は懲りずに新野に夜襲に出るが、これも徐庶が予見し、曹仁軍地の樊城と新野の間にある谷、蛇口(じゃこう)で奇襲する。
- 樊城(はんじょう) 関羽が樊城の城を奪い、曹仁は許都に逃げ帰る。
- 荀彧が曹操に徐庶について語ったことば「襄陽の名士で兵法に精通した切れ者。自分より数十倍勝る。」
劉備は徐庶を伴って新野に帰りつく。曹操が送り込んだ曹仁が八卦の陣法を駆使して戦うのに対し、徐庶は関羽、張飛、趙雲に八卦の陣の打ち破り方を授け、曹仁を撃破する。曹操は徐庶の智略に感心し、母親を使って徐庶をおびき寄せる。徐庶は皆が止めるのも聞かず、劉備のもとを去っていく。しかし、徐庶は一度引き返して来て、臥龍と呼ばれる諸葛亮孔明を劉備に推薦していくのだった…。